vol.12 パニカム ──色とりどりの実りで暮らしにアクセントを
2025.11.20
暮life

週末に、ちいさな楽しみを。
「週末の一輪」は、日々の暮らしにそっとなじみながら、さりげない存在感を放つ季節の一輪を選び、異なる飾り方で少しずつ表情を変えながら、最後まで楽しみつくすための提案です。
月替わりで登場する第一園芸のデザイナーが、生け方の工夫や花との向き合い方をご紹介。
毎週木曜の夕方、週末の始まりに、暮らしにそっと花を添えるひとときをお届けします。
穂と実で描く季節のニュアンス
11月下旬、街路樹の葉が落ち、空気は冬の冷たさを帯びはじめます。
そんな初冬の週末に、自然の恵みを感じる実ものと、軽やかな枝を取り入れたアレンジはいかがでしょうか。
今回は、染めのニュアンスが美しい「パニカム」に、赤く色づいた「姫リンゴ」、そして野趣を感じる「野バラ(ローズヒップ)」を組み合わせます。

■ 主役の花材《パニカム(染め)》
パニカムはイネ科の植物で、細やかな美しい穂が特徴です。
染め加工を施したものは、自然な質感に色のニュアンスが加わり、初冬の空間に軽やかな彩りを添えてくれます。
「パニカム」の基本情報
□出回り時期:夏~秋
□学名:Panicum
□分類:イネ科 キビ属
□別名:スイッチグラス
□英名:Panicum 、Switchgrass
□原産地:世界各地(主に温帯)
□花言葉:率直 など

■ 組み合わせる花材・前半《姫リンゴ》
小さな赤い実が愛らしい姫リンゴ。食用だけでなく、花材としてもこの時季によく使われます。
エアリーなパニカムと組み合わせて、形や色の違いを楽しみましょう。

■ 花器について
上下を入れ替えて使えるユニークな花器です。
中心部が細くなっているので、パニカムのように細い枝の花材も生けやすいデザインです。


■ 生け方のコツ
・パニカムが長い場合は、枝分かれしている部分でカットします。余った部分が目立たないよう、枝分かれの位置ぎりぎりで切るのがポイントです。
・染めたパニカムは手や服に色が付くことがあるため、取り扱いには注意しましょう。
・姫リンゴを数個入れた後、パニカムを挿します。パニカムはそのままドライになりますので、水は不要です。

小粒の実もので繊細な表情に
後半は姫リンゴを野バラに変えて、違った雰囲気を楽しみましょう。
実ものを変えるだけで、パニカムと花器は同じでも、まったく異なる印象に変化します。

■ 花器を替えて、もうひとつの楽しみ方
前半で使用した花器を、今度は逆さにして使ってみましょう。
逆さにすると、グリーンの部分に水が入り、透明部分はグラスを伏せたような状態になります。

■ 組み合わせる花材・後半《野バラ(ローズヒップ)》
秋の野バラは、自然なラインと赤い実が特徴です。
パニカムと合わせることで、野趣と華やかさが調和した、初冬らしいアレンジになります。


■ 生け方のコツ
・花器の特徴を活かし、大きな口の部分に細かく切り分けた野バラを詰めてから、逆さにします。
・こうした花器でなくても、野バラを花器いっぱいに詰めることで花留めになります。(水は入れません)
■ お手入れと長持ちのコツ
・パニカムは乾燥しても美しいため、ドライにして長く楽しめます。
・実ものは水に浸けて使うこともできますが、傷みが早まるため、今回は水を使わないアレンジにしています。もし水を使用する場合は、短期間の使用にとどめましょう。

11月の担当:山口 愛(第一園芸 フローリスト)
「今回は、初冬の実りを感じる花材を組み合わせました。
パニカムの軽やかな質感と、姫リンゴや野バラの実ものが響き合い、季節の深まりを空間に映し出してくれます。
週末のひとときに、自然の恵みを感じるアレンジを楽しんでみてください」

第一園芸 日本橋店
東京都中央区日本橋3-3-11 第一中央ビル 1階
電話番号 03-6696-8730
営業時間 11:00~19:00
アクセス 日本橋駅 約300m(徒歩約4分)/八重洲地下街出口 約40m(徒歩約1分)
第一園芸 全店舗情報
▶ https://www.daiichi-engei.jp/shoplist/
第一園芸 オンラインショップ
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Text・Photo 第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子
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