第五十五話 小雪の花あしらい「オキシペタラム」
2025.11.22
暮life

日本では季節の変化を敏感に感じ取り、年中行事や習わしに添った植物を暮らしに取り入れてきました。
「二十四節気の花あしらい」では難しいルールにとらわれず、気軽に季節を感じられる花を楽しむテクニックを第一園芸のトップデザイナー、新井光史がご紹介いたします。
2025年11月22日から二十四節気は小雪に
「小雪(しょうせつ)」は、雪がちらほらと降り始めるころを表す節気です。
季節はすでに初冬。空気は一段と冷たく澄みわたり、景色にも冬の気配が漂い始めます。
街にはクリスマスの装飾が少しずつ増え、年の瀬を感じる瞬間が多くなる頃です。
今回ご紹介するのは、そんな小雪の季節に寄り添う花 「オキシペタラム」。
別名 「ブルースター」 とも呼ばれるこの花は、フェルト生地のような質感とパステルカラーの花色が特徴で、清らかで優しい印象を与えてくれます。
星形の小さな花が集まって咲く姿は愛らしく、冷たい空気の中にやわらかな彩りを添えてくれる存在です。
冬のはじまりにぴったりな、オキシペタラムを使った花あしらいをご紹介します。

穏やかな花色を楽しむ
一般的には「ブルースター」の名前で親しまれているオキシペタラムですが、実は白やピンクの花も出回っています。
ここでは、オキシペタラムならではのマットなパステルカラーの花を2色使い、あえて混ぜずに色のかたまりを意識して生けました。
オキシペタラムは小さな花が下から徐々に咲いていくため、数本をまとめて生けると色の美しさが際立ちます。
もちろん、お好みの色を1色だけ、または数本をコンパクトに生けても、この花の魅力を楽しめます。

花器のニュアンスを活かす
同じ花器を使い、花材を変えた花あしらいです。
花器の色合いに合わせて、グレー地の部分にはオキシペタラムとシルバーの葉が特徴の「ダスティーミラー」を、ベージュの部分には「リコリス」と色づいた「コバンソウ」を。
秋から冬への季節の移ろいを表現しました。
こんなふうに、花器からイメージを広げて生ける花あしらいも楽しいものです。

意外な花材を組み合わせて
水色のオキシペタラムに、ダスティーミラー、そして「タビビトの木の実」を合わせました。
この種子は、まるで染めたような鮮やかなコバルトブルーが印象的で、とてもユニークな存在です。
さらに、水色の花器を選び、〈青〉をテーマに花をあしらいました。
フェルトのような質感のオキシペタラムとダスティーミラー、カサカサとした触感のタビビトの木の実――異なるテクスチャーの組み合わせも楽しんでみましょう。

白のオキシペタラムを楽しむ
水色とは印象がガラリと異なる、白のオキシペタラムを使った花あしらいです。
清潔感のある白いオキシペタラムに、「アスナロ」を合わせました。
シラカバの枝を使った花器に、束ねたアスナロを背にしてオキシペタラムを添えて──
白とグリーンのシンプルな組み合わせが、冬の静けさとクリスマスの気配を届けます。

オキシペタラムからイメージを広げる
1本の白いオキシペタラムとダスティーミラーに、キュウリのような「おもちゃかぼちゃ」を添えました。
白い花からイメージを広げ、花器と植物の色合いを合わせて一体感を演出。
これからやってくる、キーンと冷えた冬の空気感を表現した花あしらいです。

さらに数を増やして、白夜の木立のようなイメージに。
いくつか花器を使用して飾る場合は、主役を一つ決めると全体のバランスが整いやすくなります。

上で生けたものに、水色のオキシペタラムを追加しました。
少し色が入っただけで、全体の雰囲気が一変します。

次に加えたのは「シロシキブ(白式部)」。
動きのある枝と小さな白い実が、全体を立体的に見せます。

さらに、大振りのシロシキブの枝と、紫に染めた「パニカム」を加えて、より華やかに。

最後にコバンソウと「サルビア レウカンサ」を加え、足元にプルーンを置いて。
白のオキシペタラムから徐々にイメージを膨らませ、冬の華やかな景色を表現しました。

取り扱いの注意
オキシペタラムは切り口から白い液が出ます。皮ふに付くとかぶれることがありますので、その時はすぐに洗い流してください。
また、水もその液で濁りますので、オキシペタラムを生ける際にはこまめに水を換えましょう。

「オキシペタラム(ブルースター)」の基本情報
□出回り時期:通年
□香り:なし
□学名:Oxypetalum coeruleum
□分類:キョウチクトウ科 ルリトウワタ属(旧トゥイーディア属)
□別名:瑠璃唐綿(ルリトウワタ)
□英名:Southern star、Tweedia
□原産地:ブラジル、ウルグアイ
□花言葉:「幸福な愛」「信じ合う心」など
花毎でご紹介している新井光史の花あしらい
・第四十四話 小寒の花あしらい「水仙」
・第四十二話 立冬の花あしらい「秋明菊」

新井光史
神戸生まれ。花の生産者としてブラジルへ移住。その後、サンパウロの花屋で働いた経験から、花で表現することの喜びに目覚める。 2008年ジャパンカップ・フラワーデザイン競技会にて優勝、内閣総理大臣賞を受賞し日本一に輝く。2020年Flower Art Awardに保屋松千亜紀(第一園芸)とペアで出場しグランプリを獲得、フランス「アート・フローラル国際コンクール」日本代表となる。2022年FLOWERARTIST EXTENSIONで村上功悦(第一園芸)とペアで出場しグランプリ獲得。2025年3月に行われたFlower Art Award2025でも川口太聞(第一園芸)とペアで出場しグランプリを獲得した。 コンペティションのみならず、ウェディングやパーティ装飾、オーダーメイドアレンジメントのご依頼や各種イベントに招致される機会も多く、国内外におけるデモンストレーションやワークショップなど、日本を代表するフラワーデザイナーの一人として、幅広く活動している。 著書に『The Eternal Flower』(StichtingKunstboek)、『花の辞典』『花の本』(雷鳥社)『季節の言葉を表現するフラワーデザイン』(誠文堂新光社)などがある。
Text・Photo:第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子
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