薔薇のすすめ

東京・練馬にある「四季の香ローズガーデン」から、
季節とともに移ろうバラの様子や育て方のヒントをレポートします。

第四話 「秋薔薇のすすめ」

2019.10.15

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「モリニュー」Molineux 作出年:1994年│作出者:David C. H. Austin│作出国:イギリス│系統:シュラブ│咲き方:四季咲き│花径:中輪│香り:強香(ティー)

秋のバラが綺麗に咲く季節になりました。
現代のバラには四季咲き性を持っている品種が多くあり、春から晩秋まで繰り返して咲き続けます。
夏の高温時にはあまり綺麗に咲かないため、バラの見ごろは春と秋です。
ちょうどこの時期にはたくさんの愛好家でバラ園がにぎわいます。

「アイスバーグ」Iceberg 作出年:1958年│作出者:Reimer Kordes│作出国:ドイツ│系統:フロリバンダ│咲き方:四季咲き│花径:中輪│香り:中香(ティー)

バラにはつる性のものと木立性のものがあります。
つるバラはアーチや壁面などに絡めるような枝がつる状に伸びるタイプのバラで、木立性は樹高が低めで自立するタイプのバラです。
つるバラは春以降にはあまり咲かない品種が多いこともあり、秋のバラは春のバラと比べると全体的な花数は控えめにはなります。
ただ、開花時の気温が低いために、ボリュームのある整った花の形となりやすく、一輪一輪の花をより美しい状態で楽しむことができます。

「レディ・ヒリンドン」Lady Hillingdon 作出年:1910年│作出者:Lowe & Shawyer│作出国:イギリス│系統:ティー│咲き方:四季咲き│花径:中輪│香り:強香(ティー)

今回は、せっかくバラの季節ですので、バラの香りの嗅ぎ方をご紹介します。
まず、すでに咲き進んでいる花よりも、開きはじめの状態の花の香りを嗅いでください。
この状態のバラはまだ香りが飛んでいないため、強い香りを楽しむことができます。
トゲにお気をつけて花首を持ち、香りを楽しんでみてください。
また、バラの香りが一番強いのは、晴れた日の午前中です。
これは日が昇り気温が高くなるにつれて、香りが空気中に拡散してしまうからです。
このような理由から、秋のバラの季節は春と比べて日中の気温が低めなので、香りをより楽しみやすいと思います。

「ピース」Peace 作出年:1945年│作出者:Francis Meilland│作出国:フランス│系統:ハイブリッド・ティー│咲き方:四季咲き│花径:大輪│香り:中香(ティー)

バラは名前、香り、花の形など、品種によって実にさまざまで比べてみると面白いです。
この秋、ぜひお気に入りのバラを見つけてみてください!

「レッド・クイーン」Red Queen 作出年:1968年│作出者:Reimer Kordes│作出国:ドイツ│系統:ハイブリッド・ティー│咲き方:四季咲き│花径:大輪│香り:微香(ティー)

「パウル・クレー」Paul Klee 作出年:2014年│作出者:忽滑谷 史記│作出国:日本│系統:フロリバンダ│咲き方:四季咲き│花径:中輪│香り:強香(フルーティー)

忽滑谷 史記(ぬかりや ふみのり)

バラ育種家。埼玉県飯能市を拠点に、オリジナルブランド『Apple Roses』品種の育種・生産およびネットショップでの販売を行う。病気に強く誰でも簡単に育てられる、魅力的な品種づくりを目指している。