二十四節気の花絵

イラストレーターの
水上多摩江さんが花毎のために描いた、
二十四節気の花々です。

第六十九話 大雪の花絵「ヤドリギ」

2020.12.07

life


2020年12月7日から二十四節気は「大雪(たいせつ)」に

江戸時代に書かれた暦の解説書「暦便覧」によると、大雪とは「雪いよいよ降り重ねる折からなれば也」とあり、つまり「雪が降りしきるころ」といった意味を持つ節気です。
節気の意味合いはともあれ、「だいせつ」ではなく「たいせつ」という読み方がなんとも心地よい響きです。

さて、小雪の始まりは暑いと言えるほどの天気でしたが、わずか2週間の内に一転、真冬のような寒さに。
紅葉も終盤。神宮外苑の銀杏並木も落ち葉の方が多くなってきました。
そして年内の節気も残すところあと一つ。
気ぜわしくも、華やかな時季の始まりです。

「ヤドリギ」

□開花期:2月~4月
□結実期:10月~12月
□学名:Viscum album
□分類:ヤドリギ科ヤドリギ属
□和名:寄生木、宿木、ホヤ 、ホヨ
□英名:Mistletoe
□原産地:ヨーロッパ、アジア

ヤドリギとは落葉樹の枝に根を食い込ませて、養分や水分を得ながら成長する、常緑の寄生植物です。
寄生というと樹木を枯らしてしまうように感じますが、日本に育つヤドリギは自らも光合成を行うため、樹木を枯らすことはほとんどありません。

意外なことに都会でもサクラやケヤキ、エノキなどの木に着生しているヤドリギを見つけることがあります。
木々に葉がある時期は目立ちませんが、落葉した樹木の枝の上に黄緑色の鳥の巣のような丸い塊が付いていたら、それがヤドリギです。
特にクリスマスが近づく頃はヤドリギの実りの時。
絵にも描かれたパールのような白い実や赤い実は鳥たちのごちそうで、食べこぼしの実が枝に落ちて、そこにまた着生するのです。


花毎の花言葉・ヤドリギ〈わたしの願い〉

ヨーロッパやアメリカなどではモミやヒイラギとともにクリスマスのシンボルとして、欠かせない植物がヤドリギです。
冬でも枯れず緑を保ち、根を張らずに生きることから神聖な植物として、古の人々は儀式や万病に効く薬として珍重していました。
また、“Underneath the Mistletoe”という言葉があり、ヤドリギの下にいる女性にはキスをしていいという風習が古くからあります。(ハリーポッターやトイ・ストーリーズといった映画の中でもこのシーンが登場します)
このようなことから、ヤドリギには「困難に打ち勝つ」「忍耐」「kiss me」などの花言葉が付けられました。

どれもヤドリギにふさわしい花言葉と言えますが、今も昔もこの植物に対する気持ちは「願い」という言葉に集約されると思うのです。
誰もが何かの願いを叶えられる、そんな一年の終わりを過ごせるようにという願いを込めて、ヤドリギへの花毎の花言葉は〈わたしの願い〉としました。

文・花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子

水上多摩江

イラストレーター。
東京イラストレーターズソサエティ会員。書籍や雑誌の装画を多数手掛ける。主な装画作品:江國香織著「薔薇の木 琵琶湖の木 檸檬の木」集英社、角田光代著「八日目の蝉」中央公論新社、群ようこ「猫と昼寝」角川春樹事務所、東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇跡」角川書店など