庭の中の人

庭に関わる人々のインサイドストーリー

第十三話 竹ぼうき

2021.06.21

study

子供のころ、空が飛べたらいいのに、とほうきにまたがりジャンプしてみたことってありませんか。魔法使いが空を飛ぶのに使う道具。誰しもが一度はほうき(またはデッキブラシ)にまたがって「飛べ、いい子ね」「まっすぐ飛びなさい!燃やしちゃうわよ」なんてつぶやいたことあるんじゃないでしょうか。
わたしも学校の掃除の時間、竹ぼうきで校庭を掃く当番になると、友達とこっそり魔女ごっこをしていました。

すっかり時は経ち、大人になったある日、たまたま真新しい竹ぼうきを使って掃除をしていたときのこと。魔法使いではなく、新人の庭師の男の子が「正しいほうきの使い方、知っていますか」と声をかけてくれました。
子供のころから使い方の説明などろくに受けずに、ただ当たり前のように竹ぼうきを渡されて使っていたので、「竹ぼうきに使い方なんてあるの?」「ただ掃くだけじゃないの?」と思いましたが、教えてもらって納得。こんな使い方のコツがあったのか、もっと早く知りたかったな、と驚きました。

まず、新品のほうきを下ろす時は、最初は穂先がばさっと広がっていて意外と使いにくいもの。この広がっている穂先の真ん中あたりをシュロ縄などでくくり、すぼめた状態にすると一気に使いやすくなることを教えてくれました。
そしてぴんぴんと飛び出たやわらかい穂先や長めの部分は、なんと、ハサミで切って整えるのです。「新品なのに最初から切っちゃうの?」と思うかもしれませんが、このお手入れをしてから使うと、とても使いやすくなるのです。

掃除するときは、ほうきにクセが付かないように、たまにほうき自体を回しながら使うこともポイントです。一定の方向ばかり使っていると、どうしても片側だけ穂先が減ったり、曲がってクセがついてしまうので気を付けなければなりません。
そして最後に、使い終わってしまう時は、つるしておくか、穂先を上にしてしまっておくこと。こうしたちょっとの気遣いで道具のもつ力を最大限に生かすことができ、ほうきの寿命も長くなるのです。

確かに学校の清掃用具入れに並んだたくさんの竹ぼうきは、穂先にクセのついた曲がったものばかりだった気がします。その中からなるべく曲がっていないほうき選ばないと、うまく掃けないんだよね、と子供ながらに思っていたっけ。子供たちが適当に扱っていたし、穂先を下にしてしまっていたからクセが付くのは無理もありません。

道具の取り扱いひとつで、仕事の効率があがる。特に竹ぼうきは使う人のくせや性格が表れやすいので、注目してみると意外と面白いんですよ。

はつやま さちこ

高校卒業後、英国へ留学。ロンドン郊外にあるOaklands CollegeのFloristry学科に在籍し、イギリスの国家資格を取得。2008年第一園芸株式会社に入社。ネット事業部を経て緑化事業部へ。各国大使館などを担当していたガーデナー。
現在は子育てのため一旦、退職して家庭生活を満喫中。
好きなことは食べ歩き、無計画旅行。昆虫食推進派。