二十四節気の花あしらい

旬の花を最後の一輪まで楽しみつくしませんか?
気軽に季節を感じる「花あしらい」のテクニックをご紹介。

第十五話 立秋の花あしらい「ガーベラ」 

2022.08.07

life

日本では季節の変化を敏感に感じ取り、年中行事や習わしに添った植物を暮らしに取り入れてきました。
「二十四節気の花あしらい」では難しいルールにとらわれず、気軽に季節を感じられる花を楽しむテクニックを第一園芸で花に携わってきた谷中直子がご紹介いたします。
毎月、旬の雰囲気を楽しめる花をピックアップして最後の一輪まで楽しみつくす、そんな花のあしらいのお話です。


2022年8月7日から二十四節気は立秋に

立秋とは、秋の気配を感じ始める頃。一年で最も気温が高い時期ですが、暦の上ではこの日から秋になります。夕方のヒグラシの鳴き声に夏の終わりを感じ少し切ない気分になるのは、夏が大好きだからでしょうか。

夏祭りや花火大会など夏を感じるイベントもこの頃多く開催されます。
私にとっては夏と言えば花火。子供の頃も大人になってからでも、花火はキラキラした夏の思い出です。

今日はそんな花火を連想させる「ガーベラ」をいけてみようと思います。夜空にも映えそうなビビッドな色を選んで、夏の終わりから秋のはじまりの気配をお部屋の中に取り入れてみましょう。

花をまとめて傾けスッキリみせる

今回は花火の雰囲気を出したくて花びらが尖ったスパイダー咲きの「レネゲード」という品種を選びました。
10cm以上の大輪でとても色鮮やか。芯のベルベットのような深い黒も漆黒の夜空のようで花火の雰囲気にぴったりです。

ガーベラは花瓶全体にふんわりいけるよりも、片方に花をまとめていける方がスタイリッシュに見えます。

切り戻したガーベラを束ね、傾けていけ、くるくると花を回しながら花がかわいく見える角度を見つけましょう。すっきりした茎も美しいので、透明な花瓶を使う時は茎のラインも意識してみてくださいね。

ガーベラの茎は空洞で、細かな繊毛が生えています。この茎は水が付くと傷みやすくなるので、基本的には浅い水にいけます。お手入れの時は水に浸かった部分の茎を切り取りましょう。できれば毎日行うとものすごく花持ちが良くなりますよ。

花やグリーンをプラスして花火の雰囲気を演出

シンプルにガーベラの姿を楽しんだら、花やグリーンを加えて花火をさらに感じる花あしらいに。

加えたのはカールした花びらがマカロニのような「ガーベラ・パスタベネチア」と線香花火のような黄色の小花「ミシマサイコ」グリーンの小花「タラスピ(ぺんぺん草)」と鮮やかな斑入りの枝もの「セイヨウイワナンテン・レインボー」です。

まず一番茎が固いセイヨウイワナンテンで仕上りの大きさと形を決めて、他の花を支えるベースにします。次にメインのガーベラをランダムにいけて間をタラスピで埋めます。最後に軽やかなミシマサイコで全体のバランスを整えます。

夏の夜空に上がる大輪の打ち上げ花火のようなイメージで花を仕上げていきましょう。
ぎゅっとコンパクトに仕上げるよりもふんわりランダムな感じでいける方が、花火のイメージに近づく気がします。

自分の頭の中のイメージを形にしていくのも、花あしらいの楽しみです。
難しく考えずに、花を使ってイメージをアウトプットしてみましょう。

オブジェのように花を楽しむ

モダンな器にシンプルにガーベラをいけて、花の美しさを味わいましょう。

2種類の花をいける時は、大きくて色の濃い花を短く配置するとバランスがとりやすくなりますよ。
花たちが近過ぎず、離れ過ぎず、きれいに見える絶妙な場所を探してみてください。

器を近づけたり、離したりしても印象が変わります。
花や器を自分好みに動かして、フレキシブルに楽しんでみましょう。

シンプルにガーベラの美しさを楽しむ

ガーベラのスタイリッシュな花姿を楽しむには一輪挿しもおすすめです。
潔く、凛とした雰囲気は葉がないことでそう感じるのかもしれません。すっきりとした花と茎のフォルムはとても美しいですよね。

2本であれば茎を交差させたり、1本でシンプルに楽しんだり。
気軽に自由に楽しんでみましょう。

時間が経過するとキク科独特の管状花(かんじょうか)が咲き進み、漆黒だった芯の部分が黄色っぽく変化していく様子も楽しむことができます。
この状態からでもきちんとお手入れをすればしばらく咲いていてくれますよ。
最後までガーベラを楽しんでくださいね。

ガーベラの花言葉

ガーベラの花言葉は「希望」
中学校の卒業式、この花を花言葉と一緒に贈られたことをよく覚えています。
カジュアルな印象のガーベラですが、ウェディングのようなフォーマルシーンでも人気の花です。
この素敵な花言葉を添えて、プレゼントしてみてはいかがですか?

「ガーベラ」の基本情報

□出回り時期:通年
□香り:なし
□学名:Gerbera jamesonii Hybrid
□分類:キク科ガーベラ属
□和名:大千本槍(オオセンボンヤリ)、花車(ハナグルマ)
□英名:Gerbera
□原産地:南アフリカ
□花言葉:「希望」「前向き」「常に前進」 など


花毎でご紹介しているガーベラのお話

ガーベラの由来やさまざまな品種
旬花百科 第十四話 「ガーベラ」

水上多摩江さんが描く花の絵
二十四節気の花絵 第七十八話 穀雨の花絵「ガーベラ」

谷中直子

第一園芸入社前から学生バイトで働く生粋の第一園芸人。
百貨店系ショップでいわゆる花屋さんを数年経験後、ホテル店に移動しブライダル関係を十数年経験。店長職を経て本社勤務に。
現在は広報担当としてリリースなどの社外発信を担当。