二十四節気の花絵

イラストレーターの水上多摩江さんが描いた季節の花に合わせた、
二十四節気のお話と花毎だけの花言葉。

第百三話 穀雨の花絵「白詰草」

2023.04.20

life


2023年4月20日から二十四節気は「穀雨」に

百穀を潤す春雨を表した、春最後の節気です。この頃に降る雨が田畑を潤し、穀物の成長を促します。
例年、穀雨のころに東北地方の桜が満開になりますが、2023年は記録的な早さで開花が進み、多くの名所の桜が散り始め~葉桜になっているようです。


穀雨の行事「八十八夜」
「夏も近づく八十八夜…」でおなじみの八十八夜は立春から数えて88日目(立春の87日後の日、2023年は5月2日)を指す雑節です。これは二十四節気を補助する目的で作られた暦のひとつで、遅霜が発生する時期を指し、農耕への注意喚起として作られました。
この日に摘み取られたお茶は、末広がりの八が重なることから縁起物とされています。


「白詰草」

□開花時期:4月~8月
□香り:あり
□学名:Trifolium repens L.
□分類:マメ科 シャジクソウ属
□和名:白詰草(シロツメクサ)、苜蓿(ウマゴヤシ)
□別名:クローバー
□英名:White clover
□原産地:ヨーロッパ

名前の由来
春から夏にかけて、蝶のような形の小花が集まって丸い形に花を咲かせます。
白詰草の名は江戸時代、オランダからの荷物に破損防止のクッション材としてこの枯草が詰められていたことから、ツメクサと呼ばれるようになったという説があります。また、明治時代に牧草として日本に入ったことから苜蓿(ウマゴヤシ)とも呼ばれます。

白詰草とクローバーの違い
クローバーとはマメ科シャジクソウ属の総称で、日本では白詰草や、赤紫の花を咲かせる赤詰草を指してクローバーと呼ばれることが多いようです。
ちなみに、赤詰草に似た花を咲かせるレンゲソウはマメ科ゲンゲ属となり、属が異なります。草丈が高く、鳥の羽のように左右に小葉がついているのがレンゲソウです。


花毎の花言葉・白詰草「宝もの」

白詰草=クローバーの花言葉は、三つ葉が「希望」、四つ葉が「幸福」などで、特に四つ葉には四枚の葉に「愛、健康、幸運、富」といった意味が込められているとも言われています。
こうした背景には四つ葉が1万分の1程度の確率でしか出現しないともされ、見つけることが難しいことから、このような花言葉が付けられたと考えられます。
ちなみに、葉が四枚になるのは遺伝または環境と考えられていて、環境由来では踏みつけられるなどして原基に傷が付くことが原因という説もあります。

ともあれ、野にたくさん生えている身近な白詰草には四つ葉を探したり、花冠や首飾りを編んだ記憶がある方も多いのではないでしょうか。花や草と夢中になって遊んだひと時が実は宝ものだったのかも、と大人になった今、思いだすことがあります。
そんなひと時をくれた白詰草に、花毎から「宝もの」という花言葉を贈りたいと思います。

文・第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子

水上多摩江

イラストレーター。
東京イラストレーターズソサエティ会員。書籍や雑誌の装画を多数手掛ける。主な装画作品:江國香織著「薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木」集英社、角田光代著「八日目の蝉」中央公論新社、群ようこ「猫と昼寝」角川春樹事務所、東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇跡」角川書店など