週末の一輪

週末、自分のために花を飾りましょう。
花を手軽に楽しむコツを第一園芸のフローリストがご紹介します。

vol.35 姫リョウブ ── 新緑の気配

2026.05.07

life

週末に、ちいさな楽しみを。
「週末の一輪」は、日々の暮らしにそっとなじみながら、さりげない存在感を放つ季節の一輪を選び、異なる飾り方で少しずつ表情を変えながら、最後まで楽しみつくすための提案です。
月替わりで登場する第一園芸のデザイナーやフローリストが、生け方の工夫や花との向き合い方をご紹介。
毎週木曜の夕方、週末の始まりに、暮らしにそっと花を添えるひとときをお届けします。


くらしに美しい緑色を取り入れて

大型連休が明け、街や暮らしのリズムが少しずつ日常へと戻ってきました。
日中は上着がいらないほどの陽気の日もあり、初夏の気配をはっきりと感じます。
一方で朝晩にはまだ涼しさが残り、その緩やかなコントラストが季節の移ろいを印象づける頃です。

花もまた、可憐な春の装いから、空気感や動きを楽しむものへと目が向いてきます。
そんな連休明けの節目に、しなやかな枝ぶりと白い花穂が涼やかな《姫リョウブ》を主役にした「週末の一輪」をご紹介します。

■ 主役の花材《姫リョウブ(コバノズイナ)》
姫リョウブは、名前に「リョウブ」とつきますが、日本原産のリョウブ(令法)とは別の植物です。
本来のリョウブ(令法)は落葉高木で、夏に花を咲かせる樹木。
一方、姫リョウブは北アメリカ原産のズイナ科の低木で、花の姿が似ていることから「姫リョウブ」と呼ばれるようになりました。

正式な和名であるコバノズイナは、日本に自生する「ズイナ」よりも葉が小さいことに由来します。
「瑞菜(髄菜)」という言葉は、枝の芯(ずい)や植物の利用に由来する、古くからの呼び名です。
花の現場で「リョウブ」として流通するものの多くは、この姫リョウブを指している、という点を押さえておくと分かりやすい花材です。

「姫リョウブ」の基本情報
□ 出回り時期:4月~6月
□ 香り:あり
□ 学名:Itea virginica
□ 分類:ズイナ科 ズイナ属
□ 別名:小葉瑞菜(コバノズイナ)、アメリカズイナ
□ 英名:Virginia sweetspire、Virginia willow
□ 原産地:北アメリカ
□ 花ことば:あふれる思い、リラックス など

■ 組み合わせる花材《スプレーバラ・ストロベリーモンローウォーク》
繊細な枝葉が美しい姫リョウブを引き立てる花材として、スプレーバラを組み合わせました。
今回は、白にほんのりとピンクがのる《ストロベリーモンローウォーク》という、可憐な表情が魅力の品種です。
このようなナチュラルな雰囲気をもつバラは、姫リョウブの佇まいによくなじみます。

■ 組み合わせる花材《テマリソウ》
今回は、もう一種類の花材として《テマリソウ》を加えました。
別名「ダイアンサス」とも呼ばれ、マリモを思わせる丸い花姿が印象的なナデシコの仲間です。
ふわふわとした質感を活かして花器の口元にあしらい、アクセントとして、また花留めの役割も担っています。

■ 花器について
さまざまな色がアクセントに入った、吹きガラスの一輪挿しを選びました。
個性的でありながらも、すらりとしたシルエットとやさしい色合いが繊細な花材をうまくまとめてくれる花器です。

■ 生け方のコツ
・姫リョウブは、先端や節の一部に葉を残し、その他は取り除いて使用しました。こうすることで、姫リョウブならではの美しい枝の動きが際立ちます。
・葉の量を抑えることで蒸散が防げ、水落ちしにくくなります。
・姫リョウブは花器に対して1:2程度の長さにすると、バランスよく見えます。
・最初に花器の口元にテマリソウを挿し、その後にほかの花材を生けると、狙った位置に生けやすくなります。


盆栽のように楽しむ

背丈の高さを活かした生け方を楽しんだ後は、盆栽のように景色を思い描きながら、コンパクトに生け替えてみましょう。
使用する花材は前半とすべて同じですが、生け方を変えることで、まったく異なる印象が生まれます。

■ 後半の花器
小鉢のようなサイズの花器を使用しました。
口が広いため、細い茎の花材を留める目的で、テマリソウを先に生けて花留めとしています。
テマリソウの細かな総苞が枝をやさしく支え、思い通りの位置に固定しやすくなります。

■ 生け方のコツ
・姫リョウブは枝に切り込みを入れると、水揚げがよくなります。
・葉は先端を残し、ほとんどを落として使用しました。少量でも瑞々しさは十分に表現できます。
・姫リョウブは長く、バラは短めに生けてコントラストをつけると、盆栽のような趣が生まれます。

5月の担当:江辺 雄亮(第一園芸 フローリスト)
5月は新緑が美しく、バラも見頃を迎える季節。
その季節感を活かせる花材として、今回はこの組み合わせを選びました。
枝ぶりに表情のある姫リョウブと、品種が豊富にそろう今ならではのバラを、ぜひこの時季にお楽しみください。
また今月の第一園芸では、新緑の色合いが印象的な花や枝ものをご紹介するフェアを開催しています。
この機会に、季節の緑がもたらす美しさに触れていただければ幸いです。

第一園芸 日本橋店

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Text・Photo 第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子