二十四節気の花あしらい

旬の花を最後の一輪まで楽しみつくしませんか?
気軽に季節を感じる「花あしらい」のテクニックをご紹介。

第六話 小雪の花あしらい「フランネルフラワー」

2021.11.22

life

日本では季節の変化を敏感に感じ取り、年中行事や習わしに添った植物を暮らしに取り入れてきましたが、この「二十四節気の花あしらい」では難しいルールにとらわれず、気軽に季節を感じられる花を楽しむテクニックを第一園芸で花に携わってきた谷中直子がご紹介いたします。
毎月、旬の雰囲気を楽しめる花をピックアップして、最後の一輪まで楽しみつくす、そんな花のあしらいのお話です。


2021年11月22日から二十四節気は小雪に

窓から見える木々も鮮やかに色づいてきました。
暦の上では、雪が降り始めるころ。雪国や山間部からは初雪の便りも聞こえはじめましたね。秋の終わりのような、冬の始まりのようなセンチメンタルな季節です。
そんな季節にぴったりな「温かさを感じる花」フランネルフラワーをいけてみようと思います。

何をもって温かさなのか?かといえば、名前の通り柔らかい布(フランネル=やわらかい毛織物)のようなふわふわの触感、まるで赤ちゃんのおくるみのようなやわらかな肌触りだからなのです。

ナチュラルにふんわりいける

フランネルフラワーは繊細でナチュラル。花の顔を全部正面に向けると不自然で美しさも半減してしまいます。
うつむいたり、横を向いたりする花も生かしてナチュラルにふんわりいけましょう。
花と同じくふわふわした葉がクッションになって、花の位置を上手に決めることができますよ。

この花は比較的水が下がりやすい花なので、葉が多すぎる時は間引いて、暖房などの風が直接当たらない場所におきます。フランネルフラワーは見た目通り繊細な花なのです。思いきり手をかけてあげましょう。

グリーンをプラスしてイメージチェンジ

数日たってフランネルフラワーの元気がなくなってきたら、丈夫な枝ものと長めの花器で繊細なフランネルフラワーをそっと支えてあげましょう。
器もブラウンのガラスに替えてイメージチェンジ。シルバーがかったグリーンの葉が季節感を盛り上げます。

加えた植物は細葉が繊細な「ユーカリ・ニコリー」、サンゴのような形のコニファー「ブルーアイス」に白い実もの「シンフォリカルポス」。ユーカリとコニファーの香りも楽しめるうえに、フランネルフラワーの花も支えてくれる一石二鳥のリメイクです。

花のお手入れは面倒に考えず、足し算や引き算をしながら、見た目を変えて楽しんで行いましょう。

瓶に閉じ込めて最後の一輪も楽しむ

楽しみつくしていよいよ花に元気がなくなってきても、まだ楽しめます!
捨ててしまってはもったいない。薬瓶に閉じ込めて最後まで楽しみましょう。

この状態では日持ちはしませんが、じっくり花の形を観察できて楽しいですよ。蓋つきの瓶でなくても花首ぎりぎりでカットし、水に浮かべて最後まで楽しんであげましょう。

ドライフラワーにして楽しむ

お手入れしても、水が下がってしまって楽しむことが難しく感じたら、思い切ってドライフラワーにしてみては?
ドライフラワーなのにカサカサというよりふわふわな不思議な触感です。
ぜひお試しくださいね。

コニファーでフレッシュツリーを

フランネルフラワーやシンフォリカルポスが枯れてしまっても、コニファーとユーカリは長持ちします。
約1か月後はクリスマス、ということでフレッシュなクリスマスツリーを作ってみました。
器にざっくりいけてお好みのオーナメントを飾れば気分も盛り上がります!

コニファーやユーカリの香りには抗菌・防虫・消臭・抗炎・癒し効果もあると言われているので、コロナ禍で迎える今年のクリスマスにぴったりな花あしらいです。

コニファーは丈夫で長持ちするので特別なお手入れはいりませんが、葉から水分が蒸発するのが早く、花瓶の中の水がびっくりするぐらいなくなってしまうので、水をこまめに足してあげてください。

熱を発しないLEDイルミネーションを絡めても素敵です。
お好みのスタイルでフレッシュなクリスマスデコレーションを楽しんで!

もしツリーが枯れてきたりデザインに飽きてきたら、リメイクしてスワッグにしても素敵です。
お好みのリボンやオーナメントをプラスして、クリスマスシーズンにぴったりなインテリアを手作りしてみては?

捨てる前にひと工夫して植物を楽しみつくしましょう!
おうち時間に手作りクリスマスデコレーション、ぜひチャレンジしてみてくださいね。

「フランネルフラワー」の基本情報

□出回り時期:通年
□開花時期::4月~6月、9月~12月
□香り:なし
□学名:Actinotus helianthi
□分類:セリ科 アクチノータス属
□和名:フランネルフラワー
□英名:Flannel flower
□原産地:オーストラリア

谷中直子

第一園芸入社前から学生バイトで働く生粋の第一園芸人。
百貨店系ショップでいわゆる花屋さんを数年経験後、ホテル店に移動しブライダル関係を十数年経験。店長職を経て本社勤務に。
現在は広報担当としてリリースなどの社外発信を担当。