週末の一輪

週末、自分のために花を飾りましょう。
花を手軽に楽しむコツを第一園芸のフローリストがご紹介します。

vol.3 ダリアを主役に──秋の気配を映す、豊かな花のかたち

2025.09.18

life

週末に、ちいさな楽しみを。
「週末の一輪」は、日々の暮らしにそっとなじみながら、さりげない存在感を放つ季節の一輪を選び、異なる飾り方で少しずつ表情を変えながら、最後まで楽しみつくすための提案です。
月替わりで登場する第一園芸のデザイナーが、生け方の工夫や花との向き合い方をご紹介。
毎週木曜の夕方、週末の始まりに、暮らしにそっと花を添えるひとときをお届けします。


深まる秋を花で表現

朝晩の空気に涼しさが増し、日暮れも早くなってきました。
そろそろ、暮らしにも秋の色を取り入れたくなる頃ではないでしょうか。
そんな季節におすすめなのが、これから旬を迎える「ダリア」です。

今回は、複色が美しいダリアに、ブロンズ色の質感の異なる葉を組み合わせ、
スタイリッシュな雰囲気で秋の気配を楽しみましょう。

■ 主役の花材《ダリア・恋金魚》
深いピンクに白が混ざった中輪のダリア「恋金魚」を使用しました。
ダリアは品種の豊富さも魅力で、その時々の出会いを楽しめる花です。
気温や栽培環境によっても表情が変わるため、同じ品種でも少しずつ違うのが面白さのひとつです。

■ 組み合わせる花材《アンスリウム・ブロンズリーフ》
花材としても知られるアンスリウムの葉。
今回は、銅葉と呼ばれるブロンズカラーのタイプを選びました。
深みのある色味が、ダリアの華やかさを引き立ててくれます。

■ 彫刻のような葉姿《ニューサイラン・赤》
細長くしなやかで、刀のようなフォルムをもつニューサイラン。
観葉植物としても人気で、緑や斑入りなど種類がありますが、今回は秋らしい赤色(ブロンズ)を選びました。
70cm前後と長さがあるため、適宜カットして使います。

■ 花器について
ここでは真紅のガラス花器を使用しました。
一見、花を選びそうな色味ですが、花器そのものが主役の一部として映えるため、一輪でも印象的に仕上がります。
お好みの色の花器があれば、迷わず迎えてみてください。

■ 生け方のコツ
まずはニューサイランを、花器の高さの約3倍の長さにカット。
しなやかで丈夫な葉を最初に生けることで、全体の骨格が定まり、花留めとしても活躍します。

続いて、茎が見えない程度に短く切ったアンスリウムの葉を加え、最後に、ニューサイランの半分ほどの長さに切ったダリアを挿します。
(ダリアの葉はすべて取り除いておくと、長持ちしやすくなります)

高さのバランスは、使用する花器に合わせて調整を。
高低差を意識すると、スタイリッシュな印象に仕上がります。


彫刻のように自由に

高さを活かしたスタイルを楽しんだあとは、ニューサイランの葉を切り分け、自由な形で再構成してみましょう。

丈夫な葉なので、写真のように半分に割いて使うこともできます。

細くした葉を花器の縁に沿わせるようにかけ、その空間にアンスリウムの葉と短くカットしたダリアを挿せば完成です。

ニューサイランとアンスリウムの葉は日持ちがよく、ダリアが終わったあとも、他の花と組み合わせて長く楽しめます。
その場合は、マムやアンスリウムなど、存在感のある花がおすすめです。

お手入れと長持ちのコツ

ダリアは茎がやわらかく、水を多く含むため、痛みやすい性質があります。
水は多め(深水)にし、こまめに茎の先を切り戻すことで吸水性が保たれ、花もちがよくなります。

また、ワイヤーも切れる園芸用のハサミがひとつあると安心。
スパッと切れる道具を使うことで、切り口がきれいに保たれ、花への負担も減らせます。

延命剤をお持ちの場合は、最初の一回で使うのがおすすめです。
水の傷みを防ぎ、茎のぬめりや詰まりを抑えることで、清潔な水環境を保ちやすくなります。

こうしたちいさな手間を重ねながら、少しずつ変化していく花の表情を見守る時間も、暮らしの中のささやかな楽しみになるかもしれません。

9月の担当:江辺 雄亮(第一園芸 フローリスト)
「存在感のある花なので、器とのバランスを考えるのが面白いと思います。花や葉の色で秋らしさを楽しんでいただけたらうれしいです」

第一園芸 日本橋店

東京都中央区日本橋3-3-11 第一中央ビル 1階
電話番号 03-6696-8730
営業時間 11:00~19:00
アクセス 日本橋駅 約300m(徒歩約4分)/八重洲地下街出口 約40m(徒歩約1分)

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Text・Photo 第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子