花の旅人

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〈京都編〉第一話 清流に咲く夏の花 「醒井宿の梅花藻」

2018.10.03

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花を探しに、vol.3の旅は西へ。
京都周辺の夏の花を探しに出かけます。
第一話は京都へ向かう途中、清流でしか生育しない「梅花藻(ばいかも)」を見ようと、滋賀県米原市の醒井(さめがい)に立ち寄りました。

新幹線の米原駅から在来線で5分、JR醒ヶ井駅のほど近くに、平成の水百選にも選ばれた、豊かな湧水が街を流れ、梅花藻が咲く地蔵川があります。

醒井は中山道61番目の宿場町で、地蔵川に沿うように歴史ある街並みが残る情緒ある街。

河岸には「かわと」と呼ばれる水を汲んだり、野菜を洗ったりできるように水際まで下りることができる石の階段があり、今も地蔵川沿いに暮らす人々の生活の一部となっています。

こんな風にすいかを冷やしたりと、地元の方々は冷蔵庫のように利用。水道が完備されるまでは飲み水としても利用されていたとか。ほのぼのとした、うらやましい光景です。

この地蔵川には岐阜と滋賀のごく一部にしかいない、国の絶滅危惧種に指定されている「ハリヨ」という淡水魚が生息。美しい清流と水草が無いと生息できない、梅花藻と同じように貴重な生きものです。

赤い百日紅(さるすべり)が所々に。地蔵川添いの散歩は見どころがたくさん。

梅花藻はキンポウゲ科の水草。水の中から立ち上がるように、白く、小さな梅に似た花を咲かせます。
清水では育たず、水槽での栽培も難しい、限られた場所でしか見る事のできない貴重な花なのです。

地蔵川の梅花藻の見ごろは6月中旬から8月下旬。
源流である居醒の清水(いさめのしみず)まで、約500メートルの間に何か所も梅花藻鑑賞の見どころが点在しています。
皆さん、写真を撮るのに必死。

川面に落ちたサルスベリの花と梅花藻のコントラストがきれい。

駅の近くには日本で数多くの西洋建築を手がけた、アメリカ人建築家、ヴォーリズが設計に関わったとされる「旧醒井郵便局局舎」が。醒井にはこうした西洋風の建物も現存し、趣のある街並みを留めています。

醒井で水辺の涼を楽しんだ後は、緑が美しい季節の京都、「北山友禅菊」へ向かいます。

地蔵川の梅花藻

例年の見ごろ:7月中旬~8月下旬
詳細については米原市の公式WEBサイトをご覧ください。