週末の一輪

週末、自分のために花を飾りましょう。
花を手軽に楽しむコツを第一園芸のフローリストがご紹介します。

vol.10 ライスフラワー ──ニュアンスでつくる季節のしつらえ

2025.11.06

life

週末に、ちいさな楽しみを。
「週末の一輪」は、日々の暮らしにそっとなじみながら、さりげない存在感を放つ季節の一輪を選び、異なる飾り方で少しずつ表情を変えながら、最後まで楽しみつくすための提案です。
月替わりで登場する第一園芸のデザイナーが、生け方の工夫や花との向き合い方をご紹介。
毎週木曜の夕方、週末の始まりに、暮らしにそっと花を添えるひとときをお届けします。


姿と色で感じる深まる秋

日ごとに秋が進み、澄んだ光が空気に広がるころ。
街の景色も冬の気配を帯びはじめ、季節の変化を感じる瞬間が増えてきます。
そんな時季に、花の形や色合いで季節の移ろいを楽しんでみませんか?
今回は、米粒のような小花が集まる「ライスフラワー」に、アカバセンニチコウやガーベラを合わせた飾り方をご紹介します。

■ 主役の花材《ライスフラワー》
「ライスフラワー」はオーストラリア原産の植物で、その名の通り米粒を思わせるつぼみが特徴です。
小さなつぼみが集まった姿は、控えめながらも存在感があり、空間にニュアンスを添えてくれます。ドライになっても美しさが保たれるため、長く楽しめるのも魅力です。

「ライスフラワー」の基本情報
□出回り時期:8月~12月
□学名:Ozothamnus diosmifolius
□分類:キク科 オゾタムヌス属
□別名:ホワイトドッグウッド、サゴブッシュ
□英名:Rice flower、 White dogwood、 Sago bush、 Pill flower
□原産地:オーストラリア北東部
□花言葉:豊かな実り など

■ 組み合わせる花材《アカバセンニチコウ》
ワインレッドを思わせる深い赤の葉と茎が印象的な植物です。
白く丸い花を咲かせますが、切り花としては花よりもカラーリーフを楽しむ〈葉もの〉として出回ります。

■ 花器について
高さ約20cmのひょうたん型の花器を選びました。
乳白色のガラスに色付けされた風合いが花色と調和し、全体を温かみのある印象にまとめます。

■ 生け方のコツ
・ライスフラワーは水に浸かる部分の葉を取り除き、花器の高さの約2.5倍にカットして長さを活かします。
・アカバセンニチコウは葉を少し間引くと、抜け感が出て軽やかな印象になります。


柔らかな色あいを楽しむ

前半はライスフラワーの繊細なシルエットを楽しみ、後半はガーベラを加えてパステルカラーの柔らかな雰囲気に変えてみましょう。

■ 花器を替えて、もうひとつの楽しみ方
パステルカラーの花色に合わせて、高さ約8cm・直径約10cmのスリット入りガラス花器を選びました。
淡いグリーンと水色の色合いが花色と響き合い、全体をすっきりと整えます。

■ 組み合わせる花材《ガーベラ》
後半はアカバセンニチコウをガーベラに置き換えてみましょう。
ここでは、かき氷に苺シロップを掛けたような《リサリサ》という八重咲きの品種を選びました。
ガーベラは色や形がとても豊富です。お気に入りの品種を見つけて、ぜひ試してみてください。

■ 生け方のコツ
・ライスフラワーは小枝に分け、葉はすべて取り除きます。
・花は小さなブーケのようにまとめ、器の切れ込みに差し込みます。
・ガーベラを生けた器と、ライスフラワーだけの器を並べると、より華やかで見ごたえのある印象になります。

■ お手入れと長持ちのコツ
・ライスフラワーはドライにも向いていますが、水が下がりやすいため、最初に枝に切り込みを入れてしっかり水揚げを行いましょう。
・ガーベラはこまめな水替えと茎の切り戻しを続けると、より長く楽しめます。

11月の担当:山口 愛(第一園芸 フローリスト)
「今回は、秋の終わりに向かう季節感を、繊細な花材で表現しました。
ライスフラワーの粒状の花と、アカバセンニチコウやガーベラの色合いが響き合い、空間に奥行きを与えてくれます。
それぞれの花材が持つ質感を活かしながら、週末のひとときに季節の移ろいを感じるアレンジを楽しんでみてください」

第一園芸 日本橋店

東京都中央区日本橋3-3-11 第一中央ビル 1階
電話番号 03-6696-8730
営業時間 11:00~19:00
アクセス 日本橋駅 約300m(徒歩約4分)/八重洲地下街出口 約40m(徒歩約1分)

第一園芸 全店舗情報
https://www.daiichi-engei.jp/shoplist/
第一園芸 オンラインショップ
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Text・Photo 第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子