達人の花贈り術

120有余年の歴史を持つ第一園芸が培ってきた、
日本のしきたりに基づいた花贈りのノウハウをお伝えします。

第三話「お悔みの花・お供えの花」

2019.09.03

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◇ 贈る場面 【仏式】

ご葬儀前に贈る
種類枕花
注意点白い花が基本です
相場10,000円~20,000円
お通夜・ご葬儀に贈る
種類スタンド花・お供え花かご
注意点ご遺族、葬儀場などによっても異なるため確認が必要
相場 15,000円~20,000円
初七日・四十九日法要(忌日法要)に贈る 祥月命日・年忌法要(一周忌・三回忌・七回忌・十三回忌等)に贈る
種類アレンジメント
注意点白を基調にした落ち着いた色合いの花
相場(個人)5,000円~ (法人)15,000円~20,000円
お盆・お彼岸(お墓参り)
種類花束(一対)
注意点 特になし
相場 さまざま
お仏壇・お手元供養
種類アレンジメント・花束・プリザーブド/アーティフィシャルフラワー、ミディ胡蝶蘭(白)
注意点 特になし
相場さまざま

◇ 贈る場面 【キリスト教】

ご葬儀前
種類枕花
注意点洋花を使ったアレンジメントをご自宅へお届けする
相場10,000円~20,000円
ご葬儀
種類宗派教会ごとの習わしがあるため確認が必要
注意点白い花が基本ですが、淡い色が入っても可 ※名札は現地ではずされる場合があります
相場15,000円~20,000円

第一園芸で法人営業を担当する小松陽一に、長年の営業経験に基づいた「お悔やみ・お供えの花贈り」について現在の傾向を聞きました。

さまざまな供花(きょうか)

白い花だけの枕花。迷った時は白だけのアレンジメントを。

» メモリアルアレンジ「小波」さざなみ

聞き手 I :

今日はお悔み、お供えの花についてお尋ねします。
まず、ご不幸があった場合には、どのタイミングでどういった花を贈ればよいのでしょうか。

小松:

お通夜や御葬儀前といった、亡くなられて早い段階に贈る花であれば、白色の花で作った「枕花(まくらばな)」と呼ばれるアレンジメントです。
一昔前は真っ白の花だけで作ったアレンジメントが多かったのですが、最近では淡いブルーなどが入ったものなどを選ばれる方もいらっしゃいます。
迷われた時は白だけで作ったアレンジメントが無難ですね。いづれもご自宅にお届けされたり、ご持参なさるものです。

I :

「枕花」は必ず贈るものなのですか。

小松:

これは故人との近さや、お気持ち次第ですので、絶対という訳ではありません。
御葬儀が済んでからお持ちするのでもかまいません。その場合は「枕花」ではなく「供花(きょうか)」、つまりお供えの花となります。
*供花とは、お悔み、お供えの花の総称。

I :

では「供花」を贈る場合のマナーを教えてください。

小松:

先ほどの「枕花」と同じく、白色が基本です。30~40年前は白い菊が中心でしたが、最近はお通夜や告別式などでも、ご遺族からのご要望で白をベースに男性でしたら淡いブルーだったり、女性でしたら淡い紫やピンクといった色の花を加えることが多いですね。最近は和風から洋風の花の傾向になりつつあります。

I :

「供花」を贈る場合、立札は付けるものなのでしょうか。

小松:

社用や弔問客が多い場合でしたら立てますね。それ以外でしたらカードを添えるのがよろしいと思います。ただ、これは決まりではなく、ケースバイケースでさまざまです。

お供えの花

お供えであれば、淡い色が入ったアレンジメントでも可。

» メモリアルアレンジ「流星」りゅうせい

I :

お墓やお仏壇にお供えする場合は一対というイメージがありますが、「供花」の場合には一つでもよいものなのでしょうか。

小松:

基本は一つですね。お仏壇の花は一つでも一対でも構いませんが、お墓は一対が主流です。

I :

この場合も花束よりアレンジメントの方が先様のことを思うとよいのでしょうか。

小松:

お仏壇の花は一般のご家庭ですと花瓶のご用意が無い場合もありますので、アレンジメントがおすすめです。特に先様がご高齢者だったりご年配者だったら、お手間をかけずにお仏前などに置いていただけるのでよろしいかと思います。

