花の旅人

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〈北海道ガーデン街道 vol.3 初夏編〉第二話 ブルーの花が一際美しい時「紫竹ガーデン」

2019.07.08

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「六花の森」から車で約15分、次に向かったのが「紫竹ガーデン」です。
2018年秋に続いて2度目の訪問。今回もガーデン街道一の有名人、紫竹のおばあちゃんが温かく迎えてくださいました。

雨はだんだんと強さを増すのとは逆に、静けさが増したガーデンの中ではしっとりと濡れた花々がより鮮やかさを増しています。

2019年の春は紫竹ガーデンにとって、とても辛い季節でした。
十勝地方は季節外れの猛暑日が続いて、例年5月の名物だった10万球のチューリップがいっきに枯れてしまったのです。
満開のチューリップ畑を楽しみにされていた方々もさることながら、紫竹おばあちゃんのお気持ちを思うといたたまれない気持ちに……

それでも植物はたくましく、私が訪ねた6月にはルピナスや菖蒲といったブルー系の花々が見ごろを迎えていました。

実はこの時季は春と夏の花の谷間で決して花の数が多い時季ではありませんが、その反面、ごく短い期間しか見ることのできない花が咲く時でもあります。
ルピナスの葉に雨から生まれた水の花を見つけました。葉の周りには、まるで小さな宝石のように水滴がきらきらと。
いつも晴天の日ばかりではないのは人も同じですが、晴れた日だけが正解でないことをこうした瞬間に思い、知ります。

「ブルンネラ」の花。葉の美しさを楽しむカラーリーフとして近年人気の植物ですが、晩春から初夏には繊細な青色の花が咲きます。

「アルケミラ モリス」別名レディースマントル。アルケミラの意味は「小さな魔法使い」で、薬効と葉についた水が水晶の粒のように見えるのが魔法のようだから……と伝えられています。
雨が似合う植物はアジサイだけではないのですね。

雨にうたれた「オリエンタルポピー」のつぼみ。
写真のつぼみからは想像しにくいのですが、和名ではオニゲシと呼ばれ、開花すると直径20cm近くになり、鮮やかな大迫力の花を咲かせます。
暖地では育てることが難しいため、東京周辺では見かけることがほとんどありませんが、北海道ガーデンではところどころで出会う初夏ならではの花です。


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紫竹ガーデン

帯広市美栄町西4線107番地

http://shichikugarden.com/
※最新情報と詳細につきましては紫竹ガーデンのWEBサイトをご覧ください。