第四十六話 冬至の花絵「冬の樅の木」
2019.12.24
暮life
2019年の冬至は12月22日から1月5日。
クリスマスやお正月を含み、2019年の終わりと2020年の始まりをつなぐ節気です。
この作品に描かれた「樅(もみ)」は、真冬でも緑の葉を保ち、樹齢千年を超える木も存在することから生命力の象徴とされ、古来より聖なる木として世界各地で大切にされてきました。
樅の学名はラテン語で「Abies(アビエス)」。
永遠の命という意味ですが、日本では「臣の木(おみのき)」とも呼ばれ、信仰の対象になっていたことからこのような名が付いたとも言われています。
また、モミという名の由来には葉と葉が風で擦れ合う姿が両手を「揉む」姿を思わせることからついたという説など諸説があります。
今年を締めくくる花絵は深々と降る雪の中、
雪の白さに照らし出された樅に希望を見いだす──
そんな一瞬を留めた作品のような気がしています。
冬至の暦からはじまる2020年があなた様にとって、素敵な一年となりますように。
文・第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子
水上多摩江
イラストレーター。
東京イラストレーターズソサエティ会員。書籍や雑誌の装画を多数手掛ける。主な装画作品:江國香織著「薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木」集英社、角田光代著「八日目の蝉」中央公論新社、群ようこ「猫と昼寝」角川春樹事務所、東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇跡」角川書店など
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