二十四節気の花絵

イラストレーターの水上多摩江さんが描いた季節の花に合わせた、
二十四節気のお話と花毎だけの花言葉。

第七十八話 穀雨の花絵「ガーベラ」

2021.04.20

life


2021年4月20日から二十四節気は「穀雨(こくう)」に

穀雨とは百穀を潤す春雨のことで、農事の部類に属する節気です。
この頃に降る雨が田畑を潤わせ、穀物の成長を促します。

桜前線は最終章、北海道へ到達する頃。
ウェザーニューズによると今年は広島、福岡、長崎、松江、高松、京都、下関で1953年の統計開始以来最も早い開花だったそうです。
桜だけではなく他の花も今年は早く綻び始めていて、亀戸天神の藤はもう見ごろ、横浜イングリッシュガーデンのバラも一週間から十日早く見ごろを迎えそうとか。

ひと雨ごとに蕾が膨らんでいくのが喜びであるように、もう少しだけゆっくり、細やかに移ろう季節と花を楽しみたいと思う今日この頃です。


「ガーベラ」

□切り花出回り時期:通年
□香り:無し
□学名:Gerbera jamesonii Hybrid
□分類:キク科ガーベラ属
□和名:大千本槍(オオセンボンヤリ)、花車(ハナグルマ)
□英名:Gerbera
□原産地:南アフリカ

現在よく見かけるガーベラはプラントハンターが活躍した19世紀末に南アフリカで発見された花「ジャミソニー」がルーツです。この花がイギリスを経てヨーロッパで品種改良が行われて、現在のような多種多様な姿へと進化を遂げました。

4月18日はガーベラの日
1958年4月に日本で初めて「ガーベラ」の名称登録が行われたことや、4月がガーベラの出荷最盛期であることを記念して、よいはな(418)の語呂を合わせ、2005年に全国ガーベラ生産者交流会にて制定されました。

好きな花
2021年2月に第一園芸が行った「花のプレゼント」に関する調査の中で「好きな花」について尋ねたところ、女性が好きな花でガーベラが2位に。2020年の7位からの大躍進です。
これはステイホームを余儀なくされた時期に、ビタミンカラーの花色が多いガーベラの明るいイメージが求められたことが理由だと思われます。

選び方
真っ直ぐで固い茎のガーベラは花持ちが優れています。柔らかい茎のものは途中で折れてしまったり、花がお辞儀をしたように垂れ下がってしまいがちになるので、ガーベラを選ぶ時はぜひ思い出してください。

生け方にコツあり
ガーベラの茎は痛みやすく、バクテリアが繁殖すると、水を吸い上げなくなってしまいます。長持ちさせるコツは清潔な花びんと水がポイント。茎の痛みを防ぐため、生ける時の水はごく少なくしましょう。茎が2~3cm程度水に浸かる程度で十分に水を吸い上げます。


花毎の花言葉・ガーベラ「元気を出して」

ガーベラの一般的な花言葉は「希望」や「cheerfulness(上機嫌、元気)」といった、カラフルで太陽のような花姿をイメージする言葉が付けられています。

こういった花言葉もガーベラのイメージにぴったり。
でも、花を贈る時も贈られる時も、そして自分のために選ぶ時にもこの花に「元気を出して」という花言葉があれば、それは古い友だちからのさり気ない励ましの言葉のように思えるのです。

文・第一園芸 花毎 クリエイティブディレクター 石川恵子

水上多摩江

イラストレーター。
東京イラストレーターズソサエティ会員。書籍や雑誌の装画を多数手掛ける。主な装画作品:江國香織著「薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木」集英社、角田光代著「八日目の蝉」中央公論新社、群ようこ「猫と昼寝」角川春樹事務所、東野圭吾「ナミヤ雑貨店の奇跡」角川書店など