第七話 冬至の花あしらい「クラスペディア」
2021.12.22
暮life
日本では季節の変化を敏感に感じ取り、年中行事や習わしに添った植物を暮らしに取り入れてきましたが、この「二十四節気の花あしらい」では難しいルールにとらわれず、気軽に季節を感じられる花を楽しむテクニックを第一園芸で花に携わってきた谷中直子がご紹介いたします。
毎月、旬の雰囲気を楽しめる花をピックアップして、最後の一輪まで楽しみつくす、そんな花のあしらいのお話です。
2021年12月22日から二十四節気は冬至に
夕方になるとあっという間に暗くなって、寒さも冬らしくなってきましたね。
北半球では冬至が一年で最も日の出から日没までの時間が短いので暗くなるのが早いはずです。
この時期、なんだかさみしい気持ちになる私は、無性に明るい花を飾りたくなります。
冬至といえばカボチャを食べて柚子湯に入るといった季節の行事もありますが、クリスマスというビックイベントの影に隠れてしまっている、そんな日でもあります。
今回は柚子を見ていて似ていると思った「クラスペディア」をいけてみようと思います。
実家から届いた香り高い柚子。冷蔵庫にしまっておくよりもお部屋に花といっしょに飾って、柚子の香りや見た目も楽しんでみようと思います。
今回飾るクラスペディアには香りがないので、柚子の香りをプラスしてお部屋の中を明るく、この季節ならではの香りに包まれて癒されましょう。
束ねて、傾けて、器にそえる
アップでみると柚子や柑橘を思わせるような個性的な花「クラスペディア」
器にまんべんなく広げていけるよりも、ブーケのように束ねて器に傾けていけた方がスタイリッシュにきまります。
花の長さはきちんと揃えない方がナチュラル。でも極端に長さの差を出さない方が、花の黄色がかたまりになってより元気をもらえる気がします。
すっきりした茎とまんまるの花のコントラストがかわいいので、茎は見せるほうがおすすめです。
今回は、シンプルな花の容姿が映える丈の短いカラフルな色ガラスの花瓶を使ってみました。
ちなみにクラスペディアはとっても丈夫な花。好きな花瓶・好きな場所で自由に楽しんでみてください!
お手入れが苦手な方にもおすすめです。
花材をプラスして年末の華やぎを演出
クラスペディアはとっても丈夫。何日たっても(相当なことがない限り)見た目は変わらないと思います。
お手入れついでにグリーンと蘭を加えて、器もガラスから陶器に替えました。
年末の華やぎを演出する豪華な花あしらいにイメージチェンジ!
つやつやの葉と葉裏のベルベットのような質感が美しい「タイサンボク」、ハート形の色づいた葉がかわいい「プロテア・コルダータ」に可憐な蘭「オンシジューム」を加えました。オンシジュームもスポットレス*のものを選んで上品に。
数日後にはクリスマス、そしてお正月がやってきます。お部屋のなかにも華やかさをプラスしてみましょう。
*模様がないもの
小さな花瓶を並べて一輪挿しで楽しむ
クラスペディアは丈夫で長持ちなので、びっくりするぐらい長い間楽しめますが、スタイルを変えて飽きずに楽しむことも、花あしらいのポイントです。
一輪にすることで花の形状がよくわかって、クラスペディアのかわいらしさを再発見できます。
ポイントは花の高さを変えること。花の配置は三角形を意識するとバランスよく仕上がります。
コニファーを冬至っぽく模様替え
前回の『小雪の花あしらい「フランネルフラワー」』でクリスマスの定番、コニファーを使ったフレッシュツリーを前回ご紹介しました。
こちらのコニファーも冬至にぴったりなデコレーションに模様替え。
ミカンを輪切りにしたドライフルーツにヒモを通してオーナメントにしてみました。コニファーとミカンの香りにとても癒されます。
去年と今年を花で繋ぐ、新年を彩るお飾りに
冬至からクリスマス、お正月と12月はあっという間に過ぎていきます。
クリスマスまで楽しんだコニファーと、冬至に飾ったクラスペディア、プロテア・コルダータにドライのミカンと松、水引を加えて、手作りのお飾りに。
コニファーや松の香りに癒されながら年末のおうち時間にお飾りを手作りしてみませんか?
材料を上に重ねて束ねるだけで簡単に出来上がります。
大切に楽しんだ花材は捨ててしまうのではなく、去年と今年を花で繋ぐ、エコなお飾りにリメイクして楽しんでみましょう。
また来年もお花を楽しみつくすアイディアをご紹介していきます。
みなさま、良いお年をお迎えくださいね!
「クラスペディア」の基本情報
□出回り時期:通年
□開花時期:5月~9月
□香り:なし
□学名:Pycnosorus globosus
□分類:キク科 クラスペディア属
□和名:クラスペディア
□英名:Craspedia
□原産地:オーストラリア
谷中直子
第一園芸入社前から学生バイトで働く生粋の第一園芸人。
百貨店系ショップでいわゆる花屋さんを数年経験後、ホテル店に移動しブライダル関係を十数年経験。店長職を経て本社勤務に。
現在は広報担当としてリリースなどの社外発信を担当。
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