vol.11 ドラゴン柳 ──線の美しさを楽しむ
2025.11.13
暮life

週末に、ちいさな楽しみを。
「週末の一輪」は、日々の暮らしにそっとなじみながら、さりげない存在感を放つ季節の一輪を選び、異なる飾り方で少しずつ表情を変えながら、最後まで楽しみつくすための提案です。
月替わりで登場する第一園芸のデザイナーが、生け方の工夫や花との向き合い方をご紹介。
毎週木曜の夕方、週末の始まりに、暮らしにそっと花を添えるひとときをお届けします。
枝の動きで描く季節の表情
街路樹の葉が落ち始め、景色は冬の気配を感じるような陰影が増してきます。
木々の姿が変わるこの時季には、枝のラインを活かした飾り方はいかがでしょうか。
今回は、曲線が印象的な「ドラゴン柳」と、深みのある色合いの「ヴェルノニア」、そしてクラシカルな雰囲気を添える「バラ」を組み合わせます。

■ 主役の花材《ドラゴン柳》
「ドラゴン柳」は、枝がくるりとねじれた独特の形状が特徴です。
その曲線は空間にリズムを生み、シンプルな花器に生けるだけでアーティスティックな雰囲気を演出します。
「ドラゴン柳」の基本情報
□出回り時期:11月~2月
□学名:Salix matsudana var. tortuosa
□分類:ヤナギ科 ヤナギ属
□別名:雲竜柳(ウンリュウヤナギ)
□英名:Dragon willow
□原産地:中国中北部、朝鮮半島
□花言葉:素早い対応 など
*ドラゴン柳は雲竜柳の一種で、雲竜柳よりも〈うねり〉が強いものを指します。

■ 組み合わせる花材《ヴェルノニア》
ヴェルノニアは鮮やかな紫が印象的なキク科の植物。
野の花の雰囲気があるこの花と、動きのあるドラゴン柳を組み合わせることで、奥行きのあるアレンジに仕上がります。

■ 花器について
高さ約21cm・直径約16cmの、重厚感のある卵型の花器を選びました。
複雑な模様が柳の曲線を引き立て、全体を落ち着いた印象にまとめます。


■ 生け方のコツ
・ドラゴン柳は花器の高さの約3倍にカットし、枝の流れを活かすように斜めに挿します。
・長さがあるものは枝分かれ部分でカットし、2つに分けて生けるとバランスが取りやすくなります。
・柳の枝は手でやさしく曲げると、好みの形に調整できます。
・枝の位置が決まったら、花器の口を覆うようなイメージでヴェルノニアを挿すとバランスよく収まります。

ラインの変化を楽しむ
前半は柳の曲線を際立たせ、後半は全体をコンパクトにまとめて変化をつけてみましょう。
枝の動きと花の重なりが、季節の表情をより豊かにしてくれます。

■ 花器を替えて、もうひとつの楽しみ方
後半は、コバルトブルーと透明なガラスを組み合わせたユニークな花器を選びました。
高さ約13cm・直径約10cmの小ぶりなサイズです。器の質感を変えるだけで、同じ花材でも印象が大きく変わります。

■ 組み合わせる花材《バラ》
素朴な雰囲気のヴェルノニアから、大輪の華やかなバラ《カントリーブルース》に変えて、ドラゴン柳の雰囲気を一変させましょう。


■ 生け方のコツ
・花器の中で花が動いてしまう場合は、余った枝を同じ長さに切りそろえたものを花器に入れると花留めになります。
・バラは鮮やかな色以外にも、写真の《テナチュール》のようなシックな色のバラもドラゴン柳によく似合います。

■ お手入れと長持ちのコツ
・柳は水をよく吸うため、こまめに水替えを行いましょう。先端が茶色くなっている部分があれば、都度カットすると全体が瑞々しく見えます。
・バラは茎を斜めにカットし、葉を整理してから生けると水揚げがよくなります。

11月の担当:山口 愛(第一園芸 フローリスト)
「今回は、枝の動きと花の色の重なりをテーマにしました。
ドラゴン柳の曲線が生み出す立体感と、深みのある花色が響き合い、季節の変化を感じさせてくれます。
週末の空間に、ラインの美しさを取り入れてみてください」

第一園芸 日本橋店
東京都中央区日本橋3-3-11 第一中央ビル 1階
電話番号 03-6696-8730
営業時間 11:00~19:00
アクセス 日本橋駅 約300m(徒歩約4分)/八重洲地下街出口 約40m(徒歩約1分)
第一園芸 全店舗情報
▶ https://www.daiichi-engei.jp/shoplist/
第一園芸 オンラインショップ
▶ https://www.daiichi-engei.co.jp/
Text・Photo 第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子
- 花毎TOP
- 暮 life
- 週末の一輪



