二十四節気の花絵

イラストレーターの水上多摩江さんが描いた季節の花に合わせた、
二十四節気のお話と花毎だけの花言葉。

第百三十六話 小寒の花絵「オンシジウム」

2026.01.05

life


2026年1月5日から二十四節気は「小寒(しょうかん)」に

寒さが本格化していくころを表した節気です。
二十四節気では「小寒」から「大寒」にかけてが、一年でもっとも冷え込みの厳しい時季にあたりますが、冬至を越え、日差しの長さはわずかずつ増えはじめています。厳しさの中に、次の季節への兆しがひそむときです。

 


小寒の季節感

■ 1月7日「七草」
七草粥をいただき、一年の無病息災を願う日です。正月のごちそうで疲れた胃腸を休め、からだを整える意味合いも持っています。

■ 寒中見舞い
小寒から立春前日までが「寒中」にあたります。この期間に送る寒中見舞いは、厳寒の折の健康を気づかう日本独自の習慣です。年賀状とは異なる、落ち着いた挨拶として受け継がれてきました。

■ 寒稽古・寒仕込み
武道や芸事の世界では寒稽古が行われ、また味噌や酒などの寒仕込みもこの時季に最盛期を迎えます。低温が雑菌の繁殖を抑え、ゆっくりと質を高めていく――小寒は、心身や暮らしを「鍛え」「整える」時間でもあります。

こうした、正月の華やぎから日常へと移り変わる節目に、凛とした空気をまといながら空間を明るくするのが、オンシジウムです。


冬に軽やかな光をもたらすラン ― オンシジウム

□出回り時期:通年
□香り:あり(一部品種)
□学名:Oncidium
□分類:ラン科 オンシジウム属
□別名:オンシジューム、群雀蘭(むれすずめらん)
□英名:Oncidium、Dancing Lady Orchid
□原産地:中央~南アメリカ
□花言葉:可憐、清楚、一緒に踊って

■ オンシジウムとは
オンシジウムは、黄色を中心とした小花が枝分かれしながら連なって咲くランの仲間で、300以上の種があるとされる大きな属です。繊細な茎にひらひらと花弁を広げる姿は、踊り子を思わせるとして親しまれてきました。

ランの中では比較的丈夫で、切り花としても長持ちしやすいのが特徴です。寒い季節でも軽やかな印象を保ち、空間に動きと明るさを添えてくれます。

■ 名前の由来
・Oncidium(オンシジウム)
ギリシャ語の onkos(こぶ・ふくらみ)に由来し、唇弁の基部にある突起的な形状を指したものとされています。

・ダンシングレディ
英名 Dancing Lady Orchid は、花の形がドレスを広げて踊る女性に見えることから生まれた呼び名です。

■ 歴史
オンシジウムは18〜19世紀、ヨーロッパで進んだランの蒐集と温室栽培の流れの中で広く知られるようになりました。多様な自生地を持つことから品種改良が進み、現在では花色やサイズ、咲き方の異なる多くの園芸品種が流通しています。

日本には明治期以降に紹介され、切り花市場では冬から春先を彩るランとして定着してきました。


花毎の花ことば・オンシジウム「喜びの輝き」

一般的にオンシジウムには「可憐」「一緒に踊って」などの花ことばがあります。
いずれも、花弁が揺れ動くように咲く姿や、全体に広がる軽やかな印象から生まれた言葉といえるでしょう。

そうした印象を実感させるように、オンシジウムは枝いっぱいに小さな花を連ね、空間を一気に明るくするランです。
ひとつひとつの花は控えめでありながら、集まることで豊かな輝きを生み出します。

その姿は、大きな出来事だけでなく、日々の中に重なっていく小さな喜びを思わせます。
特別な場面でも、何気ない時間でも、置かれた場所に前向きな空気を運び、気持ちを軽やかにしてくれる存在です。

花毎では、そんなオンシジウムの佇まいから、花ことばを「喜びの輝き」としました。
飾ることで完成する華やかさ、誰かと分かち合うことで増していく明るさ。
オンシジウムは、暮らしの中に確かな輝きを添えてくれる花です。


文・第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子

水上多摩江

イラストレーター。
東京イラストレーターズソサエティ会員。書籍や雑誌の装画を多数手掛ける。主な装画作品:江國香織著「薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木」集英社、角田光代著「八日目の蝉」中央公論新社、群ようこ「猫と昼寝」角川春樹事務所、東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇跡」角川書店など

「銅版画で愉しむ 二十四節気の花ことば 英訳付き」

『二十四節気の花絵』が書籍になりました。
これまでの連載の中から、二十四節気にまつわるお話と、それぞれの節気に合わせて選りすぐった3つの花絵を収録。合計72の花絵と花ことばを、一冊にまとめました。
おやすみ前のひとときなど、心を癒したい時間にぴったりな、大人のための絵本です。英語訳も付いておりますので、海外の方へのギフトにもおすすめです。
WEB連載とはひと味違う、書籍ならではの魅力を、ぜひご堪能ください。
第一園芸の店舗、オンラインショップ、Amazonなどのオンライン書店にてお求めいただけます。