二十四節気の花絵

イラストレーターの
水上多摩江さんが花毎のために描いた、
二十四節気の花々です。

第七十五話 啓蟄の花絵「ミモザ」

2021.03.05

life


2021年3月5日から二十四節気は「啓蟄(けいちつ)」に

啓蟄とは春の陽気が土の中に届き、虫たちが動き出すころを表した節気です。
この時季動くのは虫だけでなく植物も次々と芽生える時ですが、今年の東京近郊は特に温かく、既にバラやアジサイに新芽を見つけました。
遠目には桜も寒々とした姿に見えますが、近づいてみれば花芽がしっかりと膨らみ始めています。
閉塞感のある日々が続く中、例年よりかなり早くなりそうな今年の桜の開花は、暗闇の中の光のようにも感じます。
植物の力強さに勇気づけられる、2021年の春の到来です。


「ミモザ」

□切り花出回り時期:12月~3月
□香り:あり
□学名:Acacia dealbata
□分類:マメ科アカシア属
□和名:フサアカシア(房アカシア)
□英名:Miomosa、Silver wattle
□原産地:オーストラリア

本当の名前
日本ではアカシア類の花をミモザと呼んでいますが、本来はオジギソウの学名です。これは葉と花の形が似ていたことから、誤用されたままこの名が根付いてしまったようです。

ミモザの日
イタリアでは3月8日になると、街のあちこちでミモザの花束が売られます。この日は国際女性デーでもあり、女性へ感謝の気持ちを込めてミモザの花を贈る日なのです。
日本でこの習慣はまだ根付いていないようですが、レモンイエローのコロコロとした可愛らしいミモザはいつの間にかSNSでよく見かけるようになり、おしゃれな春の花の代表になりました。

ミモザの香水
良い香りが漂ってきそうな花に見えますが、強い香りはありません。ミモザの香りとされる香水などはニセアカシア(ハリエンジュ)の香りが使われたり、花のイメージで創作された香りである場合が多いようです。

サラダとカクテル
ミモザという名は料理や飲み物の名前にもなっていて、ゆで卵の黄味を散らしたサラダは「ミモザサラダ」、シャンパンとオレンジジュース混ぜたカクテルが「ミモザ」という名が付けられています。
日本では松や桜などが料理やお菓子の名になっていますが、海外でこういった花の名に例えられているのは珍しいことかもしれません。


花毎の花言葉・ミモザ〈青空の星〉

日本語、英語ともに「secret love(秘密の恋)」という花言葉が付けられていますが、これはネイティヴアメリカンが愛の告白をする時、アカシアの花を渡すことに由来しているとか。他には「友情」「sensitivity(感受性、思いやり)」といったものがありますが、こちらは前出のミモザの日にちなんでいるように思われます。

では花毎がミモザに花言葉を付けるのであれば……

ミモザは明るい陽射しが似合う花ですが、鮮やかな黄色い小花は一番星のような強い輝きを感じます。
実際には太陽が明るすぎて見ることができない昼間の星でも、もし青空に星が輝いていたら、ミモザのような星ではないかなと思うのです。

文・花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子

水上多摩江

イラストレーター。
東京イラストレーターズソサエティ会員。書籍や雑誌の装画を多数手掛ける。主な装画作品:江國香織著「薔薇の木 琵琶湖の木 檸檬の木」集英社、角田光代著「八日目の蝉」中央公論新社、群ようこ「猫と昼寝」角川春樹事務所、東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇跡」角川書店など