第六十五話 白露の花あしらい「竜胆」
2026.09.07
暮life

日本では季節の変化を敏感に感じ取り、年中行事や習わしに添った植物を暮らしに取り入れてきました。
「二十四節気の花あしらい」では難しいルールにとらわれず、気軽に季節を感じられる花を楽しむテクニックを、第一園芸のデザイナー・志村紀子がご紹介します。
2026年9月7日から二十四節気は白露に
秋、三番目の節気、白露(はくろ)とは、昼夜の寒暖の差で生まれた露が草木に宿った様子を表した節気です。
実際にはまだ暑さが残る時季ですが、日は徐々に短くなり、季節が移り変わっていくことが目に見えてわかるとき。
夏と秋が入れ替わるこの季節に楽しみたい花が「竜胆(りんどう)」です。
日本で古くから親しまれてきた花のひとつで、静かに秋を告げるような、落ち着いた印象があります。
今回は、従来の竜胆のイメージとはひと味違う、花あしらいをご紹介します。

静けさを堪能する
紫と白の竜胆を、ブルーグレーの花器にシンプルにあしらいました。金色のトレイに載せて、華やかさを添えて。
さらに、同系色のフルーツや小物を合わせることで、落ち着きのある中にも洗練された雰囲気が生まれます。
竜胆の凛とした美しさを引き立てる、静かな秋の訪れを感じる花あしらいです。

季節の移ろいを表す
ユニークなデザインの花器に、紫の竜胆と「ドラセナ コンシンネ レインボー」を伸びやかに生けました。
竜胆はともすると地味な印象になりがちですが、鮮やかな花色を活かしてモダンな花材と組み合わせると、思いがけない表情に。
夏の名残りを意識した花あしらいです。

こちらは白い竜胆に、「ドラセナ ソングオブインディア」を添え、べっこう飴のような花器にあしらいました。
前者の花あしらいが残暑の雰囲気であるのに対して、こちらは中秋に向けた花あしらいに。
色の異なる竜胆と品種の異なるドラセナ、形の異なるオレンジの花器を選ぶことで、同じルーツでも、イメージがまったく異なるのが植物の面白いところです。

意外な組み合わせで
まるで羽のような、ふわふわとしたピンクの物体は「スティファ」と呼ばれる、穂ものを染めたもの。自然な姿とポップな色の組み合わせが魅力的な花材です。
竜胆とは真逆ともいえる趣の、このスティファをあえて組み合わせ、フラスコのような花器にあしらいました。
垂直に伸びた鮮やかな色の竜胆と、やわらかに広がるスティファが醸し出す、ユニークな花あしらいです。

実りの季節に
2026年の中秋の名月は9月26日。すすきやお団子を飾り、五穀豊穣を願う行事を彩りよくアレンジした花あしらいです。
小さく、カラフルなガラス花器に、高さを揃えた3本の竜胆を垂直に挿し、すすきに見立てた「ペニセタム(ファーリー)」を1本。足元には「フウセントウワタ」と「プルーン」を添えて、色と形、質感の違いを楽しみます。
フルーツも使い方次第で素敵な花材に。ここでは、竹串に挿して使用しています。花とともに楽しんだ後は、果肉が傷む前にいただきましょう。

竜胆をフルーツなどと一緒にバスケットに。
実はこのブドウは花材として出回るフェイクフルーツ(造花)です。傷む心配のない、こうした花材もうまく使えば、楽しく、美しく楽しめます。
ここでは、バスケットにフェイクのブドウを入れ、水を入れた小さな花器に竜胆やパールのような「シンフォリカルポス」、フウセントウワタを挿して、バスケットの中に入れました。
花材が少なくても、ブドウのボリューム感によって、とても豪華に見えるのもうれしいところです。

コンパクトに飾って
竜胆は縦に花が付き、上から花が咲いていきます。
そのため、長いまま飾る場合が多い花ですが、コンパクトに飾りたいときには、いくつかに切り分けて飾っても素敵です。
ここでは、短めにカットした紫と白の竜胆にシンフォリカルポスの小枝を添えてみました。
先端の花が傷んでしまっても、下の花がきれいな場合に使えるテクニックです。

「竜胆(りんどう)」の基本情報
□出回り時期(切り花): 6月~11月
□香り:なし
□学名:Gentiana scabra
□分類:リンドウ科 リンドウ属
□別名:竜胆草(りゅうたんそう)、苦菜(にがな)
□英名:Japanese gentian
□原産地:日本、中国、朝鮮半島など
□花ことば:孤高の美、誠実
■取り扱いのコツ
花に水が付くと変色して傷みの原因になりますので、水替えの際などは注意して行いましょう。
花毎でご紹介している竜胆のお話
・第九十五話 処暑の花絵「竜胆」

志村紀子
東京生まれ。国内を代表するホテル、外資系大手ラグジュアリーホテルのウェディングやパーティー装花に携わり、帝国ホテルプラザ店で活躍。
現在は第一園芸を代表するデザイナーとして、Noriko Shimuraブランドを展開。他にも社内スタッフ教育部門の講師、対外的なワークショップ講師、各種商品提案、空間装飾のデザインなどを担当している。
・第一園芸オンラインショップ「Noriko Shimura」
・夢の花屋 第五十一話《香水》に見立てる
・二十四節気の花あしらい 第五十三話 秋分の花あしらい「スプレーマム」
Text・Photo 第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子
- 花毎TOP
- 暮 life
- 二十四節気の花あしらい




