週末の一輪

週末、自分のために花を飾りましょう。
花を手軽に楽しむコツを第一園芸のフローリストがご紹介します。

vol.36 バラ ── 旬の到来

2026.05.14

life

週末に、ちいさな楽しみを。
「週末の一輪」は、日々の暮らしにそっとなじみながら、さりげない存在感を放つ季節の一輪を選び、異なる飾り方で少しずつ表情を変えながら、最後まで楽しみつくすための提案です。
月替わりで登場する第一園芸のデザイナーやフローリストが、生け方の工夫や花との向き合い方をご紹介。
毎週木曜の夕方、週末の始まりに、暮らしにそっと花を添えるひとときをお届けします。


香りを愉しむ組み合わせ

新緑の香りを運んでくる「薫風」の気配が感じられるころとなりました。
一年の中でもひときわ過ごしやすく、光も空気も澄みわたるこの時季は、外へと気持ちがひらいていくような心地よさに満ちています。目に映る緑はいよいよ鮮やかさを増し、季節が初夏へと進んだことを実感させてくれます。

花屋に並ぶ花々も彩りを深め、とりわけバラはまさに旬を迎え、さまざまな品種が揃う時季です。
今回は、芳醇な香りと豊かな花姿が魅力の《バラ・イブピアッチェ》を主役に、香りをゆったりと愉しむ「週末の一輪」をご紹介します。

■ 主役の花材《バラ・イブピアッチェ》
さまざまな植物の中でも、ひときわ多様な品種をもつのがバラです。その数は2万種以上とも言われています。
色の違いはもちろん、一重咲きや八重咲きといった咲き方のバリエーションに加え、香りの有無や質にも幅があります。香りのあるバラは6つの系統に分類され、さらにそれらが組み合わさることで、実に多彩な香りが生まれています。

今回主役として選んだ「イブピアッチェ」は、ダマスク・モダンに分類される、華やかでバラらしい香りをもつ強香品種です。
一般的に、香りの豊かなバラは日持ちが短いものが多く、切り花として流通する品種は限られますが、「イブピアッチェ」は花屋でもよく見かける、香りのバラを代表する存在のひとつです。

「バラ」の基本情報
□ 出回り時期:通年
□ 香り:品種によって異なる
□ 学名:Rosa
□ 分類:バラ科バラ属
□ 別名:薔薇(そうび/しょうび)
□ 英名:Rose
□ 原産地:アジア、ヨーロッパ、中近東、北アメリカ、アフリカの一部
□ 花ことば:想いを託す、愛、美 など

■ 組み合わせる花材《ローズゼラニウム》
香り高いイブピアッチェに合わせる花材として、《ローズゼラニウム》を選びました。
明るいイエローグリーンの葉からは、レモンなどの柑橘を思わせる爽やかな香りが漂います。
初夏前後にはピンクの花をつけたものが出回ることもありますが、主に葉を楽しむ花材です。

■ 花器について
「週末の一輪」でたびたび登場する、手吹きガラスの長方形の花器を使用しました。
鮮やかなターコイズ色と端正な四角いフォルムは、一般的な花器のイメージとはやや異なりますが、第一園芸のフローリストが繰り返し選ぶ理由のひとつは、花の美しさを引き立ててくれる完成度の高いデザインにあります。
花を生けていないときも、オブジェとして空間に映える——そんな視点で、お気に入りの花器を探してみるのも一興です。

■ 生け方のコツ
香りをテーマにした今回は、香りのある花材に加え、ライムの実を花留め兼アクセントとして使用しています。
・ライムは花器の幅に合わせて輪切りにし、半分が見えるように挟み込みます。
・続いて、ローズゼラニウム、バラの順に挿します。
・バラの長さは、花器に対して1:2を目安に整えます。
・花材は同じ方向へ斜めに挿すと、全体がすっきりとまとまります。
・同様のアレンジを2つ並べると、より華やかな印象に。
・足元にもライムを添えると、空間に奥行きが生まれます。
・ライムのエキスが花や茎に付着すると、黒ずみの原因となるため、飾る期間は短めにするのがおすすめです。


遊び心を活かして

一輪のバラも、そのまま一輪挿しに飾るだけでなく、少しの遊び心を添えることで、思いがけない表情が生まれます。
ここでは、イブピアッチェのフューシャピンクに美しく映えるライムグリーンを活かした、一輪のバラの飾り方をご紹介します。

■ 花器について
ウォーターグラスを思わせるような花器を選びました。
途中にくびれのあるフォルムは茎を安定させやすく、サイズによってはブーケもバランスよく収めることができます。

■ 生け方のコツ
・花器は、口径がライムの直径に近いものを選びます。
・ライムはやや厚めに輪切りにし、花器の口元に固定します。
・ライムの中央にバラを挿して安定させます。
・薄くスライスしたライムを口元に添えるのも軽やかなアクセントになります。
・バラの花弁は外側から開いていくため、花姿がだらりとして見えることがあります。そうした場合は、外側の花弁を外すとすっきりと整います。
・外した花弁は花器のまわりに散らすことで、華やかな雰囲気を演出できます。ぜひ取り入れてみてください。
・ライムのエキスが茎に付着すると傷みやすくなるため、このアレンジは短期間で楽しむのがおすすめです。

5月の担当:江辺 雄亮(第一園芸 フローリスト)
今回使用した花材は、すべて香りをテーマに選びました。
花の飾り方も、少し視点を変えるだけで楽しみ方が大きく広がります。
ライムを用いているため、短期間で楽しむアレンジにはなりますが、ライムやレモンが余った際などに、ぜひ気軽に試していただけたら嬉しいです。


花毎でご紹介しているバラのお話
・二十四節気の花絵 第百四十話 立夏の花絵「薔薇」
・薔薇のすすめ 第八話 「薔薇の花のかたち」
・花の旅人 〈春のバラ編〉第二話 水彩画で描かれたようなバラのある風景を楽しむ 「横浜イングリッシュガーデン」

第一園芸 日本橋店

東京都中央区日本橋3-3-11 第一中央ビル 1階
電話番号 03-6696-8730
営業時間 11:00~19:00
アクセス 日本橋駅 約300m(徒歩約4分)/八重洲地下街出口 約40m(徒歩約1分)

第一園芸 全店舗情報
https://www.daiichi-engei.jp/shoplist/
第一園芸 オンラインショップ
https://www.daiichi-engei.co.jp/

Text・Photo 第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子