週末の一輪

週末、自分のために花を飾りましょう。
花を手軽に楽しむコツを第一園芸のフローリストがご紹介します。

vol.58 アランダ —— 華やぎを運ぶ花

2026.10.15

暮life

週末に、ちいさな楽しみを。
「週末の一輪」は、日々の暮らしにそっとなじみながら、さりげない存在感を放つ季節の一輪を選び、異なる飾り方で少しずつ表情を変えながら、最後まで楽しみつくすための提案です。
月替わりで登場する第一園芸のデザイナーやフローリストが、生け方の工夫や花との向き合い方をご紹介。
毎週木曜の夕方、週末の始まりに、暮らしにそっと花を添えるひとときをお届けします。


実りと彩りを取り入れて

朝晩の空気に秋らしい涼しさが感じられるようになりました。
花市場にも実ものや枝もの、穂ものなど、この季節ならではの花材が並び始めています。

そんな季節の移ろいに合わせて、今週は鮮やかな花色が印象的な《アランダ》を主役にした「週末の一輪」をご紹介します。

■ 今週の主役《アランダ》
鮮やかな花色が印象的なアランダ。赤や紫、オレンジなど南国を思わせる色合いを持ち、一輪でも目を引く存在感があります。

比較的新しい品種で、「アラクリス」と「バンダ」を交配して作出されたランの仲間です。

よく似た花にモカラがありますが、とてもよく似ていることから市場ではモカラとして扱われることもあります。アランダはモカラよりも花付きの茎がやや長く、すっと伸びるラインの美しさも魅力です。

「アランダ」の基本情報

□ 出回り時期:通年
□ 香り:なし
□ 学名:Aranda
□ 分類:ラン科 アランダ属(交配種)
□ 英名:Aranda Orchid
□ 原産地:東南アジアで育成
□ 花ことば:華やかな恋、個性的

■ 秋色を添える果実
今回のアレンジメントでは、アクセントとして柿を合わせました。

秋を代表する果実のひとつである柿は、そのまま飾るだけでも季節感を演出してくれる素材です。花と果実を組み合わせることで、色や質感に変化が生まれ、より豊かな表情に。
柿に限らず、旬のフルーツを花と合わせてみるのも、この季節ならではの楽しみ方です。

■ 染めた花材がつくる秋の表情
近年は花だけでなく、枝ものや葉ものを染めた花材も多く流通しています。

今回、葉を重ねて使用した染めベビーハンズは、自然な色合いが魅力。言われなければ染めだと気付かないような風合いで、花あしらいにさりげなく季節感を添えてくれます。

なお、花材によっては染料を吹き付けて仕上げているものもあります。色移りする場合があるため、衣類や家具などに付着しないようご注意ください。

■ 身近な器で季節を映す
今回使用したのは、マーブル模様が美しいガラスボール型の花器です。

花器として販売されているものですが、ご自宅にある器でも代用できます。器選びに迷ったときは、花や果実に使われている色をひとつ取り入れるのがおすすめです。

色に共通点を持たせることで、全体のまとまりが生まれ、バランスよく飾ることができます。


意外な組み合わせを楽しむ

もうひとつのアレンジメントでは、アランダにススキを合わせました。

南国を思わせる華やかなランと、秋の野を象徴するススキ。一見対照的な組み合わせですが、すっと上へ伸びるシルエット同士が響き合い、不思議な調和が生まれます。

アクセントとして添えたコロニラも軽やかな動きを加え、素材それぞれの魅力を引き立てています。

■ 秋の景色を取り入れるススキ
ススキというと、お月見の花材を思い浮かべる方も多いかもしれません。

けれども、そのやわらかな穂は秋らしい空気感を表現するのにぴったり。合わせる花材によって、和の趣にもモダンな印象にも変化します。

季節の移ろいを身近に感じられる素材として、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。

■ 花器を挿し色に
こちらのアレンジメントには、ターコイズブルーのガラス製一輪挿しを合わせました。

アランダの深い赤、ススキのやわらかなクリーム色、そして花器の鮮やかなブルー。それぞれの色が響き合い、印象的なコントラストを生み出しています。

お気に入りの色の花器をひとつ持っていると、花選びの幅もぐっと広がります。

10月の担当:江辺 雄亮(第一園芸 フローリスト)
鮮やかなアランダは南国のイメージが強い花ですが、実ものや枝もの、穂ものと組み合わせることで、秋らしい表情も楽しめます。

今回は柿やススキと合わせ、季節感のある花あしらいを意識しました。身近な果実や季節の素材を自由に取り入れながら、ご自身らしい秋の花を見つけていただければ幸いです。


花毎でご紹介しているアランダ(モカラ)のお話
・旬花百科 第十九話 「モカラ」

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Text・Photo 第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子