〈山陰地方編〉第五話 島根のやきものを探す「出西窯」
2018.06.30
旅travel
花盛りのなんじゃもんじゃの木とモダンな看板
山陰地方は古くからやきものの産地であり、多数の窯元が存在していますが、今回私たちが向かったのはセレクトショップなどでも見かけるシンプルでモダンなデザインが特徴の出西窯(しゅっさいがま)です。
くらしの陶・無自性館 (むじょうかん)
出西窯で作られた器を展示・販売しているのが「くらしの陶・無自性館(むじょうかん)」です。
館名の無自性とは哲学者 山本空外の言葉「衆縁に従(よ)るが故に必ず自性無し(何もかもおかげさまで自分の手柄などどこにもあろうはずがないの意)」から命名。
作品ではなく「暮らしの道具」であることへの哲学が感じ取れる場所です。
清潔で素朴な店内。木材の暖かみが器を引き立てています。
民藝運動と出西窯
暮らしの中で使われてきた物に〈用の美〉を見出したのが民藝運動です。出西窯では創設期にこの民藝運動に参加。
以後、活動の中心人物である柳宗悦や足立美術館にもコレクションされている河井寛次郎らの教えで現在のスタイルを作り上げました。
出西窯の魅力は何と言っても和も洋も問わない、飽きのこないデザインです。シンプルな形の中に手づくりの温もりが感じられる器はどれも魅力的で、あれもこれも欲しくなってしまうものばかり。
わたしたちも散々迷って、結局いくつも自分のために購入してしまいました。
使ってみると手持ちの食器ともすっとなじんで、いつもの料理がより一層美味しそうに見える気が…、とても使いやすい器だということを改めて実感しました。これからも少しづつ買い足していきたい、暮らしの名品です。
人気の瑠璃色の器。出西窯の器はどのデザインも盛り映えがします。
旅の終わりに
あっという間の1泊2日でしたが、名物を食べずに帰るわけにはいきません。最後に出雲空港内にあるお店で出雲そばをいただきました。
出雲そばはソバの実を皮ごと挽いて使うため、黒っぽく香り高いのが特徴。食べ方には大きく分けて、冷たい「割子(わりご)そば」と温かい「釜揚げそば」があります。わたしたちは円い三段重ねの器に盛り付けて供される、割子そばをいただきました。
左)割子そば/右)搭乗口にも出雲らしい飾り付け
由志園で池一面の牡丹を、足立美術館では美術品と日本一の庭園、出雲大社でご縁を祈願して、出西窯では民藝の名品を入手。駆け足ながらも一筆書きで島根を巡った1泊2日でした。
今回はご紹介していませんが、足立美術館から出雲大社へ向かう途中に松江城にも立ち寄りました。
城山(しろやま)公園では、なんじゃもんじゃ(正式名はヒトツバタゴ)の白い花が満開。ご当地ならではの植物の見ごろに出会えたのは本当にうれしいことです。
最後に私たちが巡った旅のルートをご紹介いたします。今回の旅は米子空港でレンタカーを借りて、松江市内に宿泊、出雲空港で車を返却しました。島根の旅のご参考になれば幸いです。
次回は北海道ガーデン街道を旅します。お楽しみに!
出西窯
島根県出雲市斐川町出西 3368
tel:0853-72-0239
https://www.shussai.jp/
展示販売場「くらしの陶・無自性館」
定休日 : 毎週火曜日(祝日は開館)、元日
開館時間 : 9時30分~18時
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