花の旅人

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〈北海道ガーデン街道 vol.1〉第二話 六花亭の包装紙に描かれた山野草の森「六花の森」

2018.07.27

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*写真提供:六花亭製菓株式会社

第一話の大森ガーデンから車で約45分、次に向かったのは中札内村(なかさつないむら)にある「六花の森」。
ここは北海道を代表する製菓会社、六花亭製菓による、丘や小川、小さな美術館が点在した100,000平方メートルにも及ぶ森です。20年ほど前は荒地だったこの土地を10年の歳月をかけて自然の再生に取り組み、2007年にオープン。今ではせせらぎが流れ、季節折々の花が咲く、自然を満喫できる心地良い場所へと生まれ変わりました。

※写真は4月から6月ごろにかけて咲く「エゾノリュウキンカ (蝦夷立金花)」。別名ヤチブキ。北海道や東北地方などの湿地にツヤのある黄金色の花が立ち上がって咲く、北海道の春を告げる花です。

十勝六花(とかちろっか)

*写真提供:六花亭製菓株式会社

画家・坂本直行氏によって描かれ、六花亭の代名詞となった花柄の包装紙。この包装紙に描かれた23種の山野草の内、エゾリンドウ、ハマナシ、オオバノエンレイソウ、カタクリ、エゾリュウキンカ、シラネアオイの6種類が「十勝六花」です。この「十勝六花」が「六花の森」のコンセプトとなり、季節ごとに園内を彩ります。

ウッドチップが敷き詰められた遊歩道をたどりながら、初夏の森へと歩を進めます。

「ハマナシ」の花

私たちが伺った7月上旬は「十勝六花」の一つである「ハマナシ」が見ごろを迎えていました。
ハマナシはハマナスとも呼ばれる、甘い香りがするバラ科の低木。「北海道の花」でもあります。
ハマナシ(浜梨)ではなく、ハマナス(浜茄子)ではないかとの問いかけがあるそうですが、「六花の森」では〈ハマナシ〉と呼ばれています。
それは前出の坂本直行氏の説かれた〈木になった実の形が茄子ではなく梨に近いこと、東北地方の発音が「し」を「す」と発音すること〉に由来があるそうです。こんなところにも地元の方々のハマナシに対する想いが感じられます。

森の中の小さな美術館

「六花の森」にはクロアチアの古民家を移築した、素朴で可愛らしい建物が点在。それぞれが作品館として画家、坂本直行氏の作品や、地元に縁のある作家の作品などが展示されています。
森の中にポツリポツリとある小さな美術館を訪ねながら、小川のせせらぎや鳥の声を聴き、自然をゆったりと楽しむ…
「六花の森」ならではの素敵なひとときです。

オオバナエンレイソウ

*写真提供:六花亭製菓株式会社

「六花の森」スタッフの金澤さんから、六花の森のお好きな場所を教えていただきました。

金澤さん:

今の時期は跡形もないのですが、「オオバナノエンレイソウ(大花延齢草)* 」の群生地の春先がすごくきれいなんです。
「オオバナノエンレイソウ」のベストシーズンは5月中旬がピークなんですが、今年(2017年)は雪解けが早かったせいか、5月初めにピークが来て、花が終わるのが早かったですね。
いまは「ハマナシ」がきれいな時期です。「六花の森」は咲く花が変わると雰囲気が全く違って見えるので、毎日見飽きることがありません。

* オオバナノエンレイソウ
漢字では「大花延齢草」と書く、発芽から花が咲くまで10年から15年かかる、北海道や本州北部の森に群生する植物。三枚の葉と三枚の白い花びらが特徴。

*写真提供:六花亭製菓株式会社

私たちは時間の都合で伺うことが叶いませんでしたが、「六花の森」から車で10分ほどの距離にも六花亭が運営する「中札内美術村」があります。こちらは柏の木の中に6つの美術館とレストラン、ショップが点在する趣の異なる施設。
せっかくここまで来たなら「六花の森」とあわせて訪ねたい場所です。第三話は丘の上から十勝を見渡すガーデン「十勝ヒルズ」へ。

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〈北海道ガーデン街道 vol.3 初夏編〉第一話 森林浴とお菓子を楽しむ「六花の森」

六花の森・中札内美術村

■六花の森
北海道河西郡中札内村常盤西3線 249-6
■中札内美術村
北海道河西郡中札内村栄東5線
http://www.rokkatei.co.jp/facilities/
冬季休業期間があります。営業時間、入館料などの詳細につきましては六花亭の施設案内をご覧ください。