二十四節気の花絵

イラストレーターの
水上多摩江さんが花毎のために描いた、
二十四節気の花々です。

第五十話 雨水の花絵「桃」

2020.02.19

life


2020年2月19日から二十四節気は「雨水」に

「桃」は紀元前から食された歴史があり、たくさんの実が「百(もも)」となるため「もも」と呼ばれるようになったともいわれている、縁起の良い果実です。このことから百歳(ももとせ)までの長寿を表し、邪気を払い不老長寿の力があるとされてきました。
フルーツとしての美味しさもさることながら、艶やかな花も魅力で、万葉集の中にも桃の花を詠んだ歌が収められているほど。その後、江戸時代になってから花を鑑賞するために改良された「花桃(ハナモモ)」が作出されました。

3月3日のひな祭りは「桃の節句」とも呼ばれますが、本来「桃」が開花するのは桜とほぼ同じ時季です。これは約ひと月遅れの旧暦の日にちを新暦にあてはめたため、実際の開花とずれが生じているのです。

前出の通り、桜と開花期が重なるため、満開の「桃」の姿は印象が薄いのですが、赤、濃淡のピンクや白といった、桜よりもはっきりと大きな花が咲いてとても華やか。

今回、水上さんが描いた「桃」は、花曇りを思わせる薄水色の空のもと堂々と佇む見事な一木。ただ華やかなだけではない、静かで力強い表現は水上さんならではです。


花毎の花言葉・桃〈ほほ笑み〉

一般に言われている桃の花言葉は「私はあなたのとりこ」「天下無敵」「気立ての良さ」ですが、花毎が考える花言葉は「ほほ笑み」に。
これは七十二候の八候である「桃始笑(ももはじめてさく)」から着想を得たものですが、何より、桃の節句に飾られた、この花の前でほほ笑む少女の姿が思い浮かぶから……

水上多摩江

イラストレーター。
東京イラストレーターズソサエティ会員。書籍や雑誌の装画を多数手掛ける。主な装画作品:江國香織著「薔薇の木 琵琶湖の木 檸檬の木」集英社、角田光代著「八日目の蝉」中央公論新社、群ようこ「猫と昼寝」角川春樹事務所、東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇跡」角川書店など