二十四節気の花絵

イラストレーターの
水上多摩江さんが花毎のために描いた、
二十四節気の花々です。

第六十三話 白露の花絵「白粉花」

2020.09.07

life


2020年9月7日から二十四節気は「白露(はくろ)」に

白露とは「しらつゆ」を意味することばであり、二十四節気の中では気象による区分に入る節気です。
秋風が露となり、草花に宿って白く光ってみえる……
そんな季節の一瞬をとらえたこの名から、いにしえの人々の豊かな感受性が伝わってきます。

そして草花は秋の七草が見ごろに。
これは万葉集に残る、山上憶良(やまのうえのおくら)が詠んだ、次の二つの首に由来するもの。

「秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり) かき数ふれば 七種(ななくさ)の花」
「萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝貌の花」

ハギ、オバナ(ススキ)、クズ、ナデシコ、オミナエシ、フジバカマ、アサガオといった七つの草花が選ばれていますが、このアサガオとは「キキョウ」であったと考えられています。

「オシロイバナ」

□開花期:6月~10月 □香り:あり
□学名:Mirabilis jalapa
□分類:オシロイバナ科オシロイバナ属
□英名:marvel of Peru、four o’clock flower
□和名:白粉花、白粉草、夕化粧、金化粧、銀化粧、野茉莉、紫茉莉
□原産地:ペルー、熱帯アメリカ

今回の水上さんが描いたのは「咲き分け」と呼ばれる、異なる色がはっきり入ったタイプの花です。
オシロイバナは単色の花もあれば、一本の枝から少しずつ違う、咲き分けや絞りといった花が咲くことから、英国では” marvel of Peru(ペルーの不思議)”と名付けられました。
また夕方4時ごろから咲きはじめることから” four o’clock flower(午後四時の花)」という名も。
一方フランスでは夕方から甘い香りを漂わせることから「Belle de nuit(夜の貴婦人)」という、美しい名で呼ばれています。


花毎の花言葉・オシロイバナ〈大人少女〉

前出の通り、花の色が変わりやすいことから一般的な花言葉は「私は恋をうたがう」だったり、夕方からひっそりと咲く様子から「内気」「臆病」と言われています。

最近では見かけることが少なくなったオシロイバナは色も夕方に咲くことも、特に意識したことがないくらいに昭和の時代にはどこにでも咲いている、素朴なイメージの花でした。
学校の帰り道や家に咲いていたこの花の甘い香りをかいでみたり、種を潰してその名の由来となったおしろいのような粉を顔につけてみたり……
少女が大人の女性を真似してみた、ファーストステップだったのかもしれません。

素朴さと大人っぽさが入り混じるオシロイバナ。
女性でも少女でもない、そんな雰囲気をこの花言葉に込めました。

水上多摩江

イラストレーター。
東京イラストレーターズソサエティ会員。書籍や雑誌の装画を多数手掛ける。主な装画作品:江國香織著「薔薇の木 琵琶湖の木 檸檬の木」集英社、角田光代著「八日目の蝉」中央公論新社、群ようこ「猫と昼寝」角川春樹事務所、東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇跡」角川書店など