週末の一輪

週末、自分のために花を飾りましょう。
花を手軽に楽しむコツを第一園芸のフローリストがご紹介します。

vol.45 ガマ —— 涼を感じるスタイリッシュな夏景色

2026.07.16

life

週末に、ちいさな楽しみを。
「週末の一輪」は、日々の暮らしにそっとなじみながら、さりげない存在感を放つ季節の一輪を選び、異なる飾り方で少しずつ表情を変えながら、最後まで楽しみつくすための提案です。
月替わりで登場する第一園芸のデザイナーやフローリストが、生け方の工夫や花との向き合い方をご紹介。
毎週木曜の夕方、週末の始まりに、暮らしにそっと花を添えるひとときをお届けします。


古くから親しまれる水辺の植物

夏の暑さが日に日に深まり、間もなく「大暑」を迎えるころ。2026年は7月20日が海の日。三連休をきっかけに、夏らしい時間を過ごす方も多いのではないでしょうか。

この時季、花屋にはお盆を前に、いつもとは少し違った表情の花材が並び始めます。すっと伸びる葉や茎、個性的な花穂。夏ならではの植物の姿は、シンプルに生けるだけでも空間に涼やかな景色をつくってくれます。

今回は、夏からお盆の時期に出回る《ガマ》を主役にした「週末の一輪」をご紹介します。

■ 主役の花材《ガマ》
ガマは、水辺に自生する多年草の植物です。夏になると茎の先に特徴的な花穂をつけ、その素朴な姿から古くより日本人に親しまれてきました。

『古事記』の「因幡の白兎」にも登場し、傷ついた兎がガマの穂を使って傷を癒やしたという逸話を、聞いたことのある方もいるかもしれません。

そんななじみ深い植物でありながら、花として飾る機会は意外と多くありません。しかし花材として見ると、その魅力はとても現代的です。

すっと立ち上がる茎や葉が描く直線的なフォルムは、シンプルな空間にもよく映えます。長さを活かしてさらりと生けるだけで、軽やかで洗練された景色を楽しむことができます。

「ガマ」の基本情報
□ 出回り時期:6月〜8月
□ 香り:なし
□ 学名:Typha latifolia
□ 分類:ガマ科 ガマ属
□ 別名:御簾草(みすぐさ)
□ 英名:Cattail
□ 原産地: 北半球の温暖地帯、オーストラリア など
□ 花ことば:素直、従順

■ 花器について
長さのあるガマは、安定感のある花器に合わせ、その伸びやかな姿を活かして生けてみましょう。
素朴でシンプルな花材だからこそ、華やかな花器とも好相性。花器の口が細めのものを選ぶと、茎が広がりにくく、まっすぐなラインをきれいに見せることができます。

今回は3つの花器に、それぞれ1本ずつガマを挿して飾りました。1本ずつすっと立たせ、花器の配置を変えることで、さまざまな表情を楽しむことができます。
もちろん、花器ひとつでもスタイリッシュ。ワインボトルなどでもお試しいただけるテクニックです。

■ コンパクトに楽しむ
ガマは短く生けても魅力的です。高さを抑えることで、特徴的な花穂の存在感がより際立ちます。

短く飾る場合も、口の細い花器がおすすめ。すっと立ち上がる姿を活かして、シンプルに生けてみましょう。
花器の口径に合わせて本数を調整すると、垂直のシルエットが引き立ちます。

■ 生け方のコツ
ガマは茎が細く、花器の中で動きやすい花材です。数本を輪ゴムで軽く束ねてから生けると、まとまりやすくなります。

葉先は茶色く傷んでいることがあります。気になる部分は葉の形に沿ってハサミでカット。少し整えるだけで、葉がいきいきと美しく見えます。


夏を彩る、もう一輪《クルクマ》

今回はもう一種類、お盆の時期にもおすすめしたい夏の花をご紹介します。
どこかエキゾチックで、涼やかな姿の《クルクマ》。東南アジアなどの熱帯地域を原産とするショウガ科・ウコン属の植物で、名前からもわかるようにウコンの仲間です。

見た目の美しさだけでなく、暑い時季にも楽しみやすいのが魅力。
暑さに比較的強く、花持ちが気になる夏にも取り入れやすい花のひとつ。花びらのように見える部分は「苞(ほう)」と呼ばれ、その内側に小さな花を咲かせます。

■ 数本でも魅力的
クルクマは、一輪でも見応えのある花。たくさんの本数を使わなくても、その特徴的なフォルムを十分に楽しむことができます。
今回は3本のクルクマを、2本と1本に分けてふたつの花器へ。飾る場所を少しずらすだけでも、空間に広がりが生まれ、より印象的な景色になります。
ナルコランのような涼やかな葉ものを添えるのもおすすめ。みずみずしい表情が加わります。

■ 生け方のコツ
クルクマの葉は、大きく存在感があるぶん、表面の汚れが目立つことがあります。
気になるときは、水で濡らして固く絞ったタオルなどでやさしく拭き取ってから花器へ。葉の緑が鮮やかになり、花全体がいきいきと見えます。

7月の担当:上野 紗弥子(第一園芸 フローリスト)
夏の暑さが本格的になるこの時期は、花の持ちが気になる季節でもあります。ガマのすっと伸びる姿や、暑さに比較的強いクルクマなど、夏ならではの花材を選ぶのもおすすめです。
お盆を前に花屋に並ぶ季節の花を、まずは少ない本数から。夏の景色を切り取るように、気軽に飾ってみてください。

第一園芸 日本橋店

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Text・Photo 第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子