週末の一輪

週末、自分のために花を飾りましょう。
花を手軽に楽しむコツを第一園芸のフローリストがご紹介します。

vol.49 八重ひまわり —— 夏景色を生ける

2026.08.13

life

週末に、ちいさな楽しみを。
「週末の一輪」は、日々の暮らしにそっとなじみながら、さりげない存在感を放つ季節の一輪を選び、異なる飾り方で少しずつ表情を変えながら、最後まで楽しみつくすための提案です。
月替わりで登場する第一園芸のデザイナーやフローリストが、生け方の工夫や花との向き合い方をご紹介。
毎週木曜の夕方、週末の始まりに、暮らしにそっと花を添えるひとときをお届けします。


華やかな花姿を楽しむ、八重ひまわりのアレンジ

旧盆を迎える8月中旬。帰省やお墓参りなどで家族との時間が増え、夏の風景にどこか秋の気配も感じ始めるころです。日差しはまだ力強くても、吹く風や夕暮れの空に季節の移ろいを見つけることができます。

そんな8月第3週の「週末の一輪」では、夏の代表花でもある《八重ひまわり》を主役にしたアレンジをご紹介します。

■ 主役の花材《八重ひまわり》
八重ひまわりは、一般的なひまわりとは異なり、花びらが幾重にも重なって咲く華やかな園芸品種です。ふんわりと丸みを帯びた花姿は、まるでダリアやポンポン咲きの花を思わせるような愛らしさがあります。
ひまわりらしい明るさを持ちながらも、どこか上品でやさしい雰囲気があり、一輪でも存在感のある花材です。

花色はレモンイエローや山吹色が定番ですが、近年では紅茶のようなニュアンスカラーが美しい「ダージリン」など、落ち着いた色合いの品種も登場しています。品種ごとの個性を楽しめるのも、八重ひまわりの魅力のひとつです。

「ひまわり」の基本情報
□出回り時期(切り花):通年(最盛期は6月~9月)
□香り:なし
□学名:Helianthus annuus
□分類:キク科ヒマワリ属
□別名:向日葵(ひまわり/ひゅうがあおい)、日輪草
□英名:Sunflower
□原産地:北アメリカ
□花言葉:希望の光、あなただけを見つめる、憧れ

■ ビビッドな色の花器を使って
今回は、ひまわりの黄色の反対色であるターコイズブルーの手吹きガラスの花器を選びました。
ビビッドな色の花器は難しく感じるかもしれませんが、意外にもさまざまな花材と好相性です。花の色を引き立てながら、空間にアクセントを添えてくれます。
特に華やかな色彩を持つ花器は、本数が少ないときやシンプルな花を飾る際に効果的。一輪だけでも印象的な花飾りを楽しむことができます。

■ 生け方のアイデア
今回使用した花器は口径が広いため、一本のひまわりをまっすぐ生けるには少し工夫が必要です。

そこで、八重ひまわりを小さくしたような趣のある「スプレーマム」を先に器の中へ挿し、花留めとして活用しました。その隙間に八重ひまわりを生けることで、自然な位置で安定させることができます。

また、八重ひまわりは葉を整理することで印象が大きく変わります。花の近くにある数枚を残し、それ以外の葉を取り除くと、花色の鮮やかさが際立ち、すっきりと洗練された雰囲気になります。

ここでは葉の代わりのアクセントとして、キイチゴの枝を一枝添えました。軽やかな動きが加わり、全体のバランスも整います。

さらに、余った花や終わりかけの花があれば、写真のように花器の足元に添えてみましょう。飾り方に奥行きが生まれ、花を最後まで楽しむことができます。


短くコンパクトに花を生ける

茎を短くして花を楽しむ、コンパクトなアレンジメントです。

場所を選ばず飾りやすく、食卓やサイドテーブル、玄関などにも気軽に取り入れられます。茎を短くすることで花そのものの美しさが際立ち、八重ひまわりの華やかな花姿を存分に楽しめます。

写真では3つの花器を使用していますが、もちろん1つだけでも十分に素敵です。複数並べて華やかにしたり、離して飾ったりと、お好みのスタイルでお楽しみください。

■ 組み合わせる花材《利休草》
利休草は、しなやかなつると上品な佇まいが魅力の植物です。
写真では花器と花器をつなぐようにあしらいましたが、テーブルの上へ流れるように配置しても美しく、空間に自然な広がりを演出してくれます。

■ 使い勝手のよい、背の低い一輪挿し
今回は、碁石のような丸みのあるシルエットが特徴の、すりガラス製の一輪挿しを使用しました。
生け口が細くなっているため、一輪だけでも花の位置が決まりやすく、花を生け慣れていない方にも扱いやすい花器です。
平たい形状は花径の大きなひまわりとも相性がよく、安定感のある花飾りを楽しめます。また背丈が低いため、テーブルの上に飾っても圧迫感がないので、食卓にも取り入れやすいのが魅力です。

■ 楽しみ方のバリエーション
最初にご紹介した3つの花器を並べたアレンジメントの周囲に、花や葉を散らしてみました。
テーブルの上を花器の延長と捉え、絵を描くような感覚で花や葉を配置することで、より自由な花飾りを楽しめます。

花器の中だけで完成させるのではなく、周囲の空間まで含めて演出するのがポイント。おもてなしの席や記念日など、特別な日のテーブルコーディネートにもおすすめのテクニックです。

8月の担当:江辺 雄亮(第一園芸 フローリスト)
お盆を迎える8月第3週は、賑わいの中に、あっという間に過ぎ去ろうとする夏の短さを感じるころです。八重ひまわりは、見慣れたひまわりとはひと味違う、ふんわりと重なる花びらが魅力。明るく華やかな存在感がありながら、どこかやさしい印象を与えてくれます。今回は鮮やかなブルーの花器と合わせ、夏らしい色彩のコントラストを楽しみました。ぜひお気に入りの場所に飾って、夏の花ならではのエネルギーを感じてみてください。


花毎でご紹介しているひまわりのお話
旬花百科 第十五話 「ヒマワリ」
二十四節気の花絵 第九十四話 大暑の花絵「向日葵」
二十四節気の花あしらい 第五十二話 処暑の花あしらい「向日葵」

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Text・Photo 第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子