週末の一輪

週末、自分のために花を飾りましょう。
花を手軽に楽しむコツを第一園芸のフローリストがご紹介します。

vol.37 オオデマリ ── 瑞々しさを愉しむ

2026.05.21

life

週末に、ちいさな楽しみを。
「週末の一輪」は、日々の暮らしにそっとなじみながら、さりげない存在感を放つ季節の一輪を選び、異なる飾り方で少しずつ表情を変えながら、最後まで楽しみつくすための提案です。
月替わりで登場する第一園芸のデザイナーやフローリストが、生け方の工夫や花との向き合い方をご紹介。
毎週木曜の夕方、週末の始まりに、暮らしにそっと花を添えるひとときをお届けします。


香りを愉しむ組み合わせ

今日から二十四節気は、夏のふたつ目の節気「小満(しょうまん)」に入りました。
いきもののエネルギーが天地に満ちはじめるとされる時季で、梅雨入りも間近となり、季節はゆっくりと夏へと歩みを進めています。

この時季は、さまざまな花木がいっせいに花盛りを迎える頃でもあります。
今回は、軽やかな雰囲気が魅力の《オオデマリ》を主役にした「週末の一輪」をご紹介します。

■ 主役の花材《オオデマリ》
丸くふんわりと咲くオオデマリは、姿はアジサイに、名前はコデマリに似ていますが、いずれとも異なる科に属する落葉低木です。
よく似たビバーナム・スノーボールは同じガマズミの仲間ですが、開花時期や葉の表情に違いがあり、オオデマリは5月から6月に見ごろを迎え、やや厚みのある葉にくっきりとした葉脈が入っています。
また、オオデマリより遅れて見ごろを迎える彩り豊かなアジサイとは異なり、咲きはじめの淡いグリーンから徐々に白の手毬状に花を咲かせるのも特徴です。

「オオデマリ」の基本情報
□ 出回り時期:4月~6月
□ 香り:なし
□ 学名:Viburnum plicatum
□ 分類:レンプクソウ科 ガマズミ属(ビバーナム属)
□ 別名:大手毬(おおでまり/おおてまり)、手毬花(てまりばな)
□ 英名:Japanese snowball
□ 原産地:日本、中国
□ 花ことば:絆、華やかな恋 など

■ 組み合わせる花材《トルコギキョウ》
咲きはじめの淡いグリーンのオオデマリと色を合わせ、《トルコギキョウ》を組み合わせました。
八重咲きタイプのトルコギキョウは、フリルのある花弁が幾重にも重なり、とてもエレガントな印象を添えてくれます。高価な花ではありますが、1本に複数の花をつけ、気温が上がる時期にも強く、長く楽しめるのも魅力です。

■ 組み合わせる花材《利休草》
今回は、もう一種類《利休草(りきゅうそう)》を一枝加えました。
利休草は蔓性の草もので、優雅に伸びる蔓と軽やかな緑の葉が茶席によく似合うとされたことから、この名が付いたといわれています。
繊細な佇まいながら、一枝加えるだけで風が通るような抜け感を生み、全体の印象をやわらかく整えてくれます。

■ 花器について
今回の花材に合わせて、うっすらとグリーンを帯びた色合いの手吹きガラスの花器を選びました。
オオデマリの長さとボリュームを受け止められる、高さ約40cmの存在感のある花器です。
長さのある枝ものを生ける際には、倒れにくいよう高さと重さのある花器を選ぶことで、安心してバランスよく楽しめます。

■ 生け方のコツ
オオデマリは 花のボリューム感を活かして生けるのがポイントです。

・オオデマリは 花器に対して1:2程度の長さを目安に整えます
・先にオオデマリを挿し その後 茎が見えない長さに整えたトルコギキョウを 数輪まとめて加えます
・仕上げに オオデマリとトルコギキョウをつなぐように利休草を添え 全体に動きをつくります
・オオデマリは 上部1/3より下の葉や 花に掛かる葉を取り除くと すっきりとした印象に整います
・葉に虫食いなどがある場合は あえて残し 自然の表情として活かすのもおすすめです
・花器の大小を組み合わせて飾ることで 空間にリズムが生まれます


あえてアンバランスに

後半は、花木ならではの自然なシルエットを引き立てるよう、オオデマリ全体の姿を活かして生け替えました。
茎のラインが美しく見えるよう、花器はあえて小ぶりなものを選び、静かなアクセントとして《ペペロミア・アングラー》の小さな一枝を添えています。

■ 花器について
約10cm角の手吹きガラスの花器を使用しました。
コンパクトながらも重みがあり、大ぶりの草花もしっかりと受け止めてくれます。水量は限られるため、こまめに確認すると安心です。

■ 生け方のコツ
オオデマリは 水をよく吸う花木のため しっかりと水揚げを行うことが大切です。

・水揚げは 枝の切り口に切り込みを入れ たっぷりの水に浸けます
・花や枝がぐったりしている場合は 枝を切り戻し さらに紙で包んで水に浸しておくと いきいきとした状態に戻ることがあります
・花器の口径に対して枝が細く 安定しない場合は あらかじめ切っておいた枝を数本挿し 花留めとして使うと固定しやすくなります
・花留めに使った枝も デザインの一部として 見えてもよいよう意識して生けましょう

5月の担当:江辺 雄亮(第一園芸 フローリスト)
今回は気温が上がってくる時季に合わせ、爽やかなグリーンを基調に花材を選びました。
華やかな色の花も魅力的ですが、5月の心地よい風を感じるようなやさしい緑を、ぜひ暮らしに取り入れてみてください。
第一園芸では、グリーンを主役にした花々をご紹介するフェアを開催中です。
この機会に、新たな花との出会いをお楽しみください。


花毎でご紹介している5月のお話
・花月暦 第百二話 「五月 立夏 小満」
・夢の花屋 第二十三話 《奥入瀬渓流》に見立てる

第一園芸 日本橋店

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Text・Photo 第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子