〈山陰地方編〉第一話 1日限りの奇跡の絶景「黄金の池泉牡丹」に出会う【前編】
2018.06.02
旅travel
*写真提供:由志園
池泉回遊式日本庭園「由志園(ゆうしえん)」
鳥取空港からほど近い、日本一の牡丹生産地「大根島(だいこんしま)」に出雲の国の箱庭と称した、年間26万人もの人が訪れる池泉(ちせん)回遊式日本庭園「由志園(ゆうしえん)」があります。
私がこの場所に心ひかれたのは、何気なく見たパンフレットに載っていた、池一面に浮かぶ紅白の牡丹の写真がきっかけでした。
その写真はとても幻想的で、華やか。一体どうなっているのだろう…という好奇心からこの旅がはじまりました。
池泉牡丹の開催時期、大根島で生産された鉢植えの牡丹が販売されています。
日本一の牡丹生産地「大根島」
大根島は年間120万本ほどの接ぎ木牡丹苗の生産が行われている、日本一の牡丹苗の生産地。
生産されている牡丹苗の多くは海外輸出用の花をつけずに出荷する苗であり、国内販売用の苗は後にしっかりとした花を咲かせるように太らせることが目的のため、開花前に蕾(つぼみ)を摘んでしまいます。つまり、大根島の農家は牡丹の花ではなく、苗を育てているのです。
こちらが由志園の入口。時代劇に出てきそうな立派な門構えです。
紅白から黄金へ景色が一変する日
2017年5月7日、ゴールデンウィークの最終日。この日限定で季節の風物詩である池泉牡丹が黄金牡丹に変わると聞き、一路島根へと向かいました。
私たちが園に着いたのは朝9時。駐車場へ入る車が既に列をなしていました。立派な長屋門をくぐり、庭園へと足をすすめます。
受付を済ませ、室内から庭園へ一歩踏み出すと、そこには芳香とともに一面紅白の牡丹が広がります。
入口付近は紅白の牡丹がぎっしり。庭木の足元にも水盤が敷き詰められ、牡丹が浮かべられています。
池に浮ぶ牡丹を集める
由志園では、取引のある農家さんの協力により、本来で摘み取る花を5分から7分咲き程度まで咲かせた花と、接ぎ木の芽を生産する目的や品種改良の目的で保存している母木を開花させた花などを「池泉牡丹」のために集めます。
2017年もその牡丹を使って、由志園の池泉に三万輪の牡丹が浮びます。副産物の花をふんだんに使える日本一の生産地ならではのイベントが由志園名物の池泉牡丹なのです。
牡丹と「あやめ」は見ごろが一緒。紫とピンクのコントラストが華やかです。
イエロー・ガーデン・フェスティバル
牡丹の迫力に圧倒されつつ、庭園を巡って行くと、風景に溶け込むような古風な衣装に身を包んだスタッフの方が紅白の牡丹を黄色の牡丹に手際よく差し替えていきます。
この日はイエロー・ガーデン・フェスティバルと称し、一日限定の黄色いソフトクリームや松江や由志園にゆかりの黄色で揃えたお土産が雰囲気を盛り上げていました。
池に浸かりながら手早く牡丹の手入れが行われます。
紅白と黄金が出会う一角。
由志園
島根県安来市古川町320
tel 0852-76-2255
http://www.yuushien.com
池泉牡丹開催予定期間 2018年4月28日~5月 (気候により内容、ボリューム、会期が変更する場合があります。)
※入園料、イベントなどの最終情報については由志園HPをご覧ください。
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