花の旅人

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思いがけない花との出会いを楽しむ、花の旅のガイド。

〈京都編〉第三話 嵯峨野の雅な花の寺 「旧嵯峨御所 大本山 大覚寺と大沢池」

2018.10.18

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北山友禅菊を訪ねた翌朝、私たちは京都中心部から車で約30分の場所にある、渡月橋や竹林など、京都らしい風情で人気の嵯峨野に位置する「旧嵯峨御所 大本山 大覚寺」を訪ねました。
大覚寺は嵯峨天皇の離宮として建立され、明治時代初頭まで代々天皇もしくは皇統の方が門跡(住職)を務めた格式高い門跡寺院。
いけばな発祥の花の寺でもあり、「いけばな嵯峨御流」の総司所(家元)でもあります。
そして、大覚寺には京都の蓮の名所「大沢池」が。
花の寺と、蓮の名所。真夏の京都ならではの景色を楽しむことができます。

玄関の前庭には「いけばな嵯峨御流」の展示が。

お堂をつなぐ「村雨の廊下」。村雨とは強く降ってすぐ止む雨のこと。 柱を雨に、折れ曲がった廊下を稲妻になぞられて村雨の廊下と呼ばれています。

狩野山楽 作 「牡丹の図」 大覚寺は花の寺と呼ばれるだけあって、襖絵や天井画など、各所に花を見つけることができます。

御霊殿 天井画

大沢池へ

大覚寺さんからお借りした、大沢池一面の蓮の写真。2017年、2018年の蓮は冬場の極端な冷え込みや夏の猛暑で蓮が減少しています。来年はこんな夢のような光景が見れますように……

「大沢池」は平安初期、嵯峨天皇が嵯峨院を造営した際に作庭したとされる、現存する日本最古の庭池。蓮とともに日本三大名月鑑賞地とされる人工の林泉(林や泉水などのある庭園)です。
中秋の名月には「観月(かんげつ)の夕べ」という、池に浮かべた舟から水面に映る月を愛でる、雅やかな催しが行われるそう。

「蓮は泥より出でて泥に染まらず」そんな言葉通りの、神々しい花姿です。

池の一角には白蓮が。

花のお守り

「花守り」4月 桜。 (1月 水仙、2月 梅、3月 菜の花、4月 桜、5月 鈴蘭、6月 紫陽花、7月 トルコ桔梗、8月 向日葵、9月 竜胆、10月 コスモス、11月 嵯峨菊、12月 カトレア)

「花幸守り」右上より水仙、朝顔、桜、紅葉、向日葵、左下より藤、梅、菖蒲、銀杏、白詰草。写真には写っていませんが椿と紫陽花も。

大覚寺には花に由来するお守りがたくさん!
12か月の花が揃う「花守り」や「花幸守り」など、花好きには選ぶのに迷ってしまうほど、さまざなお守りを授けていただくことができます。

「はなびらむすび」は願いごとを書いて結ぶ、願いごとの花びら。

桜型写経に心の文字をなぞって、奉納する「ねがい華写経」も。

「大覚寺」は広大な敷地のいたるところに花にまつわるものが見つかる、花好きにはたまらない、素敵なお寺でした。

次回は緑一色に染まった草庵、祇王寺へ。

旧嵯峨御所 大本山 大覚寺

京都府京都市右京区嵯峨大沢町4
最新情報など詳細については大覚寺のWEBサイトをご覧ください。