二十四節気の花絵

イラストレーターの水上多摩江さんが描いた季節の花に合わせた、
二十四節気のお話と花毎だけの花言葉。

第六十話 大暑の花絵「ジニア」

2020.07.22

life


2020年7月22日から二十四節気は「大暑」に

暦の上では一年で最も気温が高いころ、とされる季節ですが、今年は梅雨明けが遅く、暦と実際の気候が大きく異なる年となりました。
そして大暑は夏最後の節気。
四季は等分されていますが、夏の節気はことさらあっという間に過ぎて行くように感じます。
子どもの頃には長かったはずの夏が、実はとても短いことを知る……そんな切なさが大暑にはあるように思うのです。


「ジニア」

水上さんの夏のベランダの定番はジニアだそうで、真夏のモチーフはこの花を選んでいただきました。
銅板画に水彩で色を付けて、透明感を活かした手法で描かれたこの絵は、淡い色調でありながら真夏の午後の日差しや、纏わりつくような空気が伝わってくるような不思議な作品です。

さて、ジニアは初夏から晩秋まで花が咲き続けることから「百日草(ヒャクニチソウ)」や「浦島草」、英語では「Youth and Age」といった、長く花が咲くことを連想させる名前が付けられています。

日本には江戸時代に到来し、育てやすく、丈夫なことから学校の花壇や仏花として親しまれてきましたが、最近ではアンティークカラーやポンポン咲きなどの花も増え、おしゃれな花としても人気が高まっています。


花毎の花言葉・ジニア「折れない心」

一般的には「不在の友を思う」「変わらない思い」「幸福」など、咲き続ける花をイメージした花言葉が付けられているようです。

花毎の花言葉を「折れない心」としたのは、この花はひとつの花がずっと咲き続けるのではなく、ひとつが終わっても、また新たな花が次々咲くことで花が継続しているように見えるから──

一見ではわからないタフさ、そんなジニアの力強さをこの花言葉に託しました。

文・第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子

水上多摩江

イラストレーター。
東京イラストレーターズソサエティ会員。書籍や雑誌の装画を多数手掛ける。主な装画作品:江國香織著「薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木」集英社、角田光代著「八日目の蝉」中央公論新社、群ようこ「猫と昼寝」角川春樹事務所、東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇跡」角川書店など