〈京都編〉第二話 京都最北端の山里に咲く幻の花 「北山友禅菊」
2018.10.10
旅travel
京都市内から車で1時間と少し、京都、福井、滋賀の3県の県境に位置し、京都の秘境とも呼ばれる久多(くた)地区。
藁ぶき屋根の家が残る、静かな山里に幻の花を訪ねました。
久多は平安時代以前から木材の供給地として開かれ、杉や檜などの銘木産地として名をはせた土地。
5つの集落の中のひとつ、宮の町(みやのちょう)に「北山友禅菊」の花畑があります。
「北山友禅菊」を栽培されている常本治さんからお話を伺いました。
花毎スタッフI:
常本さん:
花は3輪、4輪まで咲いた時に雨が降ると、重みで将棋倒しのように倒れてしまうんですわ。
花毎スタッフI:
常本さん:
夏場には青色の花が無いんでいいですし、寒暖の差が激しくて、濃い色が出るのでね。ダリアでも美山とか山の方はいい色が出るんです。
当時は僕も農協に務めていて営農指導ということで、地元の女性のグループに依頼して栽培していましたが、人手が足りず手伝うことになりました。
切り花として、花市場に出荷もしていましたが、思ったようにならず、出荷は辞めて8年前にこの場所で景観だけでやることにしました。
花毎スタッフI:
常本さん:
「北山友禅菊」は左京区久多地域に自生していた野生菊であるチョウセンヨメナ(キク科の宿根草・野菊と呼ばれるもののひとつ)の系統の中から特に強健で栽培しやすい系統を選抜したもので、平成9年から左京区久多地域で栽培されています。
花毎スタッフI:
常本さん:
鞍馬の奥にも昔は生えてたいうんですけど……
京大の先生が(自生していた花の)種を持っていたのを植え付けして、選抜してもってきてくれはったんです。その中から輪の大きいのとか八重系を選別して、種が付くかと思ったら、種のつかない品種で……自然交配はなかなか難しい品種やからということで、大学で受粉してもらいました。
私たちが訪ねた2017年8月1日の「北山友禅菊」の開花状況は7分咲きといったところ。
常本さん:
畑の一角では花の摘み取り体験(10本200円)もできます。
久多へは車で向かうのが最も便利。せっかくなので、京都市内から久多の途中にある貴船にも立ち寄りました。 「北山友禅菊」が開花する頃は、川の上で涼を楽しむ川床のベストシーズン。 貴船にたくさんある料理屋さんで川床を楽しみながらランチして、久多に向かうのもおすすめです。
京都は観光には事欠かない街ですが、少し足を延ばせば、まだ知られていない美しい光景に出合える……改めて京都の奥深さを知ったショートトリップでした。
北山友禅菊 (久多花卉組合)
〒520-0463 京都市左京区久多宮の町203
京都市左京区久多宮の町205
観賞園入園料:500円(10本摘み取り付)
見ごろ:7月下旬~8月中旬(例年異なります。最新の情報はFacebookに掲載されています。)
公共交通機関でのアクセス:京阪電車出町柳駅より京都バス「朽木小学校前行き」(土日のみ運行)にて「葛川梅ノ木」バス停下車、徒歩約30分
※車の場合は北山友禅菊専用駐車場(有料)をご利用ください。
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