vol.42 アストランティア ── 七夕を前に
2026.06.25
暮life

週末に、ちいさな楽しみを。
「週末の一輪」は、日々の暮らしにそっとなじみながら、さりげない存在感を放つ季節の一輪を選び、異なる飾り方で少しずつ表情を変えながら、最後まで楽しみつくすための提案です。
月替わりで登場する第一園芸のデザイナーやフローリストが、生け方の工夫や花との向き合い方をご紹介。
毎週木曜の夕方、週末の始まりに、暮らしにそっと花を添えるひとときをお届けします。
ひとあし早く、星のかたちを暮らしに
6月も終わりに近づき、暦はまもなく7月へと移ろいます。
梅雨の合間にのぞく青空や、少しずつ強さを増す日差しに、夏の訪れを感じる頃となりました。街では七夕飾りを見かける機会も増え、一年に一度の星の物語に思いを馳せる季節でもあります。
夜空を見上げる機会が少なくなった今だからこそ、身近な場所で星を感じてみるのも素敵かもしれません。
今回は、まるで小さな星のような花姿を持つ《アストランティア》を主役にした「週末の一輪」をご紹介します。

■ 主役の花材《アストランティア》
アストランティアは、繊細で可憐な花姿が魅力の多年草です。
中心に小さな花が集まり、その周囲を星形の総苞片が取り囲む独特の構造を持っています。その姿は夜空に輝く星のようにも見え、見る人の想像力をかき立てます。
派手さはありませんが、近づいて眺めるほどに美しさが感じられる花が魅力。
ガーデニングの花として親しまれていましたが、近年では切り花としても人気が高く、季節を問わず楽しめる花材のひとつとなっています。
「アストランティア」の基本情報
□ 切り花出回り時期:通年
□ 開花期:5月中旬~7月中旬(秋にも咲くことがある)
□ 香り:なし
□ 学名:Astrantia major
□分類:セリ科 アストランティア属
□ 別名:Masterwort、Hattie’s pincushion
□ 原産地:ヨーロッパ
□ 花ことば:いたわり、愛の渇き、星に願いを など

■ 花色のバリエーション
アストランティアには、今回使用した白やグリーンがかった品種の他にピンク系の花色があります。
やわらかなピンクや深みのあるローズピンクなど、光の加減によって表情を変える繊細な色あいが魅力です。
アンティークな雰囲気を持ち、可憐でありながら甘くなりすぎず、季節を問わずさまざまな花と組み合わせやすい花材です。

■ 組み合わせる花材《ベビーハンズ(キイチゴ)》
ベビーハンズは、キイチゴの若葉を楽しむグリーン素材です。
名前の通り、小さな手のひらのような葉が愛らしく、軽やかな動きを生み出してくれます。
繊細なアストランティアに対して、ベビーハンズは自然な広がりや奥行きを加える存在。
星のような花をやさしく包み込むように添えることで、いきいきとした雰囲気に仕上がります。

■ 前半の花器
前半で使用したのは、ほんのりとグリーンを帯びた大ぶりのガラス花器です。
透明感のあるガラスはアストランティアの繊細な魅力を引き立てながら、季節の光や空気感も一緒に取り込んでくれます。
大きめの花器にゆったりと生けることで、花材の持つ自然なラインを生かすことができ、初夏らしい軽やかな印象が生まれます。
■ 生け方のコツ
アストランティアのナチュラルな雰囲気を活かすため、いじりすぎずに生けるのがおすすめです。
・高さを揃えず、自然なリズムを出す
・ベビーハンズは伸びやかなラインを生かし、花器の高さの約3倍を目安に
・アストランティアはベビーハンズの1/2程度の長さに
・水に浸かる葉は取り除く

花器で印象を変える
同じ花材でも、花器を変えるだけで印象は大きく変わります。
後半ではターコイズブルーのガラス花器に生け換えてみましょう。
透明なガラスではやわらかくナチュラルに見えていたアストランティアが、鮮やかなブルーと組み合わさることで一気に夏らしい表情へと変化します。
花材を変えなくても、花器ひとつで季節感や雰囲気を演出できます。

■ 花器について
今回使用したターコイズブルーの花器は、夏の海や空を思わせる鮮やかな色合いが特徴です。
印象的な色を持ちながらも、さまざまな花材と相性がよく、使い勝手のよい花器のひとつとして、プロも愛用しているもの。
繊細な花から枝ものや大輪の花まで幅広く受け止めてくれる懐の深さがあります。
■ 生け換えのコツ
・重みのある花器にあわせて、ベビーハンズは花器の高さの約1.5倍を目安に
・アストランティアはベビーハンズの1/2程度の長さに整えます
・花器の口が広めの場合は口元に枝葉を集めて、全ての茎が安定するようにします
・気温が高い時期は水の交換をできれば毎日行いましょう
・水の交換の度に茎を洗うとより清潔に保てます

6月の担当:吉岡 美季(第一園芸 フローリスト)
七夕を前にすると、空や星に目を向ける機会が少し増えるように感じます。
アストランティアは、近づいて見ると小さな星が集まっているような不思議な美しさを持った花です。
忙しい毎日の中でも、花を眺める時間は気持ちを整えてくれるもの。
季節の移ろいを感じながら、お気に入りの場所に小さな星を飾るような気持ちで楽しんでいただけたら嬉しいです。
花毎でご紹介しているアストランティアのお話
・二十四節気の花絵 第百三十話 小暑の花絵「アストランティア」

第一園芸 日本橋店
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Text・Photo 第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子
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