週末の一輪

週末、自分のために花を飾りましょう。
花を手軽に楽しむコツを第一園芸のフローリストがご紹介します。

vol.55 ローゼル(ベニアオイ)—— 深まる秋を映す、赤の彩り

2026.09.24

暮life

週末に、ちいさな楽しみを。
「週末の一輪」は、日々の暮らしにそっとなじみながら、さりげない存在感を放つ季節の一輪を選び、異なる飾り方で少しずつ表情を変えながら、最後まで楽しみつくすための提案です。
月替わりで登場する第一園芸のデザイナーやフローリストが、生け方の工夫や花との向き合い方をご紹介。
毎週木曜の夕方、週末の始まりに、暮らしにそっと花を添えるひとときをお届けします。


実ものが主役の、秋色アレンジメント

朝夕の空気に秋らしさが感じられるようになり、フラワーショップに並ぶ花にも深みのある色合いの植物が増えてきました。

花だけでなく、実ものが活躍するのもこの季節ならでは。今回は鮮やかな赤色が目を引く《ローゼル》を主役にした「週末の一輪」をご紹介します。

■ 今週の主役《ローゼル》
ローゼルはアオイ科フヨウ属の植物で、鮮やかな花で知られるハイビスカスの仲間です。秋になると切り花市場に出回り、つややかな赤い実と茎が目を引きます。一般には「ベニアオイ」の名でも親しまれている花材です。

じつは、ハーブティーとして親しまれている「ハイビスカスティー」の原料でもあり、切り花としては秋を感じさせる実ものとして活躍します。独特のフォルムと鮮やかな赤色は、この季節ならではの魅力。一枝でも印象的な存在感があり、飾るだけで空間をぐっと秋らしい表情へと変えてくれます。

「ローゼル」の基本情報

□出回り時期:9月〜11月頃
□香り:なし
□学名:Hibiscus sabdariffa
□分類:アオイ科 フヨウ属
□別名:ベニアオイ、ロゼリ草
□英名:Roselle
□原産地:熱帯アフリカ
□花ことば:新しい恋、繊細な美

■ 深まる秋を彩る花材
ローゼルの鮮やかな赤色に合わせて、今回は秋らしい赤系の花材を組み合わせました。
パープルファウンテングラスは、しなやかに伸びる穂と深みのある葉色が魅力。動きのあるシルエットがローゼルの直線的な姿を引き立てます。
深い赤色のカーネーションは、実ものとは異なる質感でアレンジに奥行きを添えます。 さらに花ナスを加えることで、実もの同士ならではの季節感も生まれます。
赤を基調にしながらも、それぞれ異なる表情を持つ植物たち。秋ならではの豊かな彩りが生まれました。

■ 彩りを受け止める花器
今回は鮮やかなマーブル模様が入ったガラス花器を選びました。
存在感のあるデザインですが、意外にもさまざまな植物と合わせやすく、花材の魅力を引き立ててくれます。
首元が細くなっているため植物を立たせやすく、ローゼルのすっと伸びる姿とも好相性です。
また、花器そのものに十分な華やかさがあるため、葉ものを多く使わなくてもバランスよくまとまります。

並べて生まれるリズム

同じ花器に生けたアレンジメントを6つ並べると、一輪挿しとはまた違った景色が広がります。
今回使用した花器は手吹きガラスならではの風合いが魅力。同じシリーズでもひとつとして同じ模様はなく、それぞれ異なる表情を楽しめます。
花器を揃えることで統一感が生まれ、植物の個性もより際立ちます。
特別な花器がなくても、ワインボトルなどを活用して同じような雰囲気を楽しむことができます。

■ 蔓で変わる表情
アレンジメントは、少し花材を変えるだけでも印象が大きく変化します。
ここではカーネーションの代わりにトケイソウを加えました。

蔓をランダムに交差させることで、それぞれのアレンジメントに一体感が生まれ、よりドラマティックな印象に。植物同士が対話しているような、リズミカルな景色が広がります。

■ 縦のラインを楽しむ
さらに、横に広げていたトケイソウの蔓を縦方向へ変化させてみました。
上へ向かって伸びるローゼルに沿わせるように蔓をあしらうことで、すっきりとした縦のラインが強調されます。

すべてのアレンジメントに蔓を入れるのではなく、一部だけに取り入れるのもポイント。変化をつけることで全体に抜け感が生まれ、より洗練された印象になります。

9月の担当:江辺 雄亮(第一園芸 フローリスト)
秋が深まるにつれて、花だけでなく実ものの魅力も増していきます。今回ご紹介したローゼルは、鮮やかな赤色と独特のフォルムが印象的な秋の花材です。

9月の「週末の一輪」では、一輪から始めて花を集めて楽しむ飾り方をご紹介してきました。ローゼルのような実ものも、複数並べたり植物の組み合わせを変えたりすることで、さまざまな表情が生まれます。 少しずつ深まる秋の景色を、植物とともに楽しんでいただけたらうれしいです。
少しずつ深まる秋の景色を、植物とともにぜひ楽しんでみてください。

第一園芸 日本橋店

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Text・Photo 第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子