二十四節気の花絵

イラストレーターの
水上多摩江さんが花毎のために描いた、
二十四節気の花々です。

第四十五話 大雪の花絵「椿」

2019.12.03

life

12月7日から21日が2019年の大雪(たいせつ)にあたります。都心に暮らしていると、この時季に大雪(おおゆき)……というような印象ですが、これは標高の高い山では既に積雪があることに由来するようです。

これからの季節は寒さとともに花が少なくなりますが、鉛色の空の下に、数少ない鮮やかな彩りを添えるのが「椿」ではないでしょうか。

この花木は万葉集に登場するほど古くから愛されてきましたが、室町時代から鑑賞が盛んになり、元禄時代の前後に大ブームとなって多様な品種が生み出されました。

椿の散り方は花首から落ちることから、武士が嫌ったとの言い伝えがありますが、本来は将軍、大名、公家、そして藩士たちの間でコレクターともいえる人がいたほどの人気を誇り、各所の庭で大切に育てられていたとか。その結果、日本で作りだされた品種だけでも2000種を超え、海外での作出品種数は5000以上ともされています。

雪の季節に咲く端正な花の色と形、そして一年を通して艶やかな葉──   人を魅了し続ける花、それが椿です。

水上多摩江

イラストレーター。
東京イラストレーターズソサエティ会員。書籍や雑誌の装画を多数手掛ける。主な装画作品:江國香織著「薔薇の木 琵琶湖の木 檸檬の木」集英社、角田光代著「八日目の蝉」中央公論新社、群ようこ「猫と昼寝」角川春樹事務所、東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇跡」角川書店など