二十四節気の花絵

イラストレーターの
水上多摩江さんが花毎のために描いた、
二十四節気の花々

第七十九話 立夏の花絵「カラー」

2021.05.05

life


2021年5月5日から二十四節気は「立夏」に

夏の節気が始まりました。

「立」の字が付く節気(立春、立夏、立秋、立冬)は四立(しりゅう)と呼ばれ、それぞれが四季の始まりを表しています。
ちなみに2021年の暦では今季の「立夏」に始まり「小満」「芒種」「夏至」「小暑」「大暑」と続き、立秋前日の8月6日までが夏。
こうしてみると時の流れの早さに驚きますが、四季の中でも梅雨を挟む夏はもっとも短く感じる季節ではないでしょうか。

気候変動により季節感が薄くなった現在ですが、強い日差しと涼しい風のコントラストはまるでヨーロッパの夏のようで、カラリとした爽やかさがうれしい素敵な季節です。


「カラー」

□切り花出回り時期:通年
□香り:無し
□学名:Zantedeschia aethiopica
□分類:サトイモ科オランダカイウ属
□和名:和蘭海芋(オランダカイウ)
□英名:Calla、Calla lily
□原産地:南アフリカ

カラーにはスタイリッシュな雰囲気がありますが、日本に入ってきたのは意外にも古く、江戸時代後期に渡来したとされます。

名前の由来
ギリシャ語のカロス(美)が語源とされています。修道女の襟に形が似ていることに由来するという説もありますが、こちらはcollar(襟)と綴り、スペルが異なっています。

ナイルのユリ
花の形がラッパ状でユリと似ていることから、英語圏では「カラー・リリー」とも呼ばれます。南アフリカ原産ですが、かつては春になるとナイル川の氾濫により、カラーの花が水面に咲いたことから「ナイルのユリ(lily-of-the-nile)」と呼ばれたという記述もあります。

カラーの花
カラーはどの部分が花だと思いますか?
実は白色などの筒状の部分ではなく、中心部にある「肉穂花序(にくすいかじょ)」が花なのです。一見花には見えませんが、よく見てみると太い花軸の表面に密集して小さな花が付いています。多くの方が花だと思われている部分は「仏炎苞(ぶつえんほう)」と呼ばれるもので、大きな苞(ほう)なのです。
アンスリウムやスパティフィラムもこのようなタイプの花です。

ミズバショウ
カラーとよく似た花に、尾瀬国立公園などに群生するミズバショウ(水芭蕉)があります。
両方ともサトイモ科に属していますが、自生地が異なり、ミズバショウは北海道~本州の日本、シベリアといった寒冷地の湿地であるのに対し、カラーは世界の温暖な水辺に自生しています。
ちなみにカラーの和名である「和蘭海芋(オランダカイウ)」の「海芋」とは江戸時代にはミズバショウの名前であったとされています。

ウェディングマーチ
日本各地でカラーの花が生産されていますが、千葉県君津市は年間約180万本の出荷量がある全国有数の産地です。
その中でも花のプロに評価が高いのが小糸地区で生産される「ウェディングマーチ」という品種。その名の通り、ウェディングブーケとして使われることの多い、形の良いカラーです。


花毎の花言葉・カラー「しなやかに強く」

カラーの一般的な花言葉は「素晴らしい美」「乙女のしとやかさ」などがあります。
前出の語源である意味などから、こういった言葉が付けられたのでしょう。

数ある花の中でも特徴的な花姿を持つのがカラーですが、その魅力のひとつは「茎」の美しさではないかと思います。
生け手の思いのままに弧を描くようにも、まっすぐにもなるその姿は「しなやか」という言葉そのもの。そして意外にもこの花はたくましく、しっかりと水が上がった花は一日水に浸けずともその美しさを保つのです。
そんなカラーに花毎から「しなやかに強く」という、新しい花言葉を添えたいと思います。

文・第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子

水上多摩江

イラストレーター。
東京イラストレーターズソサエティ会員。書籍や雑誌の装画を多数手掛ける。主な装画作品:江國香織著「薔薇の木 琵琶湖の木 檸檬の木」集英社、角田光代著「八日目の蝉」中央公論新社、群ようこ「猫と昼寝」角川春樹事務所、東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇跡」角川書店など