週末の一輪

週末、自分のために花を飾りましょう。
花を手軽に楽しむコツを第一園芸のフローリストがご紹介します。

vol.60 バラ —— 時を超えて愛される花

2026.10.29

暮life

週末に、ちいさな楽しみを。
「週末の一輪」は、日々の暮らしにそっとなじみながら、さりげない存在感を放つ季節の一輪を選び、異なる飾り方で少しずつ表情を変えながら、最後まで楽しみつくすための提案です。
月替わりで登場する第一園芸のデザイナーやフローリストが、生け方の工夫や花との向き合い方をご紹介。
毎週木曜の夕方、週末の始まりに、暮らしにそっと花を添えるひとときをお届けします。


身近に楽しむバラ

10月も終わりを迎え、街路樹の葉は少しずつ色づき始めました。

朝晩の空気にはひんやりとした気配が混じり、秋の深まりを感じる頃。実ものや紅葉した枝ものなど、この時季ならではの花材も豊富に出回っています。

そんな秋の彩りに寄り添いながら、今週は《バラ》を主役にした「週末の一輪」をご紹介します。

■ 花の女王《バラ》
花の中でも特に高い人気を誇るバラ。

古代から観賞用として親しまれ、装飾や香料などにも利用されてきました。その優雅な姿や香りは時代を超えて愛され続け、「花の女王」と称される存在です。

赤やピンク、白、黄色、オレンジ、複色など花色は実に多彩。美しい花姿はもちろん、一本飾るだけでも空間を華やかに彩ってくれます。

花の大きさや咲き方もさまざまで、丸みのあるロゼット咲きや、幾重にも花びらを重ねるカップ咲き、気品ある高芯咲きなど、それぞれ異なる魅力があります。

また、香りもバラの大きな特徴のひとつ。甘く華やかなものから爽やかなもの、フルーティーな印象のものまで品種によって個性は実に豊かです。

花色や花形、香りの違いに目を向けると、さらに奥深いバラの世界に出会えます。

「バラ」の基本情報

□ 開花時期:5月中旬~6月上旬(主な開花期)、6月中旬~11月(品種により適時開花)
□ 香り:品種によって異なる
□ 学名:Rosa
□ 分類:バラ科バラ属
□ 別名:薔薇(そうび/しょうび)
□ 英名:Rose
□ 原産地:アジア、ヨーロッパ、中近東、北アメリカ、アフリカの一部
□ 花ことば:想いを託す、愛、美

■ 宝石のような実りを添えて
秋の実りを感じさせる花留めとして合わせたのは赤いブドウ。

ブドウは紫や赤、緑、黒に近いものまで色幅が豊富で、宝石を思わせる美しい果実が魅力です。花との相性も良く、アレンジメントに取り入れると季節感をさりげなく添えてくれます。

今回は濃いピンクのバラに合わせて赤みのあるブドウを使用しました。花色に合わせて果実の色を選ぶと、統一感のある花あしらいになります。


個性的なアクセントをプラス

バラに色づいた葉を添え、秋らしい雰囲気に仕上げました。

組み合わせる素材や器によって、バラはさまざまな表情を見せてくれます。今回は主役となるバラの華やかさを引き立てながら、落ち着きのある季節感を感じられる組み合わせに。

花器として使用したのはウイスキーの空き瓶です。印象的なラベルをそのまま生かし、既製品の花器にはない個性的なアクセントを添えました。

■ 染め葉が生み出す彩り
近年は花だけでなく、葉ものや枝ものにもさまざまな色彩加工を施した花材が流通しています。

今回使用したのは、キイチゴの葉「ベビーハンズ」を秋色に染めたもの。自然に色づいたような繊細なグラデーションが魅力で、紅葉の風景を切り取ったような趣があります。

生花にはない色彩表現を楽しめるのも、染め花材ならではの面白さ。季節の演出やアクセントとして取り入れると、花あしらいの幅が広がります。

※染色加工された花材は色移りする場合があります。衣類や家具などへの接触にはご注意ください。

■ 身近な空き瓶を花器に
役目を終えたガラス瓶も、見方を変えれば個性的な花器になります。

特にデザイン性の高いボトルは、そのまま飾るだけでも存在感があります。今回はラベルを残して使用し、バラの華やかさを引き立てるアクセントにしました。

お気に入りのボトルやジャム瓶なども、一輪挿しとして活躍します。身近なものを取り入れることで、花がぐっと暮らしに馴染みます。


気軽に贈る、小さなバラのブーケ

バラは古くから贈りものの定番として親しまれてきた花です。

特別な日の花束はもちろん、一輪や数本を束ねた小さなブーケでも十分に魅力を感じられます。気負わず贈れる気軽さもバラの魅力のひとつです。

今回は個性的な草ものを添えて、ナチュラルな雰囲気に仕上げました。季節の花材を組み合わせることで、より印象的な贈りものになります。

■ 草花と合わせて季節感を
バラはアレンジメントにも取り入れやすい花材です。

存在感がありながら、さまざまな草花や実ものとも調和するため、組み合わせによって幅広い表情を見せてくれます。

今回は異なる咲き方のバラに、やわらかな質感の草花を合わせました。華やかさの中にも自然な雰囲気を感じられる、秋らしいアレンジメントです。

10月の担当:江辺 雄亮(第一園芸 フローリスト)
バラは一年を通して楽しめる花ですが、秋は特に花色が美しく、深みのある表情を見せてくれる季節です。今回は実りの季節を感じられるブドウや秋色の葉を合わせ、華やかさの中にも落ち着きのある雰囲気を意識しました。

一輪飾るだけでも絵になる花ですので、ご自宅に飾る際はぜひ身近な器や空き瓶なども活用しながら、自分らしい花あしらいを楽しんでみてください。

また、第一園芸では現在、さまざまな品種のバラをご紹介する「バラフェア」を開催しています。花色や咲き方、香りの違いなど、それぞれの個性に触れながら、お気に入りの一輪を見つけてみてはいかがでしょうか。


花毎でご紹介しているバラのお話
・二十四節気の花絵 第百四十話 立夏の花絵「薔薇」
・旬花百科 第十七話 「静岡のバラ」
・花の旅人 〈秋のバラ編〉「横浜イングリッシュガーデン」2018 オータムコレクション

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Text・Photo 第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子