二十四節気の花絵

イラストレーターの水上多摩江さんが描いた季節の花に合わせた、
二十四節気のお話と花毎だけの花言葉。

第五十九話 小暑の花絵「睡蓮」

2020.07.07

life


2020年7月7日から二十四節気は「小暑」に

二十四節気の解説書に1787年に出版された「こよみ便覧(べんらん)」という本があります。この本によると小暑は「大暑来れる前なれば也」とあり、言うなれば本格的な暑気入りになるころ、といった時季です。関東ではお中元や暑中見舞いのやりとりが始まります。


「睡蓮」

この花がモチーフになるのは二度目。前作が白昼夢のような世界観だったのに対して、今作は昼とも夜ともつかない、静けさを感じる作品です。

睡蓮を数多く描いた画家といえばモネですが、モネが描いた睡蓮は水面に浮かぶように咲く「温帯性スイレン」で、水上さんが描いたのは水面から少し茎を伸ばして花を咲かせる「熱帯性スイレン」です。
意識しなければ違いがわかりづらい二種の睡蓮ですが、色にも違いがあり、温帯性には青系の色は無く、熱帯性には青系の色合いが存在しています。


花毎の花言葉・睡蓮「めぐり逢い」

エジプト神話やギリシャ神話、そして仏教などに「泥に染まらない花」として登場することから「清純な心」「信頼」「信仰」などといった花言葉が付けられています。

一方、花毎が名付けた睡蓮の花言葉「めぐり逢い」とは、睡蓮の花は開閉を繰り返し、やがて水中に沈んでいくことにちなみました。
閉じた花も、時が来ればまた開く──
そんな未来を待つ気持ちをこの花言葉に込めました。

文・第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子

水上多摩江

イラストレーター。
東京イラストレーターズソサエティ会員。書籍や雑誌の装画を多数手掛ける。主な装画作品:江國香織著「薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木」集英社、角田光代著「八日目の蝉」中央公論新社、群ようこ「猫と昼寝」角川春樹事務所、東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇跡」角川書店など