二十四節気の花絵

イラストレーターの
水上多摩江さんが花毎のために描いた、
二十四節気の花々です。

第五十五話 立夏の花絵「すずらん」

2020.05.05

life


2020年5月5日から二十四節気は「立夏」に

暦の上では立夏から立秋の前日までが夏の節気となり、二十四ある節気の中でも特に重要とされる八節のひとつです。

二十四節気の中でも立春、立夏、立秋、立冬の四立(しりゅう)はニュースなどで「暦の上では~」と枕詞のように使われることもあり、文学的なものとして捉えられることも多いのですが、実は地球と太陽の位置から編み出された複雑な天文学に由来するものです。
四立は実際の季節とのずれを感じることもありますが、言葉の成り立ちや身近な植物を見てみれば、それがあながち違っていないことがわかります。

特に立夏は、ほんの数日の間に目立たなかった小さな芽吹きが、鮮やかな緑のやわらかな葉となっている……
植物の力強さがもっともわかる、そんな節気ではないでしょうか。


水上さんが立夏に描いた花は「鈴蘭」

さわやかなイメージの花ではありますが、水上さんが描いた鈴蘭は暗闇の中で光るように咲くような姿をとらえた、大人びた作品です。

さて、鈴蘭は名前にラン(蘭)と付きますが、ランの仲間ではなくスズラン科の植物。
品種は大きく分けて2つあり、一般的に鉢植えや切り花として出回っている、ヨーロッパ原産のドイツスズランと日本原産の君影草(キミカゲソウ)とも呼ばれるスズランがあります。
日本のスズランは本州中部以北に自生していて、花毎で何度も訪ねている北海道のガーデン街道でも初夏に見ることができる植物です。

英名では「Lily of the valley(谷間の百合)」と呼ばれ、フランスでは5月1日にスズランを大切な人に贈る習慣があります。
ヨーロッパでは聖母マリアの花とされていて、清らかさのシンボルであることから「純粋」「純潔」といった花言葉が付きました。


花毎の花言葉・鈴蘭〈永遠の輝き〉

可憐で繊細な印象の花ですが、実際は地下茎で増えていく、たくましさのある植物です。

花毎の花言葉が〈永遠の輝き〉と表現したのは、人知れずうちに花を増やし続け、そして木陰の中にひっそりと輝くように咲くことから。
森の中でも、花屋でも、気を付けていないとすぐに旬が過ぎてしまう「鈴蘭」を見つけたとき、この花言葉を思い出していただけますように。

水上多摩江

イラストレーター。
東京イラストレーターズソサエティ会員。書籍や雑誌の装画を多数手掛ける。主な装画作品:江國香織著「薔薇の木 琵琶湖の木 檸檬の木」集英社、角田光代著「八日目の蝉」中央公論新社、群ようこ「猫と昼寝」角川春樹事務所、東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇跡」角川書店など