達人の花贈り術

第一園芸のベテラン営業に聞く
日本のしきたりと花にまつわる事柄

第一話「長寿の花贈り」

2019.07.07

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お祝いの種類とマナーについて


<主な長寿祝いの年齢とお祝いの色>
61歳 還暦(かんれき)・赤色
70歳 古希(こき)・紫色
77歳 喜寿(きじゅ)・紫色
80歳 傘寿(さんじゅ)・黄/金茶
88歳 米寿(べいじゅ)・黄/金茶
90歳 卒寿(そつじゅ)・白
99歳 白寿(はくじゅ)・白
100歳 紀寿(きじゅ)または百寿(ひゃくじゅ又はももじゅ)・白/金/桃色


第一園芸で法人営業を担当する小松陽一に、長年の営業経験に基づいた「長寿のお祝いと花贈り」について現在の傾向を聞きました。ご年配の方やご家族のお祝いなどの参考になれば幸いです。

聞き手 I :

まずは長寿のお祝いの種類について教えてください。

小松:

はい。ちょとややこしいのですが、お祝いする年齢は元々数え年で行います。還暦だけはこの習慣が残っており満年齢60歳で行いますが、これ以降のお祝いに関しては、現在は満年齢でお祝いする傾向にあります。例えば米寿は満88歳ということになります。

I :

長年の営業経験上、どの長寿お祝いをご用命された事が多いのでしょうか?

小松:

還暦祝いが圧倒的ですね。やはりこれは人生の節目ということと、おおむね満60歳で定年を迎えますので、この歳で一区切り、長い間ご苦労様ということもあるのでしょう。
他には「喜寿(きじゅ)」、「米寿(べいじゅ)」も多いと思います。

I :

古希はどうでしょう?

小松:

私自身は古希のお祝いをご注文頂いたことはないですね。還暦から10年後なので、(お祝いの間隔が)近いということもあるのでしょう。最近は皆さん若返っていらっしゃいますから。
次の節目は77歳の喜寿、80歳の「傘寿(さんじゅ)」をお祝いされる方も多いです。そして88歳の米寿でしょうね。

I :

還暦の時には「赤いちゃんちゃんこ」が有名ですが、そのほかのお祝いの時にはどのようにしたら良いのでしょうか?

小松:

還暦だからこれをやらなきゃいけないとか、以前は風習も多かったようですが、現在はいろいろなスタイルで行われているようです。「赤いちゃんちゃんこ」については赤ん坊に戻るというところから来たらしいですね。
色でいいますと、70代の古希、喜寿は紫、紺なんです。80代の傘寿、米寿が金茶。
90代の卒寿、白寿、百寿が白。百寿ぐらいになると何色という馴染みがなくなりますね。

I :

おおよそ10年刻みでお祝いがありますが、盛大にお祝いするのは古希、米寿でしょうか?

小松:

これはよく考えていただきたいことで、(お祝いを)盛大にわーっとやりたくなるんですけど、冷静に考えると現代の寿命でも元気な方も多くいらっしゃいますが、一般的には食事が細くなってきたり、体力的にもきつくなるので大宴会を開くとか、あまり大人数で長時間拘束するのは良く無いと思います。
どちらかというと身内だけでのお祝いの方がご本人も気を使わなくて良いかもしれません。

I :

もっとささやかに?そういう意味では花はいいですね。

小松:

祝宴は若い人にはいいんでしょうけど、疲れますよね。
お年を召すに従って、お祝いごとは慎ましやかにやられたほうがご本人のためかと思います。

I :

さて、花の話ですが、誕生日のお祝いですとすぐに花束が思い浮かびますが、これは長寿のお祝いとしても喜ばれるものなのでしょうか?

小松:

生きている花が苦手な方はあまりいらっしゃらないのではないでしょうか。私の経験ですと年齢問わず喜ばれますね。

I :

おいくら位の花が相応しいのですか?

小松:

ご祝儀は両親などの近しい人でしたら2、3万円が相場ですかね。
例えばご祝儀が2万でしたら花が1万円とか。こういう場での花の価格は1万円ぐらいでしょう。
(会社の)異動の時に社交辞令的に出すものでしたら5千円、3千円でしょうけど、毎年ある誕生日ではなくて節目の大事な行事なので、1万円ぐらいの花がおすすめです。

I :

年配の方に贈る花を選ぶ際に、おすすめの色合いを教えてください。

小松:

お祝いは花に限らず、親しい方であれば事前に聞くのがいいと思います。
これが一番間違えがないんです。どの花が好きですか?とか。
先ほど還暦は赤だとか、古希は紫などと言いましたが、色に固執することはありません。
還暦じゃなくても赤い花がお好みということであれば、赤い花にすればいいですし。種類や色目をお祝いされる人に事前に尋ねることが一番ですね。
分からない場合は匂いが強い花などはお見舞いの時と一緒でやめておいたほうがいいですね。

I :

ご本人がお好きだったら話は別ですよね?

小松:

例えば、カサブランカ(注:香りが強いユリ)がお好きだでしたら、全く問題ありません。

I :

聞きづらいときなどはどうしたら良いでしょうか?

小松:

そういう時は人気があるバラがいいですね。贈呈用にしても、お客様からのご注文にしても圧倒的にバラが多いです。
ちなみに母の日のイメージが強いからか、カーネーションのご注文は少ないですね。
バラは高級品のイメージが定着していることもあって、贈り手、受け取り手の双方に安心感があるようです。
胡蝶蘭も高額で知られる花ですが、長寿のお祝いに鉢花を選ばれる方は少ないのではないでしょうか。

I :

長寿のお祝いの色として白や紫色がありますが、花も同じような色を贈るべきでしょうか?

小松:

白や紫のデザインが好まれる方もいらっしゃって、例えば開店祝いで全部真っ白の花、なんていうのもありますが、年配の方に白い花は贈りづらいですね。
90歳だから白い花と言われても、贈られる当人はご存知ない場合がありますから。
多くの方は還暦の赤はご存知でも、その他お祝いの色はご存知ないことが多いです。
年配の方には寒色系の花はお悔やみ系のイメージが根強いです。
もちろん選択肢としてはあっていいと思います。ご本人が青と白にしてね、と言われたら全然問題ありませんが。
お好みが分らない方だったり、ご依頼者様側で決める場合は色はよく注意した方が…せっかくの花が色合いだけでがっかりされるのは残念ですから。