二十四節気の花絵

イラストレーターの水上多摩江さんが描いた季節の花に合わせた、
二十四節気のお話と花毎だけの花言葉。

第九十九話 冬至の花絵「椿」

2022.12.22

life

2022年12月22日から二十四節気は「冬至」に
冬至は一年で最も昼間が短い日です。
日の入りが一番早い日のように思われることがありますが、一番早い日の入りは冬至の少し前、また、一番遅い日の出は冬至の少し後です。つまり日の入りの早さ、日の出の遅さの順ではなく、両方がもっとも接近する日が冬至となります。

陰陽思想では太陽の光が最も弱くなる冬至が陰が極まる時であり、この日を境に太陽の力が強まり始め、陽に転じると考えられています。こうした考え方は北欧諸国にもあり、クリスマスの起源ともされる「ユール」と呼ばれる冬至祭が行われます。


「椿」

□出回り時期:11月~4月(最盛期は12月~1月)
□香り:一部の品種にあり
□学名:Camellia japonica
□分類:ツバキ科 ツバキ属(カメリア属)
□和名:椿、海石榴、海柘榴
□別名:藪椿、山椿
□英名:Camellia
□原産地:日本、台湾、朝鮮半島南部、中国

名の由来
ツバキの名前の由来は、葉の厚さを表した「厚葉木(アツバキ)」のアが省略されたという説、葉のつややかさを表した「津葉木」説、葉の強度を表した「強葉木」など所説ありますが、牧野富太郎博士は厚葉木と津葉木を著書*で取り上げています。また、古語の「海石榴/海柘榴」は海を渡ってきたザクロという意味があり、日本で付けられた名とされています。

*『原色牧野日本植物図鑑』

椿の歴史
古事記や日本書紀、万葉集に登場するほど古くから親しまれている花木です。特に万葉集では庭に植えた椿を詠んだ歌(巻20)があり、奈良時代にも愛でられていたことがわかります。
椿の花の鑑賞が盛んになったのは室町時代とされ、華道や茶道に切り花が用いられていたようです。
寛永年間(1624~1643年)になると徳川二代将軍秀忠が椿の愛好家であったことがきっかけとなり、諸大名を中心に「寛永の椿」と呼ばれる流行が起こります。その後、江戸中期になると花見の名所が整備されたこともあり、庶民にも花に親しむ機会が増えて江戸の園芸ブームへと繋がっていきます。椿も盛んに品種改良が行われ、当時200を超えるほどの品種が作られました。
そして現在、International Camellia Societyに承認された品種数は約26,000種。内、日本の園芸品種は約6,730品種とされています。


花毎の花言葉・椿「悠久の美」

椿の一般的な花言葉は「控えめな美しさ」で、これは美しい姿でありながらも香りがないと思われたことから付けられたようです。(一部の品種では香りがある椿も存在しています)
しかし、日本でもっとも早くから知られた花のひとつであり、長い時を経て驚くべき数の品種が生まれたこの花には「控えめな美しさ」というだけでは言い尽くせない魅力があるのではないでしょうか。
そんな椿に、花毎からは「悠久の美」という花言葉を贈りたいと思います。

文・第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子

水上多摩江

イラストレーター。
東京イラストレーターズソサエティ会員。書籍や雑誌の装画を多数手掛ける。主な装画作品:江國香織著「薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木」集英社、角田光代著「八日目の蝉」中央公論新社、群ようこ「猫と昼寝」角川春樹事務所、東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇跡」角川書店など