二十四節気の花あしらい

旬の花を最後の一輪まで楽しみつくしませんか?
気軽に季節を感じる「花あしらい」のテクニックをご紹介。

第二十八話 秋分の花あしらい「秋色の菊」

2023.09.23

life

日本では季節の変化を敏感に感じ取り、年中行事や習わしに添った植物を暮らしに取り入れてきました。
「二十四節気の花あしらい」では難しいルールにとらわれず、気軽に季節を感じられる花を楽しむテクニックを第一園芸で花に携わってきた谷中直子がご紹介いたします。
毎月、旬の雰囲気を楽しめる花をピックアップして最後の一輪まで楽しみつくす、そんな花のあしらいのお話です。


2023年9月23日から二十四節気は秋分に

秋分とは、春分と同じように、昼と夜の長さがほぼ同じになる日のこと。
だんだんと秋が深まっていく頃ですが、今年はまるで夏のような暑さが続いていますよね。それでも朝晩はようやく涼しさを感じるようになりました。

秋分の日を中心にした秋のお彼岸には、菊が多く出回ります。お墓参りのお花といえば菊ですが、最近はそんな菊のイメージを覆す、スタイリッシュでゴージャスな品種も多く出回っています。

今日は色っぽい艶やかな、秋色の菊をいけてみようと思います。

菊の旬は秋。
秋の始まりの暮らしに季節の花、菊を取り入れてみましょう。

ゴージャスな花をスタイリッシュに楽しむ

菊は古くから日本人に親しまれ、桜とともに日本の国花になっている中国原産の花です。
何枚も重なる花びらや多彩な色や形、ほのかに漂う香りも魅力です。

また菊は日本で一番出荷される切り花。本当にたくさんの菊が一年中出回っています。多くの品種が出回る菊ですから、季節や気分で品種をチョイスしましょう。

菊には1本に1輪の花が付いた「ディスバットタイプ」と1本が枝分かれしてたくさんの花をつける「スプレータイプ」の2つの種類があります。
花の咲き方も多彩で「スパイダー咲き」「ピンポン咲き」「デコラ咲き」など様々な咲き方が、長い改良の歴史の中で生み出されてきました。

今回は残暑が厳しい中でも秋を感じたくて、秋色のゴージャスな菊「ココア」を選んでみました。
ボリュームのある大きなガラスの壺に合わせて、あえて茎を目立たせず、葉を落として花をより際立たせています。

長めの茎のままで葉をたくさん残していけると、どうしても仏さまのお花のように見えることもある菊ですが、写真のようにいけると、艶やかでゴージャスな花が際立ち、スタイリッシュに仕上げることができたと思います。

花は3角形を意識しながら程よい距離で配置するとバランスがとりやすいと思います。

個性×個性でバランスをとる

菊に添えたのは「ユーカリ ベルガムナッツ」。つぼ型の実がユニークで、とても絵になるユーカリです。
個性的なデコラ咲きの菊、ココアと合わせても決して負けません!

パンチの効いた2種の花ですが、意外にもシーンや場所を問わずに空間に馴染む優秀な組み合わせです。
器やボリュームを変えたものを下で紹介しています。
驚きの変化をお楽しみくださいね。

秋草を添えて風情を楽しむ

涼やかな秋風を感じたくて「パープルファウンテングラス」を添えてみました。
和のしつらえに見えるから不思議ですね。

花と花の間にゆったりと空間を取ると和風な雰囲気を表現できます。
逆に、ぎゅっとまとめていけると洋風でモダンな印象になりますよ。

パープルファウンテングラスの代わりに野原で見られるススキを添えても素敵だと思います。
菊と風を感じるような秋草の相性は抜群!
ぜひお試しくださいね。

秋のにぎやかな庭をイメージして

様々な花が咲き誇る秋の庭をイメージしていろいろな花をプラスしてみました。

加えたのは名前の通り針山のように伸びた”めしべ”が特徴的な黄色の「ピンクッション」、シルバーがかった青色が涼し気な「エリンジューム」、そしてたまごボーロのような丸い小さな花が可憐な菊「スプレーマム ノラ」です。

黄と青は反対色と呼ばれ、お互いに引き立てあう色。主役の菊と対になるように配置しました。

反対色を組合せると、元気で活発なイメージに仕上げることができます。
まるで冬を前に咲き誇る、にぎやかな秋の庭のようです。
お好みの花を合わせて楽しんでみてくださいね。

器を変えて気分もチェンジ!

同じ花を使って器を変えて楽しむこともおすすめです。

上はスクエアの器を活かして直線的でスタイリッシュなイメージ。
下はカラフルな色ガラスの器に合わせてポップで楽しいイメージでいけてみました。

花は変えなくても、器でイメージを変えることができるので、お手入れのタイミングで着せ替えて、気分転換してみてはいかがでしょうか。

バスケットで秋のしつらえに

バスケットに隠れる高さのコップなどを使って、花をいけてみましょう。
アレンジメントのようにも見えるけれど、本当に簡単に楽しめる花あしらいです。
お手入れで短くなった花にもおすすめです。

菊の可能性が広がる、ナチュラルな花あしらいができあがりました!

一輪挿しで花姿の美しさを味わう

お手入れで菊が短くなってきたら一輪挿しを使って楽しみましょう。

あえて茎や葉は見えないようにして、無機質なイメージでいけてみました。
ゴールドとシルバーの個性的な器にも負けない菊のポテンシャルの高さに驚きます。

もう仏さまの花なんて言わせない!
オブジェのような出来栄えです。

花びらの、ほのかな香りを楽しむ

菊はとても丈夫で長持ちする花ですが、花はまだ元気なのに茎の途中から折れてしまったり、突然花びらが散ってしまう場合があります。

そんなときは茎を思い切り短くカットして、花だけを水に浮かべて楽しんだり、花びらを集めてポプリのように楽しんでみてはいかがでしょうか。

花びらからほんのりとした菊の香りを楽しむことができますよ。

菊のお手入れの基本

菊は金属を嫌うとされているため、切り戻しの際はハサミなどを避けて手で折ると良いとされています。
ただ折りやすい菊もあれば、折りにくい菊もありますので、無理のない範囲で折ってお手入れしてみましょう。難しい場合はハサミで切ってもかまいません。

水に浸かる部分の葉はきれいに取り除き、元気がなさそうな葉や傷ついた葉はあらかじめ取り除いておきましょう。

とても丈夫な菊ですが比較的水が汚れやすいので、お手入れのタイミングで花瓶を清潔にして、きれいな水に入れ替えることをおすすめします。できれば毎日切り戻しを行うとより良いですね。

適切なお手入れで、花界でもトップクラスの花持ちの良さを感じてみてくださいね。

「菊」の基本情報

□出回り時期:通年(旬は9月~11月)
□香り:あり
□学名:Chrysanthemum morifolium
□分類:キク科キク属
□和名:菊
□英名:Chrysanthemum
□原産地:中国
□花言葉:高貴、高潔、高尚など


花毎でご紹介している菊のお話

珍しい品種や菊にまつわるお話
旬花百科 第十八話 「マム(菊)」

水上多摩江さんが描く花の絵
二十四節気の花絵 第六十六話 霜降の花絵「菊」

谷中直子

第一園芸入社前から学生バイトで働く生粋の第一園芸人。
百貨店系ショップでいわゆる花屋さんを数年経験後、ホテル店に移動しブライダル関係を十数年経験。店長職を経て本社勤務に。
現在は広報担当としてリリースなどの社外発信を担当。