第四十三話 大雪の花あしらい「ダイヤモンドリリー」
2024.12.07
暮life
日本では季節の変化を敏感に感じ取り、年中行事や習わしに添った植物を暮らしに取り入れてきました。
「二十四節気の花あしらい」では難しいルールにとらわれず、気軽に季節を感じられる花を楽しむテクニックを第一園芸のデザイナー、志村紀子がご紹介いたします。
2024年12月7日から二十四節気は大雪に
大雪(たいせつ)とは、北国や高い山で雪が本格的に降り始めるころを表した節気です。
今回はその名の通り、きらめくような光沢のある花びらが特徴の「ダイヤモンドリリー」がテーマ。ホリデーシーズンにぴったりな華やかさが魅力のこの花を楽しむ、花あしらいをご紹介します。
ダイヤモンドのように楽しむ
放射状に付く花を活かして、4色のダイヤモンドリリーをぎゅっと揃えて束ね、周囲にぐるりと「アセビ」を添えました。
あえて色は混ぜずに色ごとに分けて、ブリリアントカットのダイヤモンドのような多面体をイメージしています。花の名前や花弁の輝きも含めて楽しむ、特別な日におすすめしたい贅沢な花あしらいです。
こちらは淡いピンクのダイヤモンドリリーをひとかたまりにして、シルバーグリーンの「ダスティーミラー」を添えました。
こうした優しい色合いを引き立てるのが、白い陶器の器です。陶製の器は花が違った雰囲気に見えますので、ひとつ持っていると便利な器です。
色とシルエットを活かす
ダイヤモンドリリーはすっと伸びた茎も魅力のひとつです。
華やかな花と伸びやかな茎、両方が映える大小の細い一輪挿しに生けました。シンプルな一輪挿しに一輪の花もよいものですが、サイズの違う器を組み合わせて使うと立体感が出て見ごたえがアップします。
一輪では寂しいな…と思ったときにお試しいただきたいテクニックです。
ダイヤモンドリリーは花が終わった後に葉が出ますので、花には葉がありません。
そこで、ここでは粒状の花と艶やかなダークグリーンの葉の「スキミア」を添えました。明るい花色にスキミアのような濃色の葉を合わせると、簡単におしゃれな雰囲気が演出できます。
今度は白いダイヤモンドリリーにスキミアと実が小さな松ぼっくりのような「ヤシャブシ」を合わせました。
モノトーンを思わせる色合わせで冬の雰囲気を演出した花あしらいです。
そして、ここまでの花あしらいは全て「白い器」を使用しています。
透明な器も使いやすいものですが、白い器は絵画のフレームのような効果があって、花をより引き立てることがお分かりいただけるかと思います。ぜひ、花あしらいの楽しみが広がるお気に入りの白い器を探してみてください。
花留めを楽しむ
豆をいっぱいに詰めたガラスの器に、ダイヤモンドリリーを一輪あしらいました。
どうやって生けるのか不思議に思われるかもしれませんが、ラン類の切り花などに付いている、水が入るチューブに花を挿して、豆の中に立てているだけです。(小瓶などでも代用できます)
乾燥豆は色々な種類があってビーズのような楽しさがありますので、料理する前にまずは飾ってみるのはいかがでしょう。
色を集めて
白、淡いピンク、ピンク、濃いピンク…さまざまな色のダイヤモンドリリーを小さなガラス瓶に生けて、トレイに集めました。
花がまるで踊っているかのように、あちこちの方向にあしらいましょう。そして、ダイヤモンドリリーならではの花の色や形を楽しむために、ここではその他の花や葉を加えないのが素敵に見えるコツです。
長さを変えたり並べ替えたりすると、また見え方が変わりますので、お手入れを兼ねていろいろな変化を楽しんでみてください。
冬景色のように
3つの花器に、シルバーに塗られた「アスパラガス(アプライト)」とダスティーミラー、そして一輪のダイヤモンドリリーを添えて。
一枚目は淡いピンク、二枚目は濃いピンクと色と配置を変えています。少しの変化ですが、全く違う雰囲気に仕上がりました。
キーンと冷えた冬景色の中に咲いた一輪の花、といったストーリーが思い浮かぶような花あしらいです。
ホリデーシーズンに
白いダイヤモンドリリーと「ヒムロスギ」「ユーカリ」、先ほど使用したヤシャブシやスキミアを合わせました。
12月になるとクリスマスリースやスワッグを作る方もいらっしゃるかと思います。もし、材料が余ったらグリーンがたっぷり入った、こんな花あしらいを試してみませんか。
たくさんの葉物の中に少しのダイヤモンドリリーを加えただけですが、白とグリーンの効果で簡単にクリスマスの雰囲気が感じられる花あしらいになります。
ダイヤモンドリリーは花持ちがよいので、短くなってきたらクリスマスリースのように飾ってみるのもおすすめです。
おもてなしの数時間でしたら、ガラスの器にキャンドル、ヒムロスギやユーカリ、アセビなど、お手元にある葉物を短めに切って入れ、短くなったダイヤモンドリリーを加えるだけです。浅い円形の器を使うだけで、リースの雰囲気が簡単に演出できます。
最近では本物のキャンドルと見紛うようなLEDキャンドルも出回っていますので、そうしたものをお使いになるとより安心かもしれません。
ホリデーシーズンでも、最後の一輪までしっかり花を楽しみつくしましょう。
「ダイヤモンドリリー」の基本情報
□切り花出回り時期:9月から4月
□香り:微香
□学名:Nerine
□分類:ヒガンバナ科ネリネ属
□英名:Nerines、Guernsey lily
□原産地:南アフリカ
志村紀子
東京生まれ。国内を代表するホテル、外資系大手ラグジュアリーホテルのウェディングやパーティー装花に携わり、帝国ホテルプラザ店で活躍。現在は第一園芸を代表するデザイナーとして、Noriko Shimuraブランドを展開。他にも社内スタッフ教育部門の講師、対外的なワークショップ講師、各種商品提案、空間装飾のデザインなどを担当している。
第一園芸オンラインショップ「Noriko Shimura」
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Text・第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子
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