白いミディ胡蝶蘭は品格があり、花持ちがよく、更にコンパクトなサイズですので、お供えにも最適です。

» お供え用ミディ胡蝶蘭「スーパーアマビリス」

I :

仏式の場合、御葬儀の次は四十九日になりますが、その時の花贈りを教えてください。

小松:

この場合も白系の花になります。アレンジメント以外では白いミディ胡蝶蘭もよくご注文いただきます。
胡蝶蘭は花持ちがいいので、長くお供えしていただけますし、枕花以外のご用途でしたら、お供え全般にご利用いただけるものなので。

お盆やお彼岸の花

I :

ではお盆やお彼岸にお供えする花についても伺えますか。

小松:

花束でも結構ですし、アレンジメントどちらでもよろしいかと思いますが、やはり先様のお手間を考えるとアレンジメントがおすすめですね。

I :

お墓参りの時は、三本、五本、七本といった奇数で、色も三色(白、黄色、紫)、五色(白、黄色、ピンク、赤、紫)の花という説もありますが……

小松:

今はそういったことをご存知の方も少ないですから、あまり気になさらなくてもよろしいのではないでしょうか。

例えば向日葵がお好きな方でしたら、向日葵を入れたブーケをお供えにしても。このような場合はメッセージカードなどに「向日葵がお好きだったので…」といった一言を添えると、贈る側の思いが伝わります。

» 夏のブーケL (季節限定商品のため、現在は販売しておりません)

I :

故人がお好きだった花をお持ちするのはいかがでしょうか。

小松:

御葬儀が済んで落ち着かれた頃でしたら、お好きだった花をお持ちするものいいですね。
私の経験ですと、桜の季節だったのですが、お棺の周りを桜で飾って、最後の花見というようにしましたところ、ご遺族の方がたいへんよろこんでくださいました。
他には故人の故郷の花とか。とあるお客様のお母様で、沖縄の出身の方なんですけどお棺に沖縄の花をご用意したこともあります。故人のお好きな花がわかっていると、そういったこともできますね。

インテリア小物としてもお使いいただける、ナチュラルでシックなプリザーブドアレンジメントもご用意しております。

» プリザーブドフラワー「パラディ」M

I :

最近では「お手元供養」という場合も多いと聞いていますが、そういった場合のお供えの花を教えてください。

小松:

家族でしたら、お好きな花を1、2輪、写真の近くに置かれるなどはいかがでしょうか。
お供え然とした花というより、ささやかでも花を絶やさないのがご供養になりますね。

I :

夏場はお盆もありますが、花の痛みが気になる時季なので、第一園芸では数年前からプリザーブドフラワーのお供えを作っていて、ご好評をいただいていますが、こういった物はいかがでしょうか。

小松:

やはり夏場は日保ちがしづらいですね。毎日の水を替えていただればだいぶ違いますが、ご高齢の方やお出かけが多い方ですと、生花のお供えはお手間でしょうし、でもお供えが何も無いのも気がひけてしまう方には、プリザーブドのお供えはぴったりですね。

I :

花持ちがよい胡蝶蘭もいいですね。

小松:

はい。胡蝶蘭もおすすめしています。

花毎ではお届けのお供えなどに添えるメッセージカードを無料にて承っております。(ご指定文言を印刷して添付いたします。)

I :

もうひとつ、よくあるケースについて質問です。喪中の葉書が届いてご不幸があったことを初めて知った時は、どういった対応をしたら良いでしょうか。

小松:

そういった場合は花にメッセージカードを付けて、後で知って驚きました、といった内容をお伝えするのはいかがでしょうか。

I :

その時も(日数が経って)落ち着いている場合であれば、花は真っ白では無い方がよいのでしょうか。

小松:

そうですね、お客様からも少し色を添えて、というお声が多いです。真っ白い花だけのご注文は逆に減ってきていますね。私がご注文をいただいた時も、おばあちゃまでしたのでピンク色を入れた花をお届けしたところ、お届け先から綺麗でしたと、喜びのお声をいただきました。

I :

最後にお供え花の価格についてお尋ねします。

小松:

10,000円から20,000円の間といったところですが、比較的15,000円程度でご注文をいただく事が多いですね。でも個人でお出しする場合は5,000円程度でも十分だと思います。