vol.5 フウセントウワタ──秋の気配をユニークな姿で楽しむ
2025.10.02
暮life
週末に、ちいさな楽しみを。
「週末の一輪」は、日々の暮らしにそっとなじみながら、さりげない存在感を放つ季節の一輪を選び、異なる飾り方で少しずつ表情を変えながら、最後まで楽しみつくすための提案です。
月替わりで登場する第一園芸のデザイナーが、生け方の工夫や花との向き合い方をご紹介。
毎週木曜の夕方、週末の始まりに、暮らしにそっと花を添えるひとときをお届けします。
中秋の気配を飾る
「秋の日はつるべ落とし」ということわざの通り、夕暮れの早さに季節の変化を感じる頃となりました。
夜が長くなるこの時期、家で過ごす時間を、少しだけ特別にしてみませんか。
今回ご紹介するのは、風船のようなユニークな姿が印象的な「フウセントウワタ」。
不思議なかたちのこの植物は、インテリアとしても目を引く存在です。
10月の始まりの週末に、個性的な実ものを飾って、季節の移ろいにアクセントを添えてみましょう。
■ 主役の花材《フウセントウワタ(風船唐綿)》
晩夏から晩秋にかけて出回る、ふくらんだ実にやわらかなトゲをまとった植物です。
触れても痛みはなく、優しい質感が特徴的。
名前の通り、風船のように軽やかで、モダンな雰囲気を漂わせます。
さまざまな植物と組み合わせやすく、実ものを飾りたくなる季節の始まりにぴったりの一輪です。
「フウセントウワタ」の基本情報
□出回り時期:8月~11月
□香り:あり(花)
□学名:Gomphocarpus fruticosus
□分類:ガガイモ科 フウセントウワタ属
□別名:風船玉の木
□英名:Swan plant、Balloon plant など
□原産地:南アフリカ
□花言葉:いっぱいの夢(実)など
■ 組み合わせる花材《スモークグラス》
スプレー状に広がる繊細な穂が美しいスモークグラス。
霧が立ちのぼるような印象を添えるこの植物を、フウセントウワタと組み合わせます。
■ 花器について
ぽってりとした白いガラスに、水色のマーブル模様が入った花器を使用しました。
高さ約15cmほどの徳利型で、首がすぼまっているため、茎の細い花材や少ない本数でも安定して生けられます。
■ 生け方のコツ
今回は、フウセントウワタのシルエットを活かすように、長さを生かしたスタイルに。
長さのある花材でも、バランス次第で小さめの花器が活躍します。
花器の高さの約3〜3.5倍の長さにカットしたフウセントウワタを挿し、雲のあいだから満月がのぞくようなイメージで、実のまわりをスモークグラスの穂がふんわりと包むように生けてみましょう。
高さに変化を
週の前半は高さを活かした飾り方を、後半は少し短くカットして、変化をつけてみるのもおすすめです。
■ 花器を替えて、もうひとつの楽しみ方
今回は、グラスを逆さにしたような淡いグレーのガラス花器を選びました。
広がった縁に花や実をのせるように使えるため、フウセントウワタのような大きな実ものも安定して生けられます。
スモークグラスは葉をすべて落とし、花器の高さの約2〜2.5倍にカット。
ふんわりと穂を広げ、先端に実がくるようカットしたフウセントウワタを挿します。
お手入れと長持ちのコツ
植物の茎は、よく切れるハサミで斜めにカットすると、水の吸い上げがよくなります。
フウセントウワタは切り口から白い樹液が出るため、紙などで軽く拭き取ってから生けると水の濁りを防げます。
この樹液は肌に触れるとかぶれることがあるため、触れた際は石けんなどでしっかり手を洗いましょう。
また、フウセントウワタの実は、水に浸けなくても数日間は楽しめます。
余った実ものは、器のそばに添えるだけでも秋らしい演出になります。
10月の担当:久米井 夏実(第一園芸 フローリスト)
「お月見の時期ではありますが、東京の10月第一週はまだ暑さの残る頃。そこで、さわやかな印象の実ものと穂ものを組み合わせました。普段は手に取らないような花材にも、ぜひチャレンジしてみてくださいね」
第一園芸 日本橋店
東京都中央区日本橋3-3-11 第一中央ビル 1階
電話番号 03-6696-8730
営業時間 11:00~19:00
アクセス 日本橋駅 約300m(徒歩約4分)/八重洲地下街出口 約40m(徒歩約1分)
第一園芸 全店舗情報
▶ https://www.daiichi-engei.jp/shoplist/
第一園芸 オンラインショップ
▶ https://www.daiichi-engei.co.jp/
Text・Photo 第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子
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