旬花百科

日本一の花市場、大田市場に集まる旬の花や最新品種をご紹介。
知っていると花選びが楽しくなるお話。

第十一話 「ラナンキュラス」

2019.01.21

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色や質感のバリエーションが豊富な花

ラナンキュラスの基本情報
□出回り時期:12月~4月
□香り:なし(一部香る品種有り)
□学名:Ranunculus asiaticus
□分類:キンポウゲ科キンポウゲ(ラナンキュラス)属
□和名:花金鳳花(はなきんぽうげ)
□英名:Ranunculus
□原産地:ヨーロッパ、西アジア、地中海沿岸

「綿帽子」

ラナンキュラスの花言葉

全体「魅力的」「光輝を放つ」「名声」「名誉」
英語「Radiant Charm(魅力的で輝いてる)」
ピンク「飾らない美しさ」
白「純潔」
紫「幸福」
赤「あなたは魅力に満ちている」
黄色「優しい心」
オレンジ「秘密主義」

「ビュゼ」

ラナンキュラスのお手入れ

ラナンキュラスは水揚げがとても良く、持ちの良い花ですが、茎が傷みやすいため、少なめの水で生けてください。水が足りなくなると首が垂れてしまいます。その場合は切り口を少し切り戻して、新聞紙で包み(花首が上を向くように整えるとより効果的です)1時間程度を目安に少なめの水に付けてください。
水をよく吸う植物ですので、切り戻しを兼ねて水替えを小まめに行うと、より長く花が楽しめます。
花は元気でも茎が傷んでしまったら、思い切って茎を短くして、一輪挿しやカップなどに浮かべて楽しむ方法も。

「オンフルール」

名前の由来

ラナンキュラスとはラテン語で「小さいカエル」を意味します。これはラナンキュラスの多くが(カエルがいるような)湿地に自生していることや、葉の形がカエルの足に似ていることから名付けられたと言われています。

「ひらひら」

ラナンキュラスの歴史

「ラナンキュラス」の花(品種)は、ヨーロッパや西アジア、地中海沿岸などの幅広い地域に500種以上分布しています。しかし、現在私達がよく目にする「ラナンキュラス」は、その内のたった1種「ラナンキュラス・アシアティクス」です。
アシアティクス(asiaticus)とは〈アジア産の〉という意味があり、この種が16世紀のトルコで品種改良が盛んになり、やがて世界中に広まったとされています。
日本で巨大輪のラナンキュラスが出始めた1960年代後半は、色のバリエーションも少なく、茎も曲がっていたことから人気はいまひとつ、といったところでした。しかし、そこから日本のラナンキュラスは進化を遂げ、色と形が豊富になり、茎は細くて固い品種が多数誕生したのです。

ラックスシリーズ「ロティス」

新品種

ラナンキュラス+ワックスで「ラックス」と名付けられた新品種。原種に近い一重咲きものとの異種間交配によって誕生しました。
シルクのようなツヤがあり、光が当たるとピカピカと輝いているように見える花弁が特徴。 また、花色は咲き始めは濃く、咲き進むにつれて、シルバーやゴールドのようなメタリック感が出てくる、ユニークな花です。

「ラナ」

「茜の想い」

巨大輪

写真の「ラナ」や「茜の想い」など、ラナンキュラスには開花が進むと、直径15cmほどの大きさに花開くタイプもあります。

「ロイエール」

「セロン」

「ポムロール」

さまざまな色とかたち

ラナンキュラスは幾重にも重なる花びらが特徴。原種の花弁は5枚程度ですが、品種改良が進み、現在切り花として流通しているものは花弁の数が100枚から多いものでは250枚近くにもなります。
数ある花の中でも、花びらの数の多さはトップクラスと言えるでしょう。
色のバリエーションもとても豊富で、青系の花色以外はほとんどの色が存在します。また、単色の花でも、花弁の内と外、一枚の花弁の色の微妙なグラデーションで複雑な表情が生まれ、それが現代のラナンキュラスの魅力になっています。


花毎でご紹介しているラナンキュラスのお話

水上多摩江さんが描いたラナンキュラス
二十四節気の花絵 第九十話 啓蟄の花絵「ラナンキュラス」

気軽に季節を感じられる花を楽しむテクニック
二十四節気の花あしらい 第二十一話 立春の花あしらい「ラナンキュラス」

取材協力:株式会社 大田花き、庄内花き生産組合連絡協議会