週末の一輪

週末、自分のために花を飾りましょう。
花を手軽に楽しむコツを第一園芸のフローリストがご紹介します。

vol.57 カーネーション —— 秋色を重ねるカラーコーディネート

2026.10.08

暮life

週末に、ちいさな楽しみを。
「週末の一輪」は、日々の暮らしにそっとなじみながら、さりげない存在感を放つ季節の一輪を選び、異なる飾り方で少しずつ表情を変えながら、最後まで楽しみつくすための提案です。
月替わりで登場する第一園芸のデザイナーやフローリストが、生け方の工夫や花との向き合い方をご紹介。
毎週木曜の夕方、週末の始まりに、暮らしにそっと花を添えるひとときをお届けします。


深まる秋の色を映す、ダークピンクのカーネーション

季節が秋へと深まる10月。街や自然の景色にも落ち着いた色合いが増え、花の色合わせを楽しむのにぴったりの季節となりました。
今週ご紹介するのは、ダークピンクの《カーネーション》を主役にしたアレンジメントです。

秋らしい深みのある花色に、葉ものや花器、果実の色を重ねながら、秋ならではの色合わせを取り入れてみませんか。

■ 今週の主役《カーネーション》
カーネーションは古代ギリシアや古代ローマ時代から親しまれてきた歴史ある花です。長い年月をかけて品種改良が重ねられ、現在では赤やピンク、白をはじめ、グリーンやブラウン系まで豊富な花色が揃っています。

今回使用した「ルージュロワイヤル」は、幾重にも重なる花びらと深みのあるダークピンクの花色が魅力の品種です。落ち着いた色合いは、秋の花材や実ものとも相性よく合わせることができます。

「カーネーション」の基本情報

□ 出回り時期:通年(旬は4~6月)
□ 香り:あり
□ 学名:Dianthus caryophyllus
□ 分類:ナデシコ科 ナデシコ属(ダイアンサス属)
□ 別名:和蘭石竹(おらんだせきちく)
□ 英名:Carnation
□ 原産地:南ヨーロッパ、西アジア
□ 花ことば:至上の幸福、無垢で深い愛、女性の愛

■ 葉ものがつくる秋の表情
今回のアレンジメントでは、カーネーションに個性的な葉ものを合わせました。

アンスリウムは花だけでなく葉も流通しており、独特の光沢感や個性的なフォルムが魅力の花材です。深みのあるブロンズカラーは秋の花々とも好相性で、アレンジメントに洗練された印象を添えてくれます。

また、「入才(にゅうさい)」の名でも知られるニューサイランは、剣のように伸びるシャープな葉姿が特長。フローリストの間では、カットしたり曲げたりしながら形を変え、デザイン素材として用いられることも少なくありません。

今回はニューサイランを花器の高さの約2倍に切りそろえ、花留めとして使用しました。葉の直線的なラインが全体を引き締めながら、花を美しく支えています。

さらに、アンスリウムの葉を斜めに添えることで、シンプルな構成の中に動きとアクセントを加えました。

■ 花器もカラフルに
鮮やかなターコイズブルーが目を引くガラス製の花器を選びました。

深みのあるピンク色のカーネーションやブロンズカラーの葉ものと組み合わせることで、互いの色が引き立ち、印象的なコントラストが生まれます。

花器は花を飾るための脇役と思われがちですが、色を意識して選ぶことでアレンジメント全体の印象は大きく変わります。

また、この直方体の花器は縦向きにも横向きにも使用できるため、生け方のバリエーションが広がるのも魅力。花の高さやボリュームに合わせて向きを変えることで、さまざまな表情を楽しめます。


色を重ねるアレンジメント

もうひとつのアレンジメントでは、ダークピンクのカーネーションに赤いブドウ「サマードルチェ」を添え、赤い吹きガラスの花器を合わせました。

花、果実、花器を同系色でまとめることで、色の濃淡が美しく響き合うアレンジメントに。深まりゆく秋を感じさせる、落ち着いた雰囲気に仕上がっています。

花の色に合わせて花器の色を選ぶと、統一感が生まれ、印象的なコーディネートをつくることができます。

■ ブドウとコロニラが添える表情
果実や野菜は、花にはない質感や存在感を持つ素材です。色や形の異なる素材を組み合わせることで、アレンジメントの表情もぐっと豊かに。
ここでは赤いブドウを添え、カーネーションや花器と色を重ねることで、奥行きのある秋らしい雰囲気が生まれました。

赤系の色合わせの中にはアクセントとしてコロニラを一枝加えました。
細やかな葉がふわりと広がるコロニラは、軽やかでやさしい雰囲気が魅力。しなやかな動きが加わることで、アレンジメント全体にリズムが生まれ、花々がより生き生きと見えてきます。

■ 色のある花器を取り入れる
赤い吹きガラスの花器は、手吹きならではのやわらかなフォルムが魅力です。
ガラスならではの透明感と鮮やかな色合いが花の魅力を引き立て、花器そのものも色合わせの一部として楽しむことができます。

前半で使用したターコイズブルーの花器も同様に、鮮やかな色の花器は一見難しそうに見えて、実は花との組み合わせを考える楽しみが広がるアイテムです。

もちろん透明な花器も合わせやすいのですが、お気に入りの色の花器をひとつ持っていると、花をもう一輪加えるような感覚で色合わせを楽しむことができます。

10月の担当:江辺 雄亮(第一園芸 フローリスト)
秋が深まるこの時季は、花そのものだけでなく、花器や葉もの、果実との色合わせがおもしろくなる季節です。

今回はダークピンクのカーネーションを中心に、対照的なターコイズブルーの花器を合わせたアレンジメントと、赤系のグラデーションでまとめたアレンジメントを制作しました。

同じ花でも組み合わせる色によって印象は大きく変わります。ぜひお好みの色合わせを見つけながら、秋ならではの花の魅力を楽しんでみてください。


花毎でご紹介しているカーネーションのお話
・旬花百科 第三話 「カーネーション」
・二十四節気の花絵 第百十六話 立夏の花絵「カーネーション」
・二十四節気の花あしらい 第二十四話 立夏の花あしらい「カーネーション」

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Text・Photo 第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子