二十四節気の花絵

イラストレーターの水上多摩江さんが描いた季節の花に合わせた、
二十四節気のお話と花毎だけの花言葉。

第四十七話 小寒の花絵「南天」

2020.01.07

life


2020年の花絵は縁起よく「南天」から。

難を転ずる、に通じるということから縁起のよい庭木として栽培されている植物です。
江戸時代には火災除けを願って玄関前に植えられ、次第に鈴なりの赤い実が縁起良きものとなり、慶事にも使われるようになりました。
また、お赤飯に南天の枝を添えるのは、縁起ものとしての役目とともに、南天が持つ毒消しとしての薬効に由来しています。

一方「小寒」とは「寒の入り」の節気にあたり、ここから節分の「寒中」までが、暦の上では最も寒さが厳しくなる頃とされています。
そのようなことから、相手の健康を気遣う「寒中見舞い」を送るのもこの時季に。

今回の作品では赤い実だけではなく、実が熟しても白い「白南天」も一緒に描かれて、静けさの中に温かみがある、水上さんならではの落ち着いた華やかさを感じます。

紅白の南天で新しい年を縁起良く──

どうぞ今年の花絵もよろしくお願い申し上げます。

文・第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子

水上多摩江

イラストレーター。
東京イラストレーターズソサエティ会員。書籍や雑誌の装画を多数手掛ける。主な装画作品:江國香織著「薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木」集英社、角田光代著「八日目の蝉」中央公論新社、群ようこ「猫と昼寝」角川春樹事務所、東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇跡」角川書店など