二十四節気の花あしらい

旬の花を最後の一輪まで楽しみつくしませんか?
気軽に季節を感じる「花あしらい」のテクニックをご紹介。

第二十九話 霜降の花あしらい「胡蝶蘭」 

2023.10.24

life

日本では季節の変化を敏感に感じ取り、年中行事や習わしに添った植物を暮らしに取り入れてきました。
「二十四節気の花あしらい」では難しいルールにとらわれず、気軽に季節を感じられる花を楽しむテクニックを第一園芸で花に携わってきた谷中直子がご紹介いたします。
毎月、旬の雰囲気を楽しめる花をピックアップして最後の一輪まで楽しみつくす、そんな花のあしらいのお話です。


2023年10月24日から二十四節気は霜降に

霜降(そうこう)とは、露が霜に変わる頃。この時期になると朝晩は冷えこみ、地域によっては霜が降ることも。
次の立冬から暦の上では冬になるので、この霜降が秋の最後の節気になります。

今年は夏のような気候がずっと続いていたので、心地よい秋は短く、すぐに終わってしまって、もう寒い冬になってしまうのだろうな…と少しだけセンチメンタルな気分に浸りながら、この時期にふさわしい花は何か思いを巡らせました。

山々ではこれから燃えるように色づいた紅葉が楽しめる頃になりますが、それとは反対に、秋の澄み渡る空気と静けさを表現してみたいと思って、純白の「胡蝶蘭」をいけることにしました。

胡蝶蘭をカジュアルに楽しむ

カトレアと並び、蘭の女王とも呼ばれる胡蝶蘭。

たくさんの蝶が舞うように見えることから付けられた名前はとても優雅ですが、もともとは東南アジア原産の着生植物で、土に根を下ろさず樹木に着生して生きているたくましい植物です。
根が付いている鉢植えの胡蝶蘭はもちろん、切り花にしてもとても日持ちが良い優秀な花です。

色や大きさも様々ですが、今日は純白で小輪タイプの品種「アマビリス」を選びました。

胡蝶蘭はお祝い事や冠婚葬祭などフォーマルな場面でよく見られるため、きちんとした印象をお持ちの方が多いと思います。

今回はそんな胡蝶蘭を気軽に楽しみたくて、カスミソウと合わせてカジュアルダウンさせてみました。

1本で何輪もの花が付いた長い形状の花をいかして、花が一番きれいに見える角度を見つけましょう。
胡蝶蘭を支えるように、雲のようにふんわりしたカスミソウを添えますが、カスミソウはまんべんなく散らすよりも固めてひとまとめにする方が、今っぽくて素敵に仕上がると思います。

今回使用したカスミソウは小粒でぎゅっと密に咲く「キャンディダブル」という品種を選びました。純白の胡蝶蘭とともに、キラキラした霜のような質感を表現できたかな?と思います。

 

大胆なバランスで胡蝶蘭を際立たせる

存在感抜群の胡蝶蘭はボリューミーなグリーンと合わせても負けません!

合わせたのは年末にかけて大人気の香り高いコニファー「ブルーアイス」と銀葉の「ロシアンオリーブ」。
一方にダイナミックに流していけることで器と胡蝶蘭とのバランスをとっています。

氷のような質感の色ガラスの花器と、冷たい霜柱のようなコニファーのフォルムが胡蝶蘭の高貴さをいっそう引き立ててくれる、品のある花あしらいです。

 

小春日和のような温かさをプラスして

秋の終わりから冬の初めの頃の暖かな天気のことを「小春日和」と呼びます。
そんな穏やかな様子を表現したくて、柔らかいピンクがかわいらしい「セルリア」と「カスミソウ」を加えました。

こちらも全体にまんべんなく配置するのではなく、種類ごとにまとめて塊で花を配置するほうが、スタイリッシュな雰囲気で素敵に仕上がると思います。

普段あまりいける機会がない胡蝶蘭ですが、意外にいろいろな花やグリーンとマッチします。
鉢物の胡蝶蘭もカットして切り花として楽しむことができますので、もっと日常に取り入れていただきたい花です。

 

器を変えてシンプルに

器をスリムなものに変えると、必要な花のボリュームも受ける印象も変わります。

胡蝶蘭は下に垂れるような咲き方をしているものが多いので、残りの花材は上に少しだけ伸ばしていけてメリハリをつけます。横を広げ過ぎるとせっかくの縦のラインを崩してしまうので注意しましょう。

 

一輪の美しさを楽しむ

器を縦に重ねた、少しだけスペシャルなデコレーション。

横に器を並べることはあるけれど、縦方向に並べることはあまりしませんよね。
花器はこのような形でなくても大丈夫ですので、底が平らなグラスなどでもぜひお試しくださいね。

胡蝶蘭は下の方から順に咲き進むため、下から順に枯れていきます。
上に残った数輪でこのような花あしらいはいかがですか?

一輪で眺める胡蝶蘭からは、透き通るような美しさを感じることができますよ。

 

水に浮かべて清らかな姿を楽しむ

ガラスの器に胡蝶蘭の花を浮かべて。

透き通る水と相まって、胡蝶蘭の美しさが際立ちます。
今回はしずく型の水盤を使いましたが、ご自宅にあるお皿などでもぜひお試しください。
最後の一輪まで、胡蝶蘭を楽しみつくしましょう。

 

年末年始のしつらえにも

これから年末年始にかけてのきらびやかな季節にも、胡蝶蘭はぴったりな花です。

キラキラしたゴールドやシルバーのオブジェと合わせれば、クリスマスの特別感を感じる花あしらいに。
金銀の水引と合わせれば、お正月を祝うおめでたい花あしらいにお着替えできます。

ぜひ、年末年始の特別な季節の花あしらいに、胡蝶蘭を取り入れてみてくださいね。

 

「胡蝶蘭」の基本情報

□出回り時期:通年
□香り:なし
□学名:Phalaenopsis
□分類:ラン科コチョウラン属(ファレノプシス属)
□和名:胡蝶蘭
□英名:Phalaenopsis
□原産地:台湾、フィリピン、インドネシア、マレーシアなど
□花言葉:幸福が飛んでくる、など


花毎でご紹介している胡蝶蘭のお話

水上多摩江さんが描く花の絵
二十四節気の花絵 第七十一話 小寒の花絵「胡蝶蘭」

谷中直子

第一園芸入社前から学生バイトで働く生粋の第一園芸人。百貨店系ショップでいわゆる花屋さんを数年経験後、ホテル店に移動しブライダル関係を十数年経験。店長職を経て本社勤務に。現在は広報としてリリースなどの社外発信を担当